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4章
68話 新たなる敵
しおりを挟む「……お前らはだれだ…」
山川が血が吹き出す胸を押さえながら立ち上がり、新たに現れた謎の6人組に強い敵意を露わにする。
「……え?」
和歌太郎は事態に混乱しながらも立ち上がり6人組に目を向ける。
6人組はそれぞれ白いローブに身を包み、僅かに見える素顔は仮面によって隠されている。
不気味なままに隊列が組まれた6人組
「「「「「「宝玉を渡せ……」」」」」」
6人が声を合わせて言う。
声には感情が一切感じられない。
「……消えろ…」
その時、6人のうち1人が燃え上がった。
山川による攻撃だ。
瀕死の身体、残りカスともいえる魔力にて火炎魔法を放ったのだ。
6人の中の1人が燃え上がり、そのまま灰と化した。
だが残りの5人には一切反応がない。
「…え…なんで」
この場で和歌太郎のみが状況が理解できず戸惑い狼狽えている。
「……"炎の聖域"…」
もう一度、山川が火炎魔法を放った。
炎は山川と和歌太郎を囲むように燃え、2人の周囲をドーム状に取り囲んだ。
「どう言う……」
意図がわからず戸惑う和歌太郎
「短めに言う……あいつらは敵だ。しかも既に死んでいる」
「死んでいるって!?」
「…グハっ…スキルか魔法によって操られている。おそらく黒幕がいる。俺には…もう」
血を吐き出し片膝をつく山川
地面に血が流れ落ち、血溜まりができている。
おそらく、その血の量は致死量…
既に死に至っていてもおかしくはない。
「大丈夫!?…ゔぅっ…」
和歌太郎も山川を心配して駆け寄るが、自身も重症なためその場でうずくまる。
「……お前も相当キてるようだ。最後に一つ俺からプレゼントをやろう」
そう言って山川は異次元boxから一枚の紙を取り出し、目の前でそれを破った。
すると和歌太郎の視界に文字が現れた。
--------------------------
【決闘クエスト】
山川が貴方に決闘を挑んでいます。
承諾しますか? YES or NO
---------------------------
「…え?」
「承諾しろ!」
有無を言わさない山川の気迫に和歌太郎はYESを選択する。
すると
----------------------------
【決闘クエスト】
山川 弐句 vs 院財 和歌太郎
勝利条件 片方のプレイヤーの撃破
勝利報酬 完全回復、ステータスアップ
----------------------------
山川が使用したのは"決闘クエスト"を発動する特殊アイテム。
数あるダンジョンを制覇した報酬の一つだ。
「これって…」
突然の決闘クエストの発動に和歌太郎は困惑し固まる。
だが山川はそんな和歌太郎など気に留めず、異次元boxから一振りのナイフを取り出した
「戦うって事…」
「いや勝敗はついた。俺の負けだ……」
そういうと山川は自分の胸にナイフを躊躇なく突き刺した。
「……後は頼んだ。俺はもう戦いに疲れた…。不治の病の妹を救うためとは言え、俺は殺し過ぎた…。お前がこのふざけた闘いを終わらせてくれ…」
それだけ良い、山川は息を引き取った。
「何で……この俺が生き残ってお前が死ぬんだよ……俺は俺はどうしたら」
村の仇を討つため、村の皆を生き返らすという目的のため宝玉を集めることを決意した。
しかし、仇は仇ではなく、村の皆にはドス黒い真実があった。
「どうすれば………」
和歌太郎は地面に横たわる山川に目を向ける。
そして、思い出す、今まで闘ってきたプレイヤー達。
皆方向は違えどそれぞれ願いがあり信念があった。
そして、その信念は
「そうだよね……もう引き下がれないよね」
和歌太郎の心の奥底に消えない炎となり燃えていた。
「俺が全てを救う……このデスゲームを終わらせるんだ!」
和歌太郎は決意を瞳に宿し、消えゆく炎の壁の向こうのプレイヤーを睨みつけた。
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