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第三十五話 目覚め
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耳に刺さるような鶏の鳴き声にハッと目を覚ます。
(寝過ごした!)
長年の習慣で、鶏の鳴き声と陽の高さから瞬時に時間を見図る。
藁布団を飛び出そうとした瞬間、お腹に回った腕が強い力で引き寄せた。
(えっ?)
身体を包むシルクのシーツ。ふわふわの羽布団。何よりも、背中に感じる温かな人の身体。
そして、身体を引き寄せるごつごつとした大きな手。
その手の感触は、あまりにもはっきりしている。服の上からではなく、直接触っているかのように・・・
おそるおそる布団の中をのぞきこむと・・・
(やっぱり!何も着ていない!何で!?)
頭に血が昇り、目の前がくらくらした。
でもここがどこなのか、はっきりわかる。
もう十年以上も毎晩眠っている部屋だ。いつもと視点がちがうけど・・・そう、ここはアウレリオ様のベッドの上。
「目が覚めたのか?」
寝覚めのすこしかすれた声が耳をくすぐる。
アウレリオは少し低血圧なので、朝目が覚めるまでは少し時間がかかる。その声も毎日聞いている声なのに、今朝は妙に色っぽく聞こえる。
「体調は?もう少しゆっくりしたらどうだ?」
アウレリオは、親しげにリオの腰を引き寄せ、耳に息がかかった。
(あ、あ、アウレリオさま・・・!?一体何が起こっているんですか?何をどう聞いたらいいのか・・・)
「リオ」
かすれた声で耳元でささやかれ、背中に快感が走った。
「あ、あ、あの・・・」胸が震えてまともに声が出ない。
「ん?どうした?」
な、なんで今朝はそんなに甘い声を出すんですか?
いやそうじゃなくて、なんで俺は裸なんですか?
それでもなくて、なんでアウレリオ様のベッドで寝ているんですか?
何から聞いたらいいんだろう。
自分の全身が真っ赤に染まっているのが分かる。
ああ、もうどうしたら!?
「リーオ」
アウレリオが優しくリオを引き寄せ、自分の方を向かせた。
アウレリオはリオとはちがい、しっかりと寝巻きを着ていた。シルクのすべすべとした感触が頬をくすぐる。
「体調はどうだ?」
「た、体調?」
「その調子だと、すっかり良くなったらしいな。夕べのは何だったんだ?知恵熱か?」
「ち、知恵熱?」
「すごい高熱で、しかもうなされ続けていたんだが。覚えていないか?」
「いえ、あの、その・・・」
なんとなく思い出してきた。
アウレリオの婚約者が屋敷に来ると聞いてから、苦しくてつらくて、このまま消えてしまいたいと願った。
その後の記憶は曖昧だ。
うっすらと、水を飲ませてもらったような記憶はある。
だけど・・・
「なんで、俺は裸で若様のベッドで寝ていたんでしょうか」
一番の疑問が口をついて出ると、同時にアウレリオの目が面白そうに光った。
「それは、お前が自分で脱いだからだろう」
「じ、自分で脱いだ?」
「昨夜はひどい熱で、お前の着ていた寝間着はびしょ濡れになった。だから、汗をふいて着替えさせたんだが、着替えが気に入らなかったのか、暑い暑いと叫んで寝間着を自分で脱いでしまったんだ。そこに」アウレリオの指先の床の上には、アウレリオのものらしい絹の寝間着が丸まって落ちていた。
「ど、どうしよう。俺が、自分で脱いだ?」
リオはあわてて寝間着を拾おうとベッドから飛び出した。
「あっ!」
自分が真っ裸だったことを思い出す。
前を隠そうとしたけど、恥ずかしくなってしゃがみ込んでしまった。
アウレリオからは、リオの細い腰と白い尻が丸見えになっていた。
「お前は一体何がしたいんだ」
アウレリオが笑いながら、リオの身体をシーツでくるんだ。
「昨夜はすごい熱だったんだ。しかも、かなりうなされていたし。今日はゆっくり休め、いいな?」
「わ、若様」
アウレリオがひょいとリオの身体を持ち上げ、ベッドの上にそっと下ろした。
