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第三十六話 心臓が破裂しそう!
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急速に体中の血が沸騰し、ぞくぞくと泡のように駆け上がった。
赤く染まった顔はますます赤くなり、湯気が噴き出してしまいそうだ。
一瞬だけ触れた唇は、魅惑的で、もっともっととせがみたくなる。
いつもだったら、リオが扉を開けるはずなのに、返事もないことを不審に思ったのか、「アウレリオさま?」と少し険を含んだ侍従の声が聞こえた。
アウレリオはちらりと扉を見ると、指先を動かし、扉が開かないようにした。
腕の中のリオはふにゃふにゃにとろけたような表情でアウレリオを見つめている。
(なんだこいつは)
思わず笑いがこみ上げる。こんな簡単なことだったのか。何年間もお互いによそよそしく同じ部屋で過ごしてきたのに。だが、これ以上は今は危険だ。
「リオ」
「はい」
リオが返事をしたが、とても冷静に判断が出来ているとは思えない。
「服を着ろ」
「え?」
「服を、着ろ」
リオは目をぱちくりしたあと、シーツの下は裸だということに気がついた。
「す、すみません」
あわてて長持ちの中から自分の服を引っ張り出す。
「アウレリオさま、何かあったのですか?」
今は、侍従の声に不安が混じっている。
「今すぐ、開けます!お待ち下さい!」
リオが予備の寝間着を頭からかぶり、駆け寄った瞬間、扉が開いた。
「なんだ、もっと早く扉を開けなさい。湯が冷めてしまうではないか」
「は、はい。すみませんでした」
「しかもなんだ、その格好は。主人に寝巻き姿を見せるなど、恥を知りなさい」
ぷりぷりしながら侍従がアウレリオの朝の支度を始め、アウレリオがリオに水差を持って外に行くようにと目配せした。
ずいぶん、のぼせ上がってしまっていたらしい。
リオは、寝間着のすそをひるがえしながら井戸まで走っていった。このままアウレリオのそばにいては、何かやらかしてしまいそうだ。
********************
アウレリオ様がしたのは、くちづけ?それとも、ぼうっとしている従者に注意を与えただけで深い意味はない?
それとも・・・
頭の中はアウレリオのくちびるの感触でいっぱい。
危うく水差を落としそうになったり、朝食のときはスープをこぼしてしまった。
廊下で道に迷い、柱に頭をぶつけ・・・
それなのにへらへらと笑うリオを、皆気味悪そうにながめていた。
「そろそろ、お茶の」侍従が言いかけると、リオはがたんと音を立てて立ち上がった。
僅かな空き時間は、アウレリオの補助ができるように領地の勉強をすることになっているが、今日は目の前の文字が踊ってばかりで全然頭に入ってこない。とにかく、頭にあるのはアウレリオのことだけ。
「お、お、おれが・・・」
「何を焦ってるんだ?お前の担当だろう?」
「そ、そ、そうです。俺が、お茶を・・・」
「そういえば、お前もそろそろ成人することだし、新しい係に変えるべきかもな」侍従が考え込んだ。
「いえ!俺、いえ、私が・・・!」
「そんなに毒見がしたいのか?変わったやつだな、早く行け」
侍従が返事をしたときには、もうリオは部屋から出たあとだった。
*********************
「落ち着いて、落ち着いて・・・」
リオは自分に言い聞かせながら、ワゴンをアウレリオの書斎に運び入れた。
アウレリオは成人してからずっと領地管理の仕事を手伝っており、今では伯爵の仕事の半分ぐらいはアウレリオの仕事になっている。伯爵は、騎士の訓練や領地視察などの自分の好きな仕事を選び、細かな領地管理や各地からの相談事を受けるのはアウレリオの仕事になっている。
毎日忙しくしているアウレリオのわずかな息抜き時間にお茶を運ぶのはリオの仕事だ。もちろん、毒見も兼ねてだが。
アウレリオはメガネをかけて、書類仕事をしていた。
(アウレリオ様は、何をしていてもかっこいいけど、メガネも似合う・・・)
いままでどうやって隠していたのかと思えるほど、リオの心はほわほわと浮足立ってしまう。
でも、かんちがいかもしれない。いつもと同じように見えるように、なるべく感情を隠し、目を合わせないようにしてうつむきがちにワゴンの準備をした。
ふと目を上げると、アウレリオがじっとリオを見つめていた。
どくんと大きな音を立てて、心臓が跳ね上がった。
とたんに手元が震えだす。
いままで、どんな顔をしてアウレリオにお茶の準備をしていたんだろう。頭が混乱して何も思い出せない。
「おい」
アウレリオが声をかけ、リオは目の前のカップになみなみとお茶を注いでいることに気がついた。
「あっ!す、すみません・・・」
ティーポットを取り落としそうになり、もう片方の手で支えようとした。
「あつっ・・・!!」
熱い湯を注いだティーポットを手で支えようとして、手の上に湯がこぼれた。
アウレリオは素早くリオに近づくと、ティーポットを取り上げ、水差の水を含ませたリネンで手を包んだ。
「そんなにわかりやすい態度だと、うれしくなるな」
アウレリオはクスクスと笑い、リオの顔は真っ赤に染まった。
「今までの態度は何だったんだ?いつも、氷のように冷たかったのに。知らんふりをしていたのは何だったんだ?」
「若様、いじわるです」
「リオ」
アウレリオは、片手で冷やしている方のリオの手を握ったまま、リオを引き寄せた。
「気持ち悪いわけではない?」
「何度も言わないでください。若様が気持ち悪いわけ、無いでしょう?むしろ若様のほうが・・・」
「私がなんだ?」
(婚約者もいるし・・・)でも、その言葉はどうしても口に出せない。
「なんでも、ありません」
リオがしゅんと下を向くと、アウレリオはその顔をのぞき込んだ。
「リオ。どうした?」
「な、な、なんでも・・・」焦りと、混乱と、嫉妬が入り混じり、どうしたらいいのかわからない。それに、どうしてアウレリオ様はまるで昔のように親しげに話をしてくださるんだろう。
「す、すみません。今すぐ、お茶を・・・」
リオがポットに手を伸ばそうとしたとき、アウレリオがぐいとリオの手を引き、次の瞬間、リオの身体はアウレリオの膝の上に乗っていた。
「ア、アウレリオさま?」
心臓が破裂しそうだ。
*************************
(お礼)
本日もお読みいただきまして、ありがとうございまいした。
♡と広告もありがとうございます。
頑張るエネルギーをいただいています!
もうすぐクリスマスですね。楽しい日々を過ごせますように!
それではまた明日、お会いしましょう♡
赤く染まった顔はますます赤くなり、湯気が噴き出してしまいそうだ。
一瞬だけ触れた唇は、魅惑的で、もっともっととせがみたくなる。
いつもだったら、リオが扉を開けるはずなのに、返事もないことを不審に思ったのか、「アウレリオさま?」と少し険を含んだ侍従の声が聞こえた。
アウレリオはちらりと扉を見ると、指先を動かし、扉が開かないようにした。
腕の中のリオはふにゃふにゃにとろけたような表情でアウレリオを見つめている。
(なんだこいつは)
思わず笑いがこみ上げる。こんな簡単なことだったのか。何年間もお互いによそよそしく同じ部屋で過ごしてきたのに。だが、これ以上は今は危険だ。
「リオ」
「はい」
リオが返事をしたが、とても冷静に判断が出来ているとは思えない。
「服を着ろ」
「え?」
「服を、着ろ」
リオは目をぱちくりしたあと、シーツの下は裸だということに気がついた。
「す、すみません」
あわてて長持ちの中から自分の服を引っ張り出す。
「アウレリオさま、何かあったのですか?」
今は、侍従の声に不安が混じっている。
「今すぐ、開けます!お待ち下さい!」
リオが予備の寝間着を頭からかぶり、駆け寄った瞬間、扉が開いた。
「なんだ、もっと早く扉を開けなさい。湯が冷めてしまうではないか」
「は、はい。すみませんでした」
「しかもなんだ、その格好は。主人に寝巻き姿を見せるなど、恥を知りなさい」
ぷりぷりしながら侍従がアウレリオの朝の支度を始め、アウレリオがリオに水差を持って外に行くようにと目配せした。
ずいぶん、のぼせ上がってしまっていたらしい。
リオは、寝間着のすそをひるがえしながら井戸まで走っていった。このままアウレリオのそばにいては、何かやらかしてしまいそうだ。
********************
アウレリオ様がしたのは、くちづけ?それとも、ぼうっとしている従者に注意を与えただけで深い意味はない?
それとも・・・
頭の中はアウレリオのくちびるの感触でいっぱい。
危うく水差を落としそうになったり、朝食のときはスープをこぼしてしまった。
廊下で道に迷い、柱に頭をぶつけ・・・
それなのにへらへらと笑うリオを、皆気味悪そうにながめていた。
「そろそろ、お茶の」侍従が言いかけると、リオはがたんと音を立てて立ち上がった。
僅かな空き時間は、アウレリオの補助ができるように領地の勉強をすることになっているが、今日は目の前の文字が踊ってばかりで全然頭に入ってこない。とにかく、頭にあるのはアウレリオのことだけ。
「お、お、おれが・・・」
「何を焦ってるんだ?お前の担当だろう?」
「そ、そ、そうです。俺が、お茶を・・・」
「そういえば、お前もそろそろ成人することだし、新しい係に変えるべきかもな」侍従が考え込んだ。
「いえ!俺、いえ、私が・・・!」
「そんなに毒見がしたいのか?変わったやつだな、早く行け」
侍従が返事をしたときには、もうリオは部屋から出たあとだった。
*********************
「落ち着いて、落ち着いて・・・」
リオは自分に言い聞かせながら、ワゴンをアウレリオの書斎に運び入れた。
アウレリオは成人してからずっと領地管理の仕事を手伝っており、今では伯爵の仕事の半分ぐらいはアウレリオの仕事になっている。伯爵は、騎士の訓練や領地視察などの自分の好きな仕事を選び、細かな領地管理や各地からの相談事を受けるのはアウレリオの仕事になっている。
毎日忙しくしているアウレリオのわずかな息抜き時間にお茶を運ぶのはリオの仕事だ。もちろん、毒見も兼ねてだが。
アウレリオはメガネをかけて、書類仕事をしていた。
(アウレリオ様は、何をしていてもかっこいいけど、メガネも似合う・・・)
いままでどうやって隠していたのかと思えるほど、リオの心はほわほわと浮足立ってしまう。
でも、かんちがいかもしれない。いつもと同じように見えるように、なるべく感情を隠し、目を合わせないようにしてうつむきがちにワゴンの準備をした。
ふと目を上げると、アウレリオがじっとリオを見つめていた。
どくんと大きな音を立てて、心臓が跳ね上がった。
とたんに手元が震えだす。
いままで、どんな顔をしてアウレリオにお茶の準備をしていたんだろう。頭が混乱して何も思い出せない。
「おい」
アウレリオが声をかけ、リオは目の前のカップになみなみとお茶を注いでいることに気がついた。
「あっ!す、すみません・・・」
ティーポットを取り落としそうになり、もう片方の手で支えようとした。
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アウレリオは素早くリオに近づくと、ティーポットを取り上げ、水差の水を含ませたリネンで手を包んだ。
「そんなにわかりやすい態度だと、うれしくなるな」
アウレリオはクスクスと笑い、リオの顔は真っ赤に染まった。
「今までの態度は何だったんだ?いつも、氷のように冷たかったのに。知らんふりをしていたのは何だったんだ?」
「若様、いじわるです」
「リオ」
アウレリオは、片手で冷やしている方のリオの手を握ったまま、リオを引き寄せた。
「気持ち悪いわけではない?」
「何度も言わないでください。若様が気持ち悪いわけ、無いでしょう?むしろ若様のほうが・・・」
「私がなんだ?」
(婚約者もいるし・・・)でも、その言葉はどうしても口に出せない。
「なんでも、ありません」
リオがしゅんと下を向くと、アウレリオはその顔をのぞき込んだ。
「リオ。どうした?」
「な、な、なんでも・・・」焦りと、混乱と、嫉妬が入り混じり、どうしたらいいのかわからない。それに、どうしてアウレリオ様はまるで昔のように親しげに話をしてくださるんだろう。
「す、すみません。今すぐ、お茶を・・・」
リオがポットに手を伸ばそうとしたとき、アウレリオがぐいとリオの手を引き、次の瞬間、リオの身体はアウレリオの膝の上に乗っていた。
「ア、アウレリオさま?」
心臓が破裂しそうだ。
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もうすぐクリスマスですね。楽しい日々を過ごせますように!
それではまた明日、お会いしましょう♡
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