不幸は幸福の始まり【完結】

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 彼女を馬車に乗せヴィクトリア王国に到着した俺は、王城に使いを走らせるべく、自分の部下でも有る騎士に指示を出す。

「別荘で女性を匿う事になった。使用人や侍女それに執事を派遣して欲しい。父上にも報告をしに向かうと先触れを出してくれ。それからウィルソン侯爵がレイラ嬢の行方を聞いて来た場合は私の別荘を教えて欲しい」

「はっ!直ちに!!」「承りました」

 流石に膝を枕にして貰うのは気が引けたので、我が国で作られて居るクッションを枕にし、毛布を掛け横たわらせて居るのだが、一向に目覚める気配を見せない。

「ショックが多き過ぎる故…だろうな」

 目覚める事を拒否して居るのでは?と疑ってしまう。

 それ程に王子(阿呆)からの一言は心に傷を作ってしまったのだと思えた。

 屋敷に到着し、客間のベットに彼女を横たえたのだが目覚めた様子にホッとした。

「・・・う・・・んっ?」

「目が覚めましたか?」

「えっ?!あ、あのっ…ここは?わたくしは王城で…」

「思い出されますと心を傷つけてしまわれます。私は隣国ヴィクトリアに住まいを持つ騎士で、失礼とは思いましたが安全を確保する為、我が屋敷へとお招き致しました。父君には王宮治療師から我が国へ避難した事が伝えられた頃かと存じます」

 一瞬にして全てを思い出したのか、ガタガタと震えてしまうレイラ嬢。

 本来なら未婚の女性に触れる事は許されない事では有るが、傷ついた女性を放置など出来る筈がなかった。

 ふわり…と抱きしめ

「大丈夫だ。ここに悪評は届かない。君が傷つく事は一切ないんだから安心して欲しい。俺が…俺が君の心も守るから…」

 それは本心からだった。

 王子と言う身分は今は隠して居るが、騎士と言う立場は変わらない。

 だからこそ彼女を守りたいと思った。

「アレク様、レイラ様宅から侍女たちがウィルソン侯爵様と共に参られました」

「ああ。ありがとう。レイラ嬢、無事な姿を見せてあげると良いよ」

 カチャ…と扉を開けるとウィルソン宅から彼女を世話して居たで有ろう侍女が2名、その後ろから無事な娘の姿に安堵する父親の姿を目にしたのだ。

「お…父…様っ」

「いいんだ。泣いていいんだよレイラ。君は良く耐えてくれた。あの馬鹿からの求婚を断る事など難しかった。だが、あちらから破棄してくれた事は幸いだったと思おう。これからはレイラの幸福だけを願って居るよ」

「お父様っっ」

 ベットから立ち上がると父親の元へ駆け寄り涙を胸元で隠すレイラ嬢。

 俺は親子水入らずの方が良いだろうと、席を外そうとしたのだが父親で有るローガン・ウィルソン様は私の正体に気づいて居るようだった。

 だが、それを口に出す事をしないでくれた事を今は感謝するしか無い。

「・・・良い方に保護して頂けたようで安心した」

 その言葉でレイラ嬢は自分への悪評が国内へ流れ初めてしまったのではないか?と気付いてしまったようだ。

「わたくし…ジョン様から…婚約を…」

「噂は流れぬ。流れる前に彼が隣国ヴィクトリアへ連れて来て下さった。私も妻も…こちらに居を構えるつもりで用意するから安心して良い」

 何と大胆にも国を離れ我が国に領地を構えるつもりなのだと宣言なさったのだ。

 これならば盛大にあの阿呆(王子)への復讐と言うか、仕返し計画を立てようか
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