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10. ハッピーエンド?
しおりを挟む「本当にバカなんだな…。」
呆れたようにリリーシャはカダに剣を向けて言葉をはいた。
「な、何だと!」
カダはあろうことか私とリリーシャの婚約発表のパーティーで、リリーシャを殺そうとしたのだ。しかも訳のわからない理由を叫びながら…。
「こいつは王になれる男ではない!偽者だ!騙されるな!俺が皆の目を覚まさせてやる!」
とか言いながらパーティーに紛れ込ませていた私兵を動かして、リリーシャを襲わせた。おそらく…リリーシャが弱いと思っていたのでしょうね。
リリーシャは一見、華奢に見えるから。
実は脱いだら細マッチョなんですけどね。
あ~、リリーシャはあっという間に男達を倒してカダに向かってますね。
本当にバカとしか言いようがありませんわね。
もしも…リリが私にプロポーズをしてくれていなければこんな男と結婚することになっていたかもしれないと思うと…寒気がしますわ。
王様がゆっくりと立ち上がりカダを見ています。
「カダ…お前達には知らせなかっただけでリリーシャは私の息子で間違いはない。お前達に知らせなかったのはお前の母親が一番知っているだろう。牢屋の中で聞くがよい。連れていけ!」
一部始終を見ていた王様がカダを牢屋に連れていくように護衛に指示をだしました。どうやら王弟の妻…カダの母親も捕まるようですね。王妃様殺害の証拠が弟が亡くなった事で見つかったみたいです。
リリーシャのお母様…生きていらっしゃったら私達の事を喜んでくれたかしら…。
私のお母様が話していましたが、リリーシャに良く似たとても美しい人だったみたいです。
王様の一目惚れで、熱烈アプローチの末、結婚されたんですって。
女性なら憧れますよね。
あら?でも…今考えれば私も一目惚れだったのかしら?
初めてリリに会った時、天使様だわ~!なんて綺麗なの!大好き~!!って思ってましたわ。
あら?
「ルナリア…。待たせたね。」
甘い声で私の名を呼ぶのは、先程まで殺気だっていたリリーシャです。
「片付きましたのね。お怪我は無いようで安心しましたわ。」
私は笑顔でリリーシャの顔を見上げる。リリーシャは私の手をとり王様の座っている所にむかって行きます。
2人で王様に挨拶をした後、王様が申し訳なさそうな顔をみせました。
「ルナリアよ、迷惑をかけてしまってすまなかったな。許せ…。リリーシャを頼んだぞ。」
そう言い終わると、幸せそうな笑顔を見せてくださっています。
「はい。」
「さあ!仕切り直しだ!今夜は2人の新しい門出を祝ってやって欲しい!音楽を!!」
王様の一声で音楽隊が演奏を始めました。
「ルナリア、僕と踊っていただけますか?」
リリーシャが私の手の甲に軽くキスをする。
「はい。喜んで…。」
2人でフロアーに出て踊り始めると会場が騒がしくなりました。
「くっ、ルナ…。」
あ~、お父様が会場の隅で泣いていますわ。お母様がその横で私に手を振ってくださっています。お母様がついていて下さるなら安心ですわね。
あら?フロアーの入り口付近に沢山の衛兵がいます。あれは…ルルお兄様ですわね。私の方に駆け寄ろうとするのを部下の方に止められているみたいですわね。お兄様も早く婚約者が決まる事を願いますわ。
ルアお兄様は…いましたわ。
お母様がお決めになった婚約者のシア様にがっちり腕を掴まれて動けないみたいですわね。シア様はお母様に似たところがありますから、ルアお兄様は安泰ですわね。
「ルナリア…いつまでよそ見