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スカイフリューゲル
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スカイフリューゲルとは、空を飛び相手の腰に付いた鈴を取り合う競技である。そのために使用する道具は、エアロエンジンと呼ばれる最新の科学力をもって造られた小型のエンジンを搭載した靴と、背中に背負う翼だ。
私のお父さんはこの背中に背負う翼を作る職人で毎年色々な高校から依頼を受けていた。
「お父さん、この翼は重くないの?」
「おぉ、かなか。これか?これはな極限まで薄くしている上に強化プラスティックを使ってるから見た目程重くないんだぞ」
「強化プラスティック?」
「聞いた事ないか?今では護衛艦にも使われてる材料の1つなんだ」
物知りな父と飛行のために必要な翼。私はこの2つがとても大切で大好きだった。
私もいつかスカイフリューゲルと関わりたいと強く思うようになった。そして、そんなある日のこと。休日父に連れていかれ見に行ったのはスカイフリューゲルの試合だった。
なんでも今日の試合は一段と盛り上がること間違いなしのものらしく、父曰く「滅多に見られない試合だ」とのこと。
対戦校は鶻高校と天醒高校だった。
「今年の注目株はなんと言っても鶻高校の秋月 奏だよな」
「いやいや!天醒の月詠 零斗に決まってるだろ!天才って呼ばれてるらしいからな」
「でも確かこの2人って同級生なんだろ?えーと...」
後ろで大人達が噂話をしているうちに試合開始のサイレンが空高く鳴り響いた。
すると一斉に5人の精鋭達が空高くジャンプし、宙を駆けるように走っていく。背負った翼が肩についてるボタンで開いた瞬間、鳥のように皆飛び始めた。
腰の両脇につけた鈴が風に吹かれ綺麗な音色を出している。5対5の熱戦の火蓋は今切り落とされたのだ。
トンビのように旋回し様子を伺いながら鈴に狙いを定める。
「かな、あれがスカイフリューゲルだ。あの翼はな風の流れに合わせて動くように設計されてるから飛行機の翼と同じような物なんだぞ」
「あれをお父さんは作ってるんだよね?!すごい!!」
「こうして実際に使われてるのを見ると作ったかいがあるもんだ」
どこまでも青い空の中を10羽の鳥が華麗に舞う。太陽に照らされ、綺麗に光る銀髪の少年を見た瞬間、なんて楽しそうに空を飛んでるんだろうと思ったのを今でも覚えてる。
そして、それから2年後─。
私はあの日見た銀髪の彼と再会を果たしたのであった。
私のお父さんはこの背中に背負う翼を作る職人で毎年色々な高校から依頼を受けていた。
「お父さん、この翼は重くないの?」
「おぉ、かなか。これか?これはな極限まで薄くしている上に強化プラスティックを使ってるから見た目程重くないんだぞ」
「強化プラスティック?」
「聞いた事ないか?今では護衛艦にも使われてる材料の1つなんだ」
物知りな父と飛行のために必要な翼。私はこの2つがとても大切で大好きだった。
私もいつかスカイフリューゲルと関わりたいと強く思うようになった。そして、そんなある日のこと。休日父に連れていかれ見に行ったのはスカイフリューゲルの試合だった。
なんでも今日の試合は一段と盛り上がること間違いなしのものらしく、父曰く「滅多に見られない試合だ」とのこと。
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「いやいや!天醒の月詠 零斗に決まってるだろ!天才って呼ばれてるらしいからな」
「でも確かこの2人って同級生なんだろ?えーと...」
後ろで大人達が噂話をしているうちに試合開始のサイレンが空高く鳴り響いた。
すると一斉に5人の精鋭達が空高くジャンプし、宙を駆けるように走っていく。背負った翼が肩についてるボタンで開いた瞬間、鳥のように皆飛び始めた。
腰の両脇につけた鈴が風に吹かれ綺麗な音色を出している。5対5の熱戦の火蓋は今切り落とされたのだ。
トンビのように旋回し様子を伺いながら鈴に狙いを定める。
「かな、あれがスカイフリューゲルだ。あの翼はな風の流れに合わせて動くように設計されてるから飛行機の翼と同じような物なんだぞ」
「あれをお父さんは作ってるんだよね?!すごい!!」
「こうして実際に使われてるのを見ると作ったかいがあるもんだ」
どこまでも青い空の中を10羽の鳥が華麗に舞う。太陽に照らされ、綺麗に光る銀髪の少年を見た瞬間、なんて楽しそうに空を飛んでるんだろうと思ったのを今でも覚えてる。
そして、それから2年後─。
私はあの日見た銀髪の彼と再会を果たしたのであった。
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