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《番外編3》うさぎとライオン
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聖者様の日。
リオはいつもどおり、鶏の鳴き声と共に起きると、朝の水くみに行った。
だけど、いつもとはちがう。首からぶら下げた袋には、アウレリオへのプレゼントが入っている。
わくわくする。
よろこんでもらえるのかな。
使ってもらえるのかな。
うきうき、そわそわ。
みんなが一月も前から何をプレゼントしようかと浮足立つ気持ちがはじめてわかった。
いつ渡したらいいんだろう。
一緒にいる時間は長いのに、アウレリオにリオから話しかけられるタイミングはほとんどない。
であれば、朝しかない。
音を立てずにアウレリオのベッドの脇に立ち、アウレリオの寝顔をのぞきこむ。
起きているときの鋭い眼差しや冷ややかな雰囲気はない。油断しきった姿を見られるのは、お側付きの特権だ。
なんとなくうれしくなってしまい、ニコニコしながら寝顔を見つめている。
目を覚ましたら、なんて言おう。
かっこよく指輪を差し出して、「聖者様の日の贈り物があります。気に入っていただけたらうれしいです」とか?
うん、いいんじゃないか?これでいってみよう。
「なんだ」
アウレリオが目をつむったまま言い、リオは飛び上がった。
「ア、アウレレロ様!」舌が回らない。「起きてらっしゃったんですか?いつから?」
「お前がベッドの脇に立ったときに。鼻息の音で目が覚めた」
「うそっ」
「本当だ」
「えー・・・」かっこいいどころか鼻息だなんて・・・
アウレリオがくすくすと笑った。
「まあ、完全な嘘ではないが、それほど鼻息の音が大きかったわけではないぞ」
「そんなぁ」
作戦は台無しだ。
「朝のお水をお持ちしました」
結局いつもの決まり文句を言い、自分で一杯飲んでから、水を差し出す。
アウレリオは何も言わずに水を受け取り、飲み干すとマグをリオに返した。
「そういえば、今日は聖者様の日だが、予定はあるのか?」
「予定?」
「皆休みをとって家族と過ごしたり、街へ出かけたりするだろう。昨年はお前も出かけられるような状態ではなかったが、今年はなにかしたいことをして楽しむといい」
「え・・・?だってアウレーリョ様のお世話は?」
「なんとかなるさ」
「えー・・・」
突然奈落のそこに突き落とされた気分だ。
リオがいないと困る、とは思っていなかったけど、そう言ってほしかったのに。
膨らんだ気持ちがしゅんっと音を立ててしぼんでしまう。
「俺・・・行くところもないし・・・」
情けないことに、目の前がにじんできた。絶対に泣いちゃだめなのに。
うつむいたリオのつむじを見て、アウレリオはどこで失敗したのかと首をかしげた。
最近はリオも休みをとって街に遊びに行くこともあると聞いていたのに。
「聖者様の日は街に出店が出るだろう?特別な菓子も売っているし。なんなら手当を出してやろう」
「・・・いいです」
我慢できずにぽろっと一粒涙がこぼれた。うつむいたままだからアウレリオ様からは見えないにちがいない。
「何年か前、勉強にと連れて行ってもらったことがある。みな楽しそうにしていたな。あんなふうな気楽な身分がうらやましいと思ったものだ。だから・・・」
アウレリオには悪気は無いのはわかっている。むしろ、いい主人だとも。でも、リオが一番好きなのはアウレリオなのに。水や焼き菓子を運ぶぐらいしかできないけど、その役目すらなんとかなる?