「いいな。昨夜は緊急避難だったんだ。その・・・お前は以前、男色など気持ちが悪いと言っていたが、そんな意味はない。分かるな」
リオはアウレリオの顔を見上げた。
「気持ちが悪い・・・?」
「そうだ。お前がそういったんだろう?」
気がつけば、アウレリオの態度はいつものようによそよそしくない。
優しくて、昔に戻ったみたいだ。リオはホッとすると同時に、うれしさが胸にふつふつとこみあげた。
だけど、アウレリオ様はなにかとても大事なことを言っている気がする。
正直に話してもいい気がする。
「・・・覚えてません。いつですか?」
「かなり前だが・・・なにも無理強いする気はないから、安心して・・・」
「あ、あの!」アウレリオ様は、俺が男色なんて気持ちが悪いと思っていると、そうおっしゃっているのか?「警備隊長は、恐ろしかったし、肌を触られれたとき、ゾッとしました。気持ちが悪かったです。でも・・・」
ここから先を言ったら、アウレリオの従者をやめさせられてしまうかもしれない。
だけど、言わなければ、誤解されてしまう。
「若様が、俺にすることで気持ちの悪いことなんて、ひとつもないです」
「・・・リオ?」
「き、きもちのわるいことなんて、ひとっつもないです!信じてください!」
「リオ・・・」アウレリオがリオの頬に触れた。「こうしても?」
アウレリオの指が、そして手のひらが、リオの頬をおおった。
リオは目をアウレリオの手のひらに頬を擦り寄せ、アウレリオをじっと見つめた。その瞳はうるみ、熱っぽかった。
「リオ、そんな目で見たら、かんちがいされるぞ?」
「かんちがい・・・?」
アウレリオの唇がかすかにリオの唇に重なり、すぐ離れた。
「そうだ、こういうふうに」
(えっ?)
リオが大きく目を見開くと同時に部屋のドアがノックされた。
***********************
(お礼)
お読みいただきまして、そしてハートと広告をありがとうございました!
とにかく皆様に温かい日差しが降り注ぐことを願っています。
ちょうどいい感じになってきたのに、明日は忘年会(2回目)のため、おやすみです。続きは土曜日に掲載予定です。
ストック無しだから、こういうことになるんですよね、と反省しきりです。
また、土曜日にお会いしましょう♡
(寝過ごした!)
長年の習慣で、鶏の鳴き声と陽の高さから瞬時に時間を見図る。
藁布団を飛び出そうとした瞬間、お腹に回った腕が強い力で引き寄せた。
(えっ?)
身体を包むシルクのシーツ。ふわふわの羽布団。何よりも、背中に感じる温かな人の身体。
そして、身体を引き寄せるごつごつとした大きな手。
その手の感触は、あまりにもはっきりしている。服の上からではなく、直接触っているかのように・・・
おそるおそる布団の中をのぞきこむと・・・
(やっぱり!何も着ていない!何で!?)
頭に血が昇り、目の前がくらくらした。
でもここがどこなのか、はっきりわかる。
もう十年以上も毎晩眠っている部屋だ。いつもと視点がちがうけど・・・そう、ここはアウレリオ様のベッドの上。
「目が覚めたのか?」
寝覚めのすこしかすれた声が耳をくすぐる。
アウレリオは少し低血圧なので、朝目が覚めるまでは少し時間がかかる。その声も毎日聞いている声なのに、今朝は妙に色っぽく聞こえる。
「体調は?もう少しゆっくりしたらどうだ?」
アウレリオは、親しげにリオの腰を引き寄せ、耳に息がかかった。
(あ、あ、アウレリオさま・・・!?一体何が起こっているんですか?何をどう聞いたらいいのか・・・)
「リオ」
かすれた声で耳元でささやかれ、背中に快感が走った。
「あ、あ、あの・・・」胸が震えてまともに声が出ない。
「ん?どうした?」
な、なんで今朝はそんなに甘い声を出すんですか?
いやそうじゃなくて、なんで俺は裸なんですか?
それでもなくて、なんでアウレリオ様のベッドで寝ているんですか?
何から聞いたらいいんだろう。
自分の全身が真っ赤に染まっているのが分かる。
ああ、もうどうしたら!?
「リーオ」
アウレリオが優しくリオを引き寄せ、自分の方を向かせた。
アウレリオはリオとはちがい、しっかりと寝巻きを着ていた。シルクのすべすべとした感触が頬をくすぐる。
「体調はどうだ?」
「た、体調?」
「その調子だと、すっかり良くなったらしいな。夕べのは何だったんだ?知恵熱か?」
「ち、知恵熱?」
「すごい高熱で、しかもうなされ続けていたんだが。覚えていないか?」
「いえ、あの、その・・・」
なんとなく思い出してきた。
アウレリオの婚約者が屋敷に来ると聞いてから、苦しくてつらくて、このまま消えてしまいたいと願った。
その後の記憶は曖昧だ。
うっすらと、水を飲ませてもらったような記憶はある。
だけど・・・
「なんで、俺は裸で若様のベッドで寝ていたんでしょうか」
一番の疑問が口をついて出ると、同時にアウレリオの目が面白そうに光った。
「それは、お前が自分で脱いだからだろう」
「じ、自分で脱いだ?」
「昨夜はひどい熱で、お前の着ていた寝間着はびしょ濡れになった。だから、汗をふいて着替えさせたんだが、着替えが気に入らなかったのか、暑い暑いと叫んで寝間着を自分で脱いでしまったんだ。そこに」アウレリオの指先の床の上には、アウレリオのものらしい絹の寝間着が丸まって落ちていた。
「ど、どうしよう。俺が、自分で脱いだ?」
リオはあわてて寝間着を拾おうとベッドから飛び出した。
「あっ!」
自分が真っ裸だったことを思い出す。
前を隠そうとしたけど、恥ずかしくなってしゃがみ込んでしまった。
アウレリオからは、リオの細い腰と白い尻が丸見えになっていた。
「お前は一体何がしたいんだ」
アウレリオが笑いながら、リオの身体をシーツでくるんだ。
「昨夜はすごい熱だったんだ。しかも、かなりうなされていたし。今日はゆっくり休め、いいな?」
「わ、若様」
アウレリオがひょいとリオの身体を持ち上げ、ベッドの上にそっと下ろした。
「いいな。昨夜は緊急避難だったんだ。その・・・お前は以前、男色など気持ちが悪いと言っていたが、そんな意味はない。分かるな」
リオはアウレリオの顔を見上げた。
「気持ちが悪い・・・?」
「そうだ。お前がそういったんだろう?」
気がつけば、アウレリオの態度はいつものようによそよそしくない。
優しくて、昔に戻ったみたいだ。リオはホッとすると同時に、うれしさが胸にふつふつとこみあげた。
だけど、アウレリオ様はなにかとても大事なことを言っている気がする。
正直に話してもいい気がする。
「・・・覚えてません。いつですか?」
「かなり前だが・・・なにも無理強いする気はないから、安心して・・・」
「あ、あの!」アウレリオ様は、俺が男色なんて気持ちが悪いと思っていると、そうおっしゃっているのか?「警備隊長は、恐ろしかったし、肌を触られれたとき、ゾッとしました。気持ちが悪かったです。でも・・・」
ここから先を言ったら、アウレリオの従者をやめさせられてしまうかもしれない。
だけど、言わなければ、誤解されてしまう。
「若様が、俺にすることで気持ちの悪いことなんて、ひとつもないです」
「・・・リオ?」
「き、きもちのわるいことなんて、ひとっつもないです!信じてください!」
「リオ・・・」アウレリオがリオの頬に触れた。「こうしても?」
アウレリオの指が、そして手のひらが、リオの頬をおおった。
リオは目をアウレリオの手のひらに頬を擦り寄せ、アウレリオをじっと見つめた。その瞳はうるみ、熱っぽかった。
「リオ、そんな目で見たら、かんちがいされるぞ?」
「かんちがい・・・?」
アウレリオの唇がかすかにリオの唇に重なり、すぐ離れた。
「そうだ、こういうふうに」
(えっ?)
リオが大きく目を見開くと同時に部屋のドアがノックされた。
***********************
(お礼)
お読みいただきまして、そしてハートと広告をありがとうございました!
とにかく皆様に温かい日差しが降り注ぐことを願っています。
ちょうどいい感じになってきたのに、明日は忘年会(2回目)のため、おやすみです。続きは土曜日に掲載予定です。
ストック無しだから、こういうことになるんですよね、と反省しきりです。
また、土曜日にお会いしましょう♡
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