不幸は幸福の始まり【完結】

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3.レイラside

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 わたくし、レイラ・ウィルソンには幼き頃から婚約者が居ました。

 それはジョン・ヴァリュー第二王子様で御座います。

 彼との正式な婚約発表は卒業式の行事が行われる日となっており、わたくしは婚約者に相応しい姿となり王城広間へと向かう事となるのですが、事前にジョン様から

「王城に到着したら騎士に案内して貰え」

 そう伝えて頂いた事を不思議には思わず、お忙しいのだろうな…とだけ考え、その日を迎えました。

 端正な顔立ちの騎士に案内を願い出、広間に到着しました所、ジョン様は男爵令嬢、サバンナ様を伴って居る姿を目にし驚きを隠せませんでした。

「レイラ・ウィルソン!貴様は愛しいサバンナを苛めた罪により身分を破棄し国外追放にしてくれる!そして私ジョン・ヴァリューは新たにサバンナ・テーラー男爵令嬢との婚約を宣言する!!我が国から出て行くが良い!」

 そう告げられ意識を保つ事は難しくなり、力なく…倒れてそうになった所から記憶が有りません。

 次に目を覚ました時には何処かの屋敷のベットの上。

 優し気な瞳で心配そうに見つめる、あの時の騎士様が

「目が覚めましたか?」

 と問うてくれましたが、何故…ここに居るのか判りませんでした。

「えっ?!あ、あのっ…ここは?わたくしは王城で…」

 最後に見たのはジョン様が、男爵令嬢を伴い踵(きびす)を返して立ち去った光景。

 どうして…どうして?疑問しか沸きませんでした。

 王太子妃となるべくマナーを学び歴史を学んで来た私が、婚約を破棄される理由に思い当たる節(ふし)は有りません。

「思い出されますと心を傷つけてしまわれます。私は隣国ヴィクトリアに住まいを持つ騎士で、失礼とは思いましたが安全を確保する為、我が屋敷へとお招き致しました。父君には王宮治療師から我が国へ避難した事が伝えられた頃かと存じます」

 ガタガタと震えてしまうのは全てが無駄に終わってしまった事、自分への悪評が国内に轟いてしまう事への恐怖からだと判ってしまいます。

 そんな私の体を優しく…労わるように騎士様が抱きしめて下さり

「大丈夫だ。ここに悪評は届かない。君が傷つく事は一切ないんだから安心して欲しい。俺が…俺が君の心も守るから…」

 と、おっしゃって下さりはしましたが、不安は尽きません。

「アレク様、レイラ様宅から侍女たちがウィルソン侯爵様と共に参られました」

 執事の方でしょうか…私の侍女とお父様が到着したと教えて下さいました。

「ああ。ありがとう。レイラ嬢、無事な姿を見せてあげると良いよ」

 カチャ…と扉が執事の方によって開かれると、私付きの侍女の後ろに安堵の表情を浮かべるお父様を見て涙が溢れそうになりましたわ。

「お…父…様っ」

「いいんだ。泣いていいんだよレイラ。君は良く耐えてくれた。あの馬鹿王子からの求婚を断る事など難しかった。だが、あちらから破棄してくれた事は幸いだったと思おう。これからはレイラの幸福だけを願って居るよ」

「お父様っっ」

 泣いても良いのだと言われてしまいますと、箍(たが)が外れてしまいますわ。

 言葉に甘えて、お父様の胸元で嗚咽を漏らしながら涙させて頂きました。

「良い方に保護して頂けて安心した」

 その言葉で王城広間にて私が婚約破棄を言い渡され国外追放まで言い渡された事を思い出してしまい…ましたわ。

「わたくし…ジョン様から…婚約を…」

「噂は流れぬ。流れる前に彼が隣国ヴィクトリアへ連れて来て下さった。私も妻も…こちらに居を構えるつもりで用意するから安心して良い」

 お父様もお母様と共に、ヴィクトリア国へ来て下さる決断をして下さいましたが、申し訳ない気持ちで一杯になってしまいましたわ
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