急に胸元にしまった指輪がちっぽけでつまらないものに思えてきた。
あんな粗末な指輪、アウレリオ様がよろこぶわけもないのに。馬鹿みたいだ。
「リオ?なんで泣いているんだ?」
アウレリオがリオの肩をつかんだ。
「もしかして、休みがうれしくて泣いているのか?遠慮しなくていいんだぞ。一年に一度の・・・」
「・・・」
気がつけば涙があふれて止まらなくなっていた。この間、うさぎが壊れてアウレリオ様の前で泣いてから、何かが崩れてしまったようだ。
うつむいてぽたぽたと涙を落とすリオを見て、アウレリオはひとつ息をついた。
「そこの引き出しを開けろ」
アウレリオがサイドボードの引き出しを指差し、リオは涙をぬぐって引き出しを開けた。引き出しの中には小さなうさぎの砂糖菓子が入っていた。しかもその横には・・・金色の・・・子どものライオン?二匹とも赤い三角帽子をかぶっている。
「持って来い」
「はい」
リオが両手にうさぎとライオンの砂糖菓子を載せ、アウレリオに差し出すと、アウレリオがその上に両手をかざした。ぽうっと金色の光がともり、うさぎとライオンが命を持っているかのように動き出した。
「えっ?」
「気に入っていたんだろう?」
リオが驚くと同時に、うさぎが手の中からぴょんとはねた。
「え?」うさぎはアウレリオのベッドの上を駆け回り、その後を金色のライオンがのっそりと歩く。ライオンは、アウレリオの膝の上であくびをすると丸くなってしまった。うさぎはまだ駆け回っている。
「お、おまえだめだよ!御主人様のベッドの上を走っちゃ!」
うさぎを捕まえようとして、ベッドの周りを走り回るが、うさぎは慌てるリオを面白がるようにぴょんぴょん跳ね回っている。
「こらっ!」リオは大きく手を伸ばし、ベッドに倒れ込んだ。手の中には金色に光る間抜けな顔の白いうさぎ。同時に胸元から袋が飛び出し、ころころと指輪がベッドの上を転がった。
「あっ!」
「なんだ?」
金色のライオンと同じように、リオの慌てる姿を見ていたアウレリオの手元に引き寄せられるように指輪は転がり、ぱたりと止まった。
「・・・指輪?だが、ずいぶんと小さいが、子供用か?」
うさぎを追いかけ回すのに忙しくて、すっかり忘れていた。ついでに涙もひっこんでいる。
「あのー・・・」
「内側に刻印が入っているな。RよりAへ・・・Rはお前か?」
「・・・はい」
「へえ。金の指輪とは。子供のくせに恋人でもできたのか?指輪の意味をわかってるのか?ずいぶんませてるな」
「いえ、あの・・・その・・・」
かっこよく言うつもりだったのに、何も言葉が出てこない。
「ほら、大切にしろ」
アウレリオはそう言うとリオに指輪を差し出した。
「高価なものだろう?」
「はい、それはそうなんですけど、でも、そうじゃなくて」
「早く受け取れ」
「・・・あのー・・・」
「なんだ」
「あのですね。Aは若様です」
「は?」
「Aだけは俺が刻印させてもらったんですよ。Rは難しくて、親方にやってもらいました」
「・・・どういうことだ?」
ああ、もう!かっこよく渡そうと思ってたのに。なんでこんなにバタバタして、しかも、ませてるって・・・自分だって子供のくせに。
「せ、聖者様の日の贈り物です!」
い、言えた・・・
「贈り物?私に?」
今度はアウレリオが言葉を失う番だった。
「だが、高価すぎるだろう。お前の給金のほとんどがなくなったんじゃないか?」
「べつに」リオは肩をすくめた。「使い道もないんで。アウレリオ様には黄金が似合うでしょう?」
「・・・そうか」
「そうですよ!でも、金で作るものって、俺、指輪くらいしか思いつかなくて」
「そうか」アウレリオはくすくすと笑い出した。「指輪の意味をわかってるのか?いや、わかってないだろうな」
そう言いながら指輪をはめようとするが、あいにくどの指にも大きすぎるか小さすぎる。
最後に、左手の薬指を試すと指輪は最初からそこが定位置であったかのように、するりと収まった。
「ぴったりだな」
「俺の親指と同じ太さなんですね!」リオがうれしそうに笑い、アウレリオは吹き出した。
「ははは、そうだな。お前は本当に私を笑わせるのが上手いな」
「へへ、そうだったらうれしいです。アウレリオ様、気に入ってくれましたか?」
「ああ、気に入った」
「えへへー」
「アウレリオ様、朝のお湯をお持ちいたしました」ドアの外からは侍従の声が響く。
アウレリオが指を一回鳴らすと、駆け回っていたうさぎも退屈そうにあくびをしていたライオンも、ぴたりと動きを止め、ただの砂糖菓子に変わった。魔法の名残なのか、去年もらったうさぎと同じように金色の光を放っている。
「入れ」
アウレリオが言うと同時に扉が開く。
「おはようございます」
てきぱきと朝の身支度のための準備を整える侍従にアウレリオが声をかけた。
「今日は休める者は休んでいい。そして・・・」アウレリオがリオをちらっとみた「休みたくない者は休まなくていい」
「かしこまりましてございます。お気遣いありがとうございます」
侍従が頭を下げた。
(今日のアウレリオ様は随分とご機嫌でいらっしゃる。やはり人の子でいらっしゃるのか・・・だが、休みたくない者、とは?)
