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王城編
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* * * *
翌日、朝早くからアレクを第二王子としてお披露目する為の準備が行われて居た。
勿論アレクを冷遇する輩も含まれて居るのだが、流石にランフォースより先に生まれて居たと言う重要な事柄が伝わって居るのか、その冷遇は消えつつ有った。
「つい先日まで平民で騎士を望んで居た奴とは思えない、いでたちだな」
嫌味たっぷりに護衛に付くバルトが吐露する。
「・・・言うな。私でも思って居るんだ」
「お前が『わたし』とか言うと気持ち悪いな」
そう言われ言葉を教える教師に聞こえぬよう小声で
「仕方ないだろ?そこで厳しい目を向けてる野郎が目くじら立てるんだからさ。
俺だって『私』なんて気持ち悪くてしょうがねぇんだ」
なれるまでは大目に見る…と言われては居るが、流石にお披露目される場面で言葉遣いがなって居なければ、何を影で言われるか判ったもんじゃない。
元々、アレクの魂は「私」では有ったが、今や「俺」が定着して居る。
洋子が俺と一体化して、洋子が消えて行く。
日本で生まれ育った事も薄れて行き、やがて異世界の知識が埋め尽くすだろう。
女性では無く男性としての意識になりつつ有る事実を受け止めるしかないな。
「アレクシス殿、そろそろ時間ですぞ」
「判りました。バルト謁見の間まで頼む」
「・・・了解…」
バルトとは幼馴染では有るが、これからは主従の関係となる為、命令形に言葉がなってしまう。
大人になる年齢は15で本来ならアレクはお披露目が済み、近隣諸国の何処かへ留学して居なければならないのだが、今まで孤児として生活して居た事から、王で有るフレデリックは、若かりし頃に恋人が居て、彼女が男児を生んで居た事を最近になって知った、と言う事を周知させ今回の披露目を用意したのだ。
謁見の間に繋がる廊下には使用人たちが列を成してアレクが向かう姿を頭を下げ待って居る。
侍女たちはチラチラ顔を下に向けては居るが、視線を向けては顔を赤らめる。
ライと並べば美丈夫な2人となり、絵になるのは明白。
アレクには母の形見の短剣とライから弟になるのだから、と王家が保管して居る騎士の剣を身に付ける事を許した。
真っ白な軍服に赤地に金縁の大綬を掛け、長く伸びて居た髪は短く刈り込まれ、何処からどうみても「王子」そのものへと変貌して居る。
「・・・これはこれは立派におなりなっておりますな」
「宰相殿…」
「そこは宰相と呼び捨てにするのが正しゅう御座いますぞ。
では扉が開き名を呼ばれたら返事をせず
王様の御前まで進み膝を付きお待ち下さい」
「はい…」
ごくり…と唾を飲み込み、平民から王族になる…と言う緊張で胃が痛くなるが、扉が開き、フレデリックたちが居る前まで進んで行くアレクを狙う馬鹿が自滅する事になるのは正式な名を授ける時となる
翌日、朝早くからアレクを第二王子としてお披露目する為の準備が行われて居た。
勿論アレクを冷遇する輩も含まれて居るのだが、流石にランフォースより先に生まれて居たと言う重要な事柄が伝わって居るのか、その冷遇は消えつつ有った。
「つい先日まで平民で騎士を望んで居た奴とは思えない、いでたちだな」
嫌味たっぷりに護衛に付くバルトが吐露する。
「・・・言うな。私でも思って居るんだ」
「お前が『わたし』とか言うと気持ち悪いな」
そう言われ言葉を教える教師に聞こえぬよう小声で
「仕方ないだろ?そこで厳しい目を向けてる野郎が目くじら立てるんだからさ。
俺だって『私』なんて気持ち悪くてしょうがねぇんだ」
なれるまでは大目に見る…と言われては居るが、流石にお披露目される場面で言葉遣いがなって居なければ、何を影で言われるか判ったもんじゃない。
元々、アレクの魂は「私」では有ったが、今や「俺」が定着して居る。
洋子が俺と一体化して、洋子が消えて行く。
日本で生まれ育った事も薄れて行き、やがて異世界の知識が埋め尽くすだろう。
女性では無く男性としての意識になりつつ有る事実を受け止めるしかないな。
「アレクシス殿、そろそろ時間ですぞ」
「判りました。バルト謁見の間まで頼む」
「・・・了解…」
バルトとは幼馴染では有るが、これからは主従の関係となる為、命令形に言葉がなってしまう。
大人になる年齢は15で本来ならアレクはお披露目が済み、近隣諸国の何処かへ留学して居なければならないのだが、今まで孤児として生活して居た事から、王で有るフレデリックは、若かりし頃に恋人が居て、彼女が男児を生んで居た事を最近になって知った、と言う事を周知させ今回の披露目を用意したのだ。
謁見の間に繋がる廊下には使用人たちが列を成してアレクが向かう姿を頭を下げ待って居る。
侍女たちはチラチラ顔を下に向けては居るが、視線を向けては顔を赤らめる。
ライと並べば美丈夫な2人となり、絵になるのは明白。
アレクには母の形見の短剣とライから弟になるのだから、と王家が保管して居る騎士の剣を身に付ける事を許した。
真っ白な軍服に赤地に金縁の大綬を掛け、長く伸びて居た髪は短く刈り込まれ、何処からどうみても「王子」そのものへと変貌して居る。
「・・・これはこれは立派におなりなっておりますな」
「宰相殿…」
「そこは宰相と呼び捨てにするのが正しゅう御座いますぞ。
では扉が開き名を呼ばれたら返事をせず
王様の御前まで進み膝を付きお待ち下さい」
「はい…」
ごくり…と唾を飲み込み、平民から王族になる…と言う緊張で胃が痛くなるが、扉が開き、フレデリックたちが居る前まで進んで行くアレクを狙う馬鹿が自滅する事になるのは正式な名を授ける時となる
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