人形姫に愛情を

如月花恋

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「…どうしてこうなったんですの?」
私はローレン様の膝の上にいた。
「エリーナを暗殺者から守るため」
「…自分の身ぐらい自分で守れますわ!!」
「…エリーナ。本当は怖いんでしょ」
「怖くありませんわ。日常ですもの」
「…ほんの少し震えてるよ。それに…悲しそうな目をしてた」
「…悲しくなんてありませんわ」
「嘘をつかないで」
ローレン様は私をぎゅっと抱きしめた。
「…私があなたに心を許すことはありませんわ」
私は手をどけて立ち上がった。
「どこに行くの?」
「執務があるのでしょう?私はお邪魔ですわ」
「…宰相」
「はい」
「椅子用意させろ。10秒以内に」
「へ!?」
「早くしろ!!」
「は…はいっ!!」
可哀想
脅されているわ
でも所詮は他人
私がどうこうすることでもないわ
私が部屋から出て行こうとするとまたローレン様に捕まった。
「ここにいて」
「何故ですの?」
「怖いから…いなくならないでよ」
「そう簡単に死にませんわ。死んででも暗殺者を道ずれにしてやりますわ」
「鬼嫁…」
「あなたが申し込んだ婚約ですわ」
「まぁそうなんだけどね。エリーナ…面白いから」
「気味が悪いの間違いでは?」
「ほんの少しだけ顔がピクッって動くんだよね」
気づきませんでしたわ
表情筋は衰えていなかったのでしょうか…
「それに顔が無表情でも瞳で分かるよ」
「瞳…」
盲点でしたわ
目を隠すことは出来ませんもの
「この綺麗な瞳がね。感情を教えてくれるんだよ」
「…離してください」
「嫌。椅子も用意できたみたいだしここにいて」
ローレン様は軽々と私を抱き上げて椅子に座らせた。
子供みたい…
「刺繍でもやってな」
「…お部屋に戻ってやりますわ」
「強情だな~ここにいてって言ったでしょ?」
…何故か寒気がしますわ
「言うこと聞いてくれないと…何するか分かんないよ?」
「…ここにいますわ」
何故か…
何故か従わなければいけない気がしますわ

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