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9. オズ発見

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「見つかったか?!」

「まだです…。もしかして間違っているのでしょうか?」

オルハが不安そうな顔をした。

「もしかしたら、この屋敷にくるまでに逃げ出したのかもしれない…」

この屋敷にくるまでに誰にもすれ違わなかった。

…とすると、道から外れた所にいるのか?

それとも違う道か…。

とにかく、来た道を捜索したほうが良さそうだな。

急いで来た道を手分けして捜索した。

少し戻った道の分かりにくい所に馬車が停めてあったのを発見した。

「たぶん…この馬車に乗せられていたんじゃないか。この辺りを急いで探そう」

「「「はい!」」」

手分けして近辺を捜索した。

その時だった…。

「誰か!!!」

切羽詰まった様な大声が辺りに響いた。

あれはオズの声!

「オズだ!」

オルハが気付き声のする方へ走り出した。

すると見えてきたのは体格の良い男達がオズを捕まえようと囲んでいる所だった。

「いた!お前達動くな!」

男達は俺達に気がつき皆が顔を見合わせて同じ方向を見た。

その目線の先には身なりの良い小太りの男が立っているのが見えた。

アイツが例の伯爵だな。

伯爵らしき男が何やら指示をしている様子だ。

その後すぐに男達はオズをその場に置いて、バラバラな方向に逃げ出した。

「オルハ、オズを頼む!他の者は伯爵を追え!雑魚は捨てろ!」

僕は伯爵を指指して指示をした。

オルハは倒れていたオズを抱きしめた。

「良かった…無事で」

「お兄様、すいません…ご心配をおかけして…」

オズは泣きながらオルハを抱きしめた。

「さあ、立てるか?帰るよ」

「はい…」

こっちはもう大丈夫そうだな。

問題は兵士達が追っている奴の方だな…。

小太りなのにちょこまかと逃げ回りなかなか捕まらない。

しかし、体力がなかったみたいで次第に息があがり苦しそうになってきた。

「今だ!捕まえろ」

一斉に伯爵に兵士が飛びかかった。

「うわぁ!」

伯爵は兵士達の下敷きになり捕まった。

やれやれだね。

「ドルー伯爵久しぶりだね。まさかこんな所でお会いするとは思いませんでしたよ」

僕は縄で縛られた伯爵に笑顔で話しかけた。

「アデル殿下、私が何をしたというのですか?縄をほどいてくださいよ」

ふ~ん、まだしらを切るんだね。

「オズに聞けば分かる事だと思うんだけど…まだ、嘘をつく?」

ドルー伯爵の目が少し泳いでいる。

「い、いや、私はただオズ様を教会にお連れしようとしていただけですよ」

そのわりには、汗凄いよ。

「あんな体格が良い男達を連れて?こんな山奥まで?そもそもこの辺りに教会なんてないよね?」

あっ、汗の量がもっと凄い事になっているけど大丈夫?

「え…と、一見教会には見えない建物でして…」

うわぁ~、まだ言い訳するんだね。

うん、じゃあそろそろとどめをさそうかな。
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