ちらっと疑問は浮かんだが、祝祭日の忙しさにまぎれ、その疑問は忘れ去られた。
リオが両手にうさぎとライオンの砂糖菓子を大切そうに抱え、こっそりと長持ちにしまったのも誰にも気づかれず。
ただ晴れやかに、一年に一度の祝祭日は始まった。
これから、アウレリオは挨拶に来る者たちの対応で一日中忙しく、リオたちは主人からのごちそうが振る舞われる特別な日だ。
空は青く、風は柔らかく。そして、アウレリオの指にピッタリとはまった指輪のように、太陽はきらきらと輝いていた。
《番外編 おしまい》
***********************
《お礼》
お読みいただきまして、ありがとうございました。
第二部に入るんじゃないのかよ、と突っ込まれそうですが、終わったあとでは書けない気がしまして、むりやり書いてしまいました。クリスマスシーズンなので許してください。
そして、明日から第二部が始まります。
何故か整理がいまひとつ進んでいないので、途中時々お休みのリスクありです(事前に宣言してしまいます)
ですが、可能な限りがんばります。
そして、定休日を木曜日にしようかなーと考えています。
定休日をつくらないと、途中息切れしてしまうので、これはあったほうがいいかなと思ってます。
ストックがたくさんあれば、いらないんですけどね。
そして、応援のコメント、♡、広告、お礼を言うことがたくさんです!
いつもありがとうございます。
一緒に最後まで走っていただけるとうれしいです。
明日は、なにか美味しいものが食べられるように願っています。
それでは、また明日、お会いしましょう♡
リオはいつもどおり、鶏の鳴き声と共に起きると、朝の水くみに行った。
だけど、いつもとはちがう。首からぶら下げた袋には、アウレリオへのプレゼントが入っている。
わくわくする。
よろこんでもらえるのかな。
使ってもらえるのかな。
うきうき、そわそわ。
みんなが一月も前から何をプレゼントしようかと浮足立つ気持ちがはじめてわかった。
いつ渡したらいいんだろう。
一緒にいる時間は長いのに、アウレリオにリオから話しかけられるタイミングはほとんどない。
であれば、朝しかない。
音を立てずにアウレリオのベッドの脇に立ち、アウレリオの寝顔をのぞきこむ。
起きているときの鋭い眼差しや冷ややかな雰囲気はない。油断しきった姿を見られるのは、お側付きの特権だ。
なんとなくうれしくなってしまい、ニコニコしながら寝顔を見つめている。
目を覚ましたら、なんて言おう。
かっこよく指輪を差し出して、「聖者様の日の贈り物があります。気に入っていただけたらうれしいです」とか?
うん、いいんじゃないか?これでいってみよう。
「なんだ」
アウレリオが目をつむったまま言い、リオは飛び上がった。
「ア、アウレレロ様!」舌が回らない。「起きてらっしゃったんですか?いつから?」
「お前がベッドの脇に立ったときに。鼻息の音で目が覚めた」
「うそっ」
「本当だ」
「えー・・・」かっこいいどころか鼻息だなんて・・・
アウレリオがくすくすと笑った。
「まあ、完全な嘘ではないが、それほど鼻息の音が大きかったわけではないぞ」
「そんなぁ」
作戦は台無しだ。
「朝のお水をお持ちしました」
結局いつもの決まり文句を言い、自分で一杯飲んでから、水を差し出す。
アウレリオは何も言わずに水を受け取り、飲み干すとマグをリオに返した。
「そういえば、今日は聖者様の日だが、予定はあるのか?」
「予定?」
「皆休みをとって家族と過ごしたり、街へ出かけたりするだろう。昨年はお前も出かけられるような状態ではなかったが、今年はなにかしたいことをして楽しむといい」
「え・・・?だってアウレーリョ様のお世話は?」
「なんとかなるさ」
「えー・・・」
突然奈落のそこに突き落とされた気分だ。
リオがいないと困る、とは思っていなかったけど、そう言ってほしかったのに。
膨らんだ気持ちがしゅんっと音を立ててしぼんでしまう。
「俺・・・行くところもないし・・・」
情けないことに、目の前がにじんできた。絶対に泣いちゃだめなのに。
うつむいたリオのつむじを見て、アウレリオはどこで失敗したのかと首をかしげた。
最近はリオも休みをとって街に遊びに行くこともあると聞いていたのに。
「聖者様の日は街に出店が出るだろう?特別な菓子も売っているし。なんなら手当を出してやろう」
「・・・いいです」
我慢できずにぽろっと一粒涙がこぼれた。うつむいたままだからアウレリオ様からは見えないにちがいない。
「何年か前、勉強にと連れて行ってもらったことがある。みな楽しそうにしていたな。あんなふうな気楽な身分がうらやましいと思ったものだ。だから・・・」
アウレリオには悪気は無いのはわかっている。むしろ、いい主人だとも。でも、リオが一番好きなのはアウレリオなのに。水や焼き菓子を運ぶぐらいしかできないけど、その役目すらなんとかなる?
急に胸元にしまった指輪がちっぽけでつまらないものに思えてきた。
あんな粗末な指輪、アウレリオ様がよろこぶわけもないのに。馬鹿みたいだ。
「リオ?なんで泣いているんだ?」
アウレリオがリオの肩をつかんだ。
「もしかして、休みがうれしくて泣いているのか?遠慮しなくていいんだぞ。一年に一度の・・・」
「・・・」
気がつけば涙があふれて止まらなくなっていた。この間、うさぎが壊れてアウレリオ様の前で泣いてから、何かが崩れてしまったようだ。
うつむいてぽたぽたと涙を落とすリオを見て、アウレリオはひとつ息をついた。
「そこの引き出しを開けろ」
アウレリオがサイドボードの引き出しを指差し、リオは涙をぬぐって引き出しを開けた。引き出しの中には小さなうさぎの砂糖菓子が入っていた。しかもその横には・・・金色の・・・子どものライオン?二匹とも赤い三角帽子をかぶっている。
「持って来い」
「はい」
リオが両手にうさぎとライオンの砂糖菓子を載せ、アウレリオに差し出すと、アウレリオがその上に両手をかざした。ぽうっと金色の光がともり、うさぎとライオンが命を持っているかのように動き出した。
「えっ?」
「気に入っていたんだろう?」
リオが驚くと同時に、うさぎが手の中からぴょんとはねた。
「え?」うさぎはアウレリオのベッドの上を駆け回り、その後を金色のライオンがのっそりと歩く。ライオンは、アウレリオの膝の上であくびをすると丸くなってしまった。うさぎはまだ駆け回っている。
「お、おまえだめだよ!御主人様のベッドの上を走っちゃ!」
うさぎを捕まえようとして、ベッドの周りを走り回るが、うさぎは慌てるリオを面白がるようにぴょんぴょん跳ね回っている。
「こらっ!」リオは大きく手を伸ばし、ベッドに倒れ込んだ。手の中には金色に光る間抜けな顔の白いうさぎ。同時に胸元から袋が飛び出し、ころころと指輪がベッドの上を転がった。
「あっ!」
「なんだ?」
金色のライオンと同じように、リオの慌てる姿を見ていたアウレリオの手元に引き寄せられるように指輪は転がり、ぱたりと止まった。
「・・・指輪?だが、ずいぶんと小さいが、子供用か?」
うさぎを追いかけ回すのに忙しくて、すっかり忘れていた。ついでに涙もひっこんでいる。
「あのー・・・」
「内側に刻印が入っているな。RよりAへ・・・Rはお前か?」
「・・・はい」
「へえ。金の指輪とは。子供のくせに恋人でもできたのか?指輪の意味をわかってるのか?ずいぶんませてるな」
「いえ、あの・・・その・・・」
かっこよく言うつもりだったのに、何も言葉が出てこない。
「ほら、大切にしろ」
アウレリオはそう言うとリオに指輪を差し出した。
「高価なものだろう?」
「はい、それはそうなんですけど、でも、そうじゃなくて」
「早く受け取れ」
「・・・あのー・・・」
「なんだ」
「あのですね。Aは若様です」
「は?」
「Aだけは俺が刻印させてもらったんですよ。Rは難しくて、親方にやってもらいました」
「・・・どういうことだ?」
ああ、もう!かっこよく渡そうと思ってたのに。なんでこんなにバタバタして、しかも、ませてるって・・・自分だって子供のくせに。
「せ、聖者様の日の贈り物です!」
い、言えた・・・
「贈り物?私に?」
今度はアウレリオが言葉を失う番だった。
「だが、高価すぎるだろう。お前の給金のほとんどがなくなったんじゃないか?」
「べつに」リオは肩をすくめた。「使い道もないんで。アウレリオ様には黄金が似合うでしょう?」
「・・・そうか」
「そうですよ!でも、金で作るものって、俺、指輪くらいしか思いつかなくて」
「そうか」アウレリオはくすくすと笑い出した。「指輪の意味をわかってるのか?いや、わかってないだろうな」
そう言いながら指輪をはめようとするが、あいにくどの指にも大きすぎるか小さすぎる。
最後に、左手の薬指を試すと指輪は最初からそこが定位置であったかのように、するりと収まった。
「ぴったりだな」
「俺の親指と同じ太さなんですね!」リオがうれしそうに笑い、アウレリオは吹き出した。
「ははは、そうだな。お前は本当に私を笑わせるのが上手いな」
「へへ、そうだったらうれしいです。アウレリオ様、気に入ってくれましたか?」
「ああ、気に入った」
「えへへー」
「アウレリオ様、朝のお湯をお持ちいたしました」ドアの外からは侍従の声が響く。
アウレリオが指を一回鳴らすと、駆け回っていたうさぎも退屈そうにあくびをしていたライオンも、ぴたりと動きを止め、ただの砂糖菓子に変わった。魔法の名残なのか、去年もらったうさぎと同じように金色の光を放っている。
「入れ」
アウレリオが言うと同時に扉が開く。
「おはようございます」
てきぱきと朝の身支度のための準備を整える侍従にアウレリオが声をかけた。
「今日は休める者は休んでいい。そして・・・」アウレリオがリオをちらっとみた「休みたくない者は休まなくていい」
「かしこまりましてございます。お気遣いありがとうございます」
侍従が頭を下げた。
(今日のアウレリオ様は随分とご機嫌でいらっしゃる。やはり人の子でいらっしゃるのか・・・だが、休みたくない者、とは?)
ちらっと疑問は浮かんだが、祝祭日の忙しさにまぎれ、その疑問は忘れ去られた。
リオが両手にうさぎとライオンの砂糖菓子を大切そうに抱え、こっそりと長持ちにしまったのも誰にも気づかれず。
ただ晴れやかに、一年に一度の祝祭日は始まった。
これから、アウレリオは挨拶に来る者たちの対応で一日中忙しく、リオたちは主人からのごちそうが振る舞われる特別な日だ。
空は青く、風は柔らかく。そして、アウレリオの指にピッタリとはまった指輪のように、太陽はきらきらと輝いていた。
《番外編 おしまい》
***********************
《お礼》
お読みいただきまして、ありがとうございました。
第二部に入るんじゃないのかよ、と突っ込まれそうですが、終わったあとでは書けない気がしまして、むりやり書いてしまいました。クリスマスシーズンなので許してください。
そして、明日から第二部が始まります。
何故か整理がいまひとつ進んでいないので、途中時々お休みのリスクありです(事前に宣言してしまいます)
ですが、可能な限りがんばります。
そして、定休日を木曜日にしようかなーと考えています。
定休日をつくらないと、途中息切れしてしまうので、これはあったほうがいいかなと思ってます。
ストックがたくさんあれば、いらないんですけどね。
そして、応援のコメント、♡、広告、お礼を言うことがたくさんです!
いつもありがとうございます。
一緒に最後まで走っていただけるとうれしいです。
明日は、なにか美味しいものが食べられるように願っています。
それでは、また明日、お会いしましょう♡
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