DEATH GAME ー宝玉争奪戦

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3章

61話 ストーキング

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噴水広場を離れた和歌太郎は、観覧車やメリーゴーランドが立ち並ぶアトラクションゾーンまで移動していた。

「かなり離れた。でもおかしいな」

和歌太郎は首を傾げる。
何故なら自分を追ってくると思っていたカワデンの気配がしないのだ。

アトラクションゾーンは、基本的に開けた場所のため見通しはいい。にもかわらずカワデンの影も匂いも音もしない。

「もしかして速く移動しすぎた…」

カワデンの和歌太郎に対して向ける殺意より必ず追いかけてくるだろうと考えていたため、肩透かしを喰らう和歌太郎。

カワデンはいない……そう油断した時

「ーーっ!!!」

本能が激しく警鐘鳴らす
和歌太郎は反射的に前へと移動した。

(何……この殺気!!)

振り返り、先ほどまでいた場所に目をむける。
そこには

「へへへへ…」

ナイフを突き出し、顔を赤らめ笑うカワデンの姿が
和歌太郎の全身に悪寒がはしる。

(さっきまでは確実にいなかったのに…)

困惑する和歌太郎
何故なら殺気に気づき避けるまで、音も気配も匂いさえも一切しなかったんだ。

「へへへへ……気づけば後ろにいる…」

カワデンはボソリと呟く
そして、その場からスッと溶けるように消えた。

「なっ!消えた!?」

視界に入れていたにも関わらずカワデンの姿を見失った和歌太郎。
五感を研ぎ澄まし、周囲を探る。

しかし、カワデンの姿はどこにもいない…

だが

「また後ろ!!」

和歌太郎は反転、背後に剣を振るった。

"キンっ"

ナイフと剣が打ち合う。

カワデンは背後に移動していた。
和歌太郎は気配は感じないが、僅かな殺気を感じ取り背後に剣を向けたのだ。

(やっぱりそうだ。スキルだと思うけどこいつからは匂いや音、気配が一切しないんだ)

和歌太郎はカワデンを冷静に分析する。

「へへへへ……やっぱ強い…ウヒ」

下を向き、頬を染めるカワデン
カワデンのスキルは自身の発する音を消す"消音サイレンス"。自身の放つ臭いを消す"無臭デオドラント"。
そして、影から影へ移動するスキル"影渡りシャドウ"
まさに暗殺者ともいえるスキル構成。

「見えてる内に叩く」

和歌太郎は姿を消す前にと考え、カワデンへと高速で近づき、剣を振るった。

だが剣は空を切る。
一瞬早くカワデンはメリーゴーランドの影へと移動していた。
しかし、僅かに服が裂けている。
どうやら和歌太郎の剣が掠ったらしい。

「へへへへ……強い。殺してみたい。解放…死の追跡者デス・ストーカー

カワデンが称号"死の追跡者デス・ストーカー"'を発動させた。

カワデンの身体から紫の煙が溢れ出す。
和歌太郎は警戒を最大限にする。

すると紫の煙は、人の形に変形し始め

「増えた!?」

困惑する和歌太郎
それもそのはずカワデンが5人に増えたのだ。

「「「「「へへへ……解剖楽しみ」」」」」

5人のカワデンが顔を赤らめ、不気味に笑う。
そして一斉に影の中に溶けた。

「くっ!気配も薄いし、厄介だね」

和歌太郎は苦笑を浮かべる。
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