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18. ピンチ?!

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 青年団の皆さんと話し合った日から数日が経っていた。

「竜くん、今日は何をするの?」

 咲里ちゃんが可愛らしく首を横に倒しながら俺に聞いてくる。本当に可愛いな。真留さんが過保護になるのも理解できる。

「今日はもうそろそろ僕のお父様達がやって来る頃だと思うから色々と準備をしようかと思っているんだ。」

 父さん達に頼み事をしてからもうすぐ1週間が経過しようとしている。そろそろ戻ってくるだろう。父さん達が来た時の為にしっかり準備をしなとね。

「咲里もお手伝いしようか?」

 咲里ちゃん優しいな~。ダメだ!顔がにやけている。真留さんが仕事で家に居なくて良かったよ。居たら俺の命が危ない所だ。

 そうじゃなくても咲里ちゃんが俺の嫁になっても良いと発言したことであの後凄い絡まれたんだから。思い出しただけでゾッとするよ…。

「ありがとう。だけど危険だから咲里ちゃんは家で待っててくれると嬉しいな。」

「分かった。じゃあ、家で待ってるね。」

 素直に言うことを聞いてくれるな~。本当に可愛い。

 咲里ちゃん後ろ姿を見ていたら驚く事がおきた。

『鼻の下が伸びすぎじゃないのか?』

 うわぁ!急に目の前に小さな緑色の龍が姿を現したんだ。

『えっと~、あなたは?』

『やっぱり気づいてなかったのか。わらわは咲里についている龍じゃ。姿を隠していたのだが、そなたが全然気がつかないから痺れをきらして出てきたのじゃ!』

 かなり怒ってます?

 しかも話し方が今までの龍達と違うな。龍には人間の様に性別がないって聞いていたけど…この龍は声も高いし、話し方が女性的。

 おっと、そんな事を考えている場合では無かったか。怒られているんだった。

『すいません…。』

 確かに全然気がついていなかったよ。今までの龍はすぐに姿を見せてくれていたからね。姿を隠して相手に気がつかれない様にする事もできるんだな…。勉強になったよ。

『わらわの高貴な気配に気がつかぬとは…情けない。それでも龍神に認められた龍の使いなのか?!』

 正確には龍の使い見習いなんですけど…。しかも認められたと言うかお願いされただけなんです。

『すいません…。』

 何だか個性的な龍だよね。だけど、確かついている人間と同じ様なタイプの龍が好んで一緒にいるはずなんだけど…。咲里ちゃんとは違う様な…。

『待て!お主(ぬし)は変な事を考えていただろう。』

 バレてる?!

『いえ、別に変な事なんて考えていませんよ。』

『目が泳いでおるぞ!まったく…。』

『へへへ…。所で僕に何か用事があったのではないのですか?』

 ここは話を反らす作戦で行こう!

『話を変えようしておるの~。しかし、用事があるのも本当だからな。お主に合いたいという龍が集まって来ておる。』

 龍が僕に会いに来てくれている?

『最近話題になっているのじゃ。龍神様に縁のある人間が来ているらしいと…。だから新しく人間につく奴も目の前で見たであろう。』

 あれか!真留さんについた龍は僕に会いに来ていたのか?!

『理解したようじゃの。』

『はい。』

『このままお主が色々な人間と関わっていけば、この世界も少し変わる様な気がするのじゃ。この世界の龍は殆ど居なくなっていたからな。お主を信じて見ようと思う。』

 そうか…。この龍は俺がどんな人間なのか姿を隠して見ていたんだな。それで俺が信頼できると思ったから姿を見せてくれた…と思いたい。

 ん…でも龍達はどこから来たんだ?

『一つ聞いても良いですか?』

『なんじゃ?言うてみよ。』

『先程、この世界の龍は殆ど居なくなったと言ってましたけど、じゃあ龍達はどこから来ているんですか?』

『なんじゃ、そんなことも知らなかったのか。わらわ達はどんな世界にも行ける。異世界なども関係ないのじゃ。どこでもひとっ飛びで移動できるわ。』

 知らなかった。長生きなのは教えてもらっていたけど、異世界も関係なくひとっ飛びできるなんて聞いていなかったよ。

 え?じゃあ龍達はいろんな所から集まってきているということなのか?改めて考えると龍スゴ!

 龍ってそんな能力もあったんだ。まだまだ俺の知らない能力があるのかも…。勉強が必要だな。

『教えてくれてありがとうこざいます。僕なりに頑張ってみます。』

『頼んだぞよ。』

 龍は目の前で姿を消した。

 何か…大事な事を…。

 忘れてたよ!準備をしないといけないんだった!

 俺は慌てて家を出て催眠草を栽培している畑に向かった。証拠を消されないように持っておかないとね。小さな植木鉢にでも植え替えて置けば大丈夫だろうと思って用意してもらっていたんだよね。

 畑に着いたけどタイミング良く今は誰も居ないみたいだ。今なら簡単に植え替える事ができるな。

 俺は1株植え替えようと掘り出した。熱中するあまり人が近づいて来ているのに気がつかなかったんだ。

「おい!お前!そこで何をしているんだ!」

「へ?」

 驚きのあまり場違いな声がでてしまった。

 あれ?ひょっとして俺ってピンチ!?



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