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第二十章 漏れ出す者
第260話 チュートリアル:国連への疑念
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乾いた風が頬を撫で、少し暑苦しい日差しにより汗ばんでしまう。
いや、汗ばむのは日差しのせいだけではない。
独特の空気、独特の匂い、そして独特の感触。
それらはすべて、ダンジョン『鬼の島』故なのか。
それとも、否が応でも一人一人の眼に写る、遥か向こうの軍勢故なのか。
「多いな……」
攻略者の誰かがそう言った。
鬱蒼とした群れ。一体一体小粒に見えるモンスターの大群と同じく、自分たちも群れている為、向こうから見れば同じ感想をゴブリンたちは思うだろう。
数にして約一万人。それが日本全国、沖縄から北海道まで招集した攻略者の数だ。
対して小鬼の軍団は数にして二万強。攻略者のほぼ倍と言ったところだが、ぽつぽつと強固な個体を除けば大半の数を占めているのは所に言う雑多なゴブリンだった。
単純計算。一人二体を倒したら済む話。
事はそう単純ではない。
四十物静香は言う。
「――敵の数は無尽蔵。それがスタンピードです」
現実はそう簡単ではない。
群れを成して進軍してくる。しかも後続に次から次へとモンスターがポップし、留まる事を知らない。
尽きない進軍。それがスタンピードの恐ろしさであった。
「……んく」
ではどうすればこのスタンピードを終わらせるのか。緊張のあまり唾を飲み込んだ攻略者が思った。
そして四十物静香の言葉を思い出す。
「――一番奥にいるボスモンスター。それを倒す事ができれば、このスタンピード現象は徐々に収束していきます」
数は無尽蔵に募る不安。この言葉を待っていたと言わんばかりに、作戦会議室に招集された攻略者たちは安堵の息を漏らす。
「徐々にモンスターの数を減らし戦線を押し込み、最奥のボスを倒すのが一つ。そして一点突破に注力し最奥のボス倒すのが一つ。現場の状況しだいで作戦を変えなければなりません」
それからはどの様な作戦が効果的かつ生存確率があるのか、時間の許す限り作戦会議が続く。
その側ら、思考する者たちがチラホラと現れた。
(何故国連は――)
(――スタンピードの解決を)
(明確に知っているのか――)
銀獅子の獅童。パンサーダンサーの椿。ディメンションフォースの妻夫木らが疑念の視線を進行役を務める四十物に送る。
サークル長たるもの、驕りある末端な攻略者たちとは違いスタンピードの知識を熟知している。無論、最奥のボスを倒すと解決する事も知っている。
熟読していた当時も思った事だが、忙しさのあまりについ忘れてしまっていた。しかし今、スタンピードを直面している今。再び疑問視をするのは当然ともいえる。
彼彼女らが知る限り、この黎明期においてダンジョンブレイクはあるにしろスタンピードが引き起こるほどの大事件は確認できていない。
だからこそ、明確にハッキリと言いのける国連に違和感を禁じ得ない。
(今この場で問いただしてもいいが……)
(余計な混乱を招くだけかも)
(……ふむ)
三人の意識は最前列中央で腕を組み無表情の撫子に注がれる。
――彼女ならば何か知っているのではないか。
大和家なる政府から国連までも顔が利く謎多き家柄。その本家の一人娘ならば何か知っているのではないかと勘繰るのはおかしくはない。
そんな視線を受けている撫子だが、特徴的な長いポニーテールが微塵にも動かないほどに静止している。
作戦会議が終わり、ダンジョン『鬼の島』へと誰よりも先に着いた大型サークル――パンサーダンサー。その長である椿舞は作戦通りの定位置にサークルを配置。一足遅く到着したヤマトサークルに足を運び、顔パスでヤマトサークルの指令テントへと入った。
撫子に加え隊長格が数人いる中、突如としてボンテージ衣装にも似た挑発した戦闘服を着た客人に驚くも、誰も言うまでも無く隊長たちはそそくさとテントから出て行った。
「我々ヤマトサークルが一番乗りと思っていましたが、流石は椿さん率いるパンサーダンサーですね。仕事が早い」
「幸いにもパンサーダンサー支部がこのダンジョンの近くにあったからスムーズだったの。でもヤマトサークルの支部もこの近くになくて?」
「ええ。だからこそ現地に遅れてしまった今、少しだけ悔しい思いをしています」
「ふふ。撫子ちゃんにも悔しいって感情があるのね。あ、ごめんなさい! 別に悪気があってそう言ったんじゃないの」
両手を前に出して振り違うと示す。
「ただその、撫子ちゃんってずっと無表情だから……。女の子なんだからもっと感情だしてもいいんじゃない?」
「これでも普段感情を出しているつもりですが……」
「そ、そうなんだ……」
全然そうは見えないと椿は思った。
「コホン!」
わざとらしく咳払いする椿。
「単刀直入に言うけど、私は国連に疑心の眼をずっと持っているの」
「……」
「確かに国連の判断と迅速な働きは称賛するところがある。それは攻略者の私が一番よく知っている。戦闘面のサポートとか行政の小難しい事からもね」
つり目を鋭くする椿。無言の撫子。
「でも同時に思うの。あまりも用意周到すぎるって」
「……」
設置されたウォーターサーバーに空気が昇る。
「泡沫事件から始まりマーメイドレイド、そしてマリオネットレイド。ルーラー絡みだったり、それこそ覚醒の時だって、周りが混乱するなか国連だけが冷静だった……」
それはまことしやかに、そして現実問題としての疑念も世間では上がっている。
「それに加え今回のスタンピード……。知っているにしては知りすぎている……。撫子ちゃんはどう思う?」
「……」
突然投げかけられた疑問。それは国連を疑問視する当然の疑念。
――撫子ちゃんはどう思う?。
自他ともに認める最強を欲しいがままにした自分。そして家柄含む国連の疑。そこも抵触する椿の問いに、撫子は口を開いた。
「椿さん。私は同じ女として、貴女を尊敬しています」
「ッえ、え!?」
たじろぐ椿。
「女で一つサークルを立ち上げ、あまつさえ仲間を集い大型サークルにまで成長せしめた。敷かれたレールの上を淡々と歩く私と違い、貴女は実直に成功した。目覚ましい活躍とはこのことです」
「そ、そうかしら~あはは……?」
まさか称賛されるとは思わなかった椿。顔を赤らめる。
当然ながら、撫子は無表情。
「私は家柄状、表沙汰にできない国連の事情を知っています」
「!?」
やはりと驚く椿。
「しかし尊敬に値する貴女でも、私の口からは真相を語る事はできません」
「……」
「ですが、一つだけ言える事はあります」
「……それは」
「我々国連は、人類は、これ以上負ける事は許されないという事です」
「――」
この短いセリフの中に、いったいどれ程のヒントが散りばめられているのか。
椿は撫子の言葉を脳に刻むのだった。
「……まだまだいろいろと聞きたい事あるけど、今日のところはここでお暇させてもらうわ。ごめんね、変な事聞いて」
「いえ」
クスリと笑う。
「このスタンピード。乗り切るわよ。お互い頑張りましょ」
「ええ」
背中の開いた挑発的なボンテージ姿の椿がテントを出る。
「……ふぅ」
ため息をつく撫子。
紙コップを取りウォーターサーバーから水を入れる。
そして口に含み、飲み込んだ。
(国連がひた隠しにしている事情。そしてそれに纏わる事柄。……それが白日の下に明かされるのはそう遠くない未来なのかもしれない)
鞘を握りこみ、そう思った撫子であった。
いや、汗ばむのは日差しのせいだけではない。
独特の空気、独特の匂い、そして独特の感触。
それらはすべて、ダンジョン『鬼の島』故なのか。
それとも、否が応でも一人一人の眼に写る、遥か向こうの軍勢故なのか。
「多いな……」
攻略者の誰かがそう言った。
鬱蒼とした群れ。一体一体小粒に見えるモンスターの大群と同じく、自分たちも群れている為、向こうから見れば同じ感想をゴブリンたちは思うだろう。
数にして約一万人。それが日本全国、沖縄から北海道まで招集した攻略者の数だ。
対して小鬼の軍団は数にして二万強。攻略者のほぼ倍と言ったところだが、ぽつぽつと強固な個体を除けば大半の数を占めているのは所に言う雑多なゴブリンだった。
単純計算。一人二体を倒したら済む話。
事はそう単純ではない。
四十物静香は言う。
「――敵の数は無尽蔵。それがスタンピードです」
現実はそう簡単ではない。
群れを成して進軍してくる。しかも後続に次から次へとモンスターがポップし、留まる事を知らない。
尽きない進軍。それがスタンピードの恐ろしさであった。
「……んく」
ではどうすればこのスタンピードを終わらせるのか。緊張のあまり唾を飲み込んだ攻略者が思った。
そして四十物静香の言葉を思い出す。
「――一番奥にいるボスモンスター。それを倒す事ができれば、このスタンピード現象は徐々に収束していきます」
数は無尽蔵に募る不安。この言葉を待っていたと言わんばかりに、作戦会議室に招集された攻略者たちは安堵の息を漏らす。
「徐々にモンスターの数を減らし戦線を押し込み、最奥のボスを倒すのが一つ。そして一点突破に注力し最奥のボス倒すのが一つ。現場の状況しだいで作戦を変えなければなりません」
それからはどの様な作戦が効果的かつ生存確率があるのか、時間の許す限り作戦会議が続く。
その側ら、思考する者たちがチラホラと現れた。
(何故国連は――)
(――スタンピードの解決を)
(明確に知っているのか――)
銀獅子の獅童。パンサーダンサーの椿。ディメンションフォースの妻夫木らが疑念の視線を進行役を務める四十物に送る。
サークル長たるもの、驕りある末端な攻略者たちとは違いスタンピードの知識を熟知している。無論、最奥のボスを倒すと解決する事も知っている。
熟読していた当時も思った事だが、忙しさのあまりについ忘れてしまっていた。しかし今、スタンピードを直面している今。再び疑問視をするのは当然ともいえる。
彼彼女らが知る限り、この黎明期においてダンジョンブレイクはあるにしろスタンピードが引き起こるほどの大事件は確認できていない。
だからこそ、明確にハッキリと言いのける国連に違和感を禁じ得ない。
(今この場で問いただしてもいいが……)
(余計な混乱を招くだけかも)
(……ふむ)
三人の意識は最前列中央で腕を組み無表情の撫子に注がれる。
――彼女ならば何か知っているのではないか。
大和家なる政府から国連までも顔が利く謎多き家柄。その本家の一人娘ならば何か知っているのではないかと勘繰るのはおかしくはない。
そんな視線を受けている撫子だが、特徴的な長いポニーテールが微塵にも動かないほどに静止している。
作戦会議が終わり、ダンジョン『鬼の島』へと誰よりも先に着いた大型サークル――パンサーダンサー。その長である椿舞は作戦通りの定位置にサークルを配置。一足遅く到着したヤマトサークルに足を運び、顔パスでヤマトサークルの指令テントへと入った。
撫子に加え隊長格が数人いる中、突如としてボンテージ衣装にも似た挑発した戦闘服を着た客人に驚くも、誰も言うまでも無く隊長たちはそそくさとテントから出て行った。
「我々ヤマトサークルが一番乗りと思っていましたが、流石は椿さん率いるパンサーダンサーですね。仕事が早い」
「幸いにもパンサーダンサー支部がこのダンジョンの近くにあったからスムーズだったの。でもヤマトサークルの支部もこの近くになくて?」
「ええ。だからこそ現地に遅れてしまった今、少しだけ悔しい思いをしています」
「ふふ。撫子ちゃんにも悔しいって感情があるのね。あ、ごめんなさい! 別に悪気があってそう言ったんじゃないの」
両手を前に出して振り違うと示す。
「ただその、撫子ちゃんってずっと無表情だから……。女の子なんだからもっと感情だしてもいいんじゃない?」
「これでも普段感情を出しているつもりですが……」
「そ、そうなんだ……」
全然そうは見えないと椿は思った。
「コホン!」
わざとらしく咳払いする椿。
「単刀直入に言うけど、私は国連に疑心の眼をずっと持っているの」
「……」
「確かに国連の判断と迅速な働きは称賛するところがある。それは攻略者の私が一番よく知っている。戦闘面のサポートとか行政の小難しい事からもね」
つり目を鋭くする椿。無言の撫子。
「でも同時に思うの。あまりも用意周到すぎるって」
「……」
設置されたウォーターサーバーに空気が昇る。
「泡沫事件から始まりマーメイドレイド、そしてマリオネットレイド。ルーラー絡みだったり、それこそ覚醒の時だって、周りが混乱するなか国連だけが冷静だった……」
それはまことしやかに、そして現実問題としての疑念も世間では上がっている。
「それに加え今回のスタンピード……。知っているにしては知りすぎている……。撫子ちゃんはどう思う?」
「……」
突然投げかけられた疑問。それは国連を疑問視する当然の疑念。
――撫子ちゃんはどう思う?。
自他ともに認める最強を欲しいがままにした自分。そして家柄含む国連の疑。そこも抵触する椿の問いに、撫子は口を開いた。
「椿さん。私は同じ女として、貴女を尊敬しています」
「ッえ、え!?」
たじろぐ椿。
「女で一つサークルを立ち上げ、あまつさえ仲間を集い大型サークルにまで成長せしめた。敷かれたレールの上を淡々と歩く私と違い、貴女は実直に成功した。目覚ましい活躍とはこのことです」
「そ、そうかしら~あはは……?」
まさか称賛されるとは思わなかった椿。顔を赤らめる。
当然ながら、撫子は無表情。
「私は家柄状、表沙汰にできない国連の事情を知っています」
「!?」
やはりと驚く椿。
「しかし尊敬に値する貴女でも、私の口からは真相を語る事はできません」
「……」
「ですが、一つだけ言える事はあります」
「……それは」
「我々国連は、人類は、これ以上負ける事は許されないという事です」
「――」
この短いセリフの中に、いったいどれ程のヒントが散りばめられているのか。
椿は撫子の言葉を脳に刻むのだった。
「……まだまだいろいろと聞きたい事あるけど、今日のところはここでお暇させてもらうわ。ごめんね、変な事聞いて」
「いえ」
クスリと笑う。
「このスタンピード。乗り切るわよ。お互い頑張りましょ」
「ええ」
背中の開いた挑発的なボンテージ姿の椿がテントを出る。
「……ふぅ」
ため息をつく撫子。
紙コップを取りウォーターサーバーから水を入れる。
そして口に含み、飲み込んだ。
(国連がひた隠しにしている事情。そしてそれに纏わる事柄。……それが白日の下に明かされるのはそう遠くない未来なのかもしれない)
鞘を握りこみ、そう思った撫子であった。
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