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4章
66話 魔刀
しおりを挟む和歌太郎へと迫る小さな太陽ともいえる炎の塊
(くっ…当たらなくてもこの熱量、近づかれた瞬間OUTだね…)
後ろに下がりながら対策を考える。
そして、一つの対策を思いついた。
「スケッチ!」
炎の玉を囲むように四角を描く
「サーフェスー押し出し!」
中空の立方体が炎を閉じ込める。
サーフェスモデルとは表面のみで中が空洞のモデル。
(中を密封にして酸素を無くし消す!)
和歌太郎は炎が燃えるために必要な要素"酸素"をなくすため、分厚い板金のサーフェスモデル(中が空洞)の立方体で炎を閉じ込めたのだ。
(これでどうだ)
和歌太郎は山川の方をチラリと見る。
だが山川は一切の動揺を見せない。
変に思った和歌太郎は閉じ込めた鉄の立方体の方を見る。
すると、表面が赤く煮え溶け始めていた。
「な、なんで!」
和歌太郎は鉄が燃えるまでに一気に距離を取る。
完全に鉄は溶け、一切の変化を見せない炎の玉がそこにあった。
「俺の炎は全てを燃やす…さっきも言ったはずだ」
山川 弐句の持つ魔法は炎魔法。
更に炎使い
の二つが元々のステータス構成であり、様々なダンジョンを攻略、クエストを攻略し、今のステータスは
"炎魔法"は昇格し、"火炎魔法"に
"炎使い"も"炎支配"に
他にも"魔力増強"、"高速移動""杖術"と言った複数のスキルを持つ。
「……焼き尽くせ!」
再び炎の玉が和歌太郎へと迫る。
(俺の今扱える鉄では、あの炎を消せない。一体どうすれば……。)
和歌太郎は迫ってくる炎の玉から逃げながら手を考える。
(とりあえずは称号は一旦解除しよう。そして……)
和歌太郎は称号の使用時間の制限が切れる前に解除する。
そして身体を反転、炎に対して正面を向いた。
炎の熱が身体の表面を焦がす…
だが、和歌太郎は逃げるどころか、そこに足を止め、異次元boxより一本の刀を取り出した。
その刀はエキストラクエストの報酬の一つ。
ランダムアイテムの報酬で得たものだ。
【霰刀】
気体、固体、流体に変化自在の魔刀
材質は不明
(この刀と自分の技に賭ける…)
和歌太郎は瞳を閉じ、刀を上段に構える。
炎が和歌太郎へと迫る。
後、数秒後には衝突する。
「……"剣術・極"…」
和歌太郎の瞳がガッと開かれ--
次の瞬間には既に刀は振り下ろされていた。
"バシュッ"
和歌太郎を避けるように炎の玉は割れて後ろの方へ消滅。
「…うん?」
山川は困惑した。
いつ剣を振り下ろしたのかが一切見えなかったのだ。
そして、なぜ炎が斬られたのかさえ。
「斬ったのは炎ではなくその空間だよ…」
和歌太郎の"剣術"はエキストラクエストの報酬"ステータス強化"で"剣術・極み"への昇格した。
加えて和歌太郎の今までに培った剣術と二つが合わさり、空間を切断する剣技を習得するに至ったのだ。
しかし、消耗が激しいのか和歌太郎の額には大粒の汗が浮かんでいる。
そして、それは山川も同じようで僅かに肩で息をしている。
「初めてだな。この一撃を防いだプレイヤーは…」
「まぁね。お前の炎は全てを燃やすかもだけど、俺の剣は全てを断ち切る!」
「面白いっ!」
山川の表情が初めて変化。
赤色の魔力を昂らせる。
「お前を必ず斬る!!」
鉄をも溶かす炎を操る山川と空間を切断する和歌太郎。
2人の戦いは更に加熱していく、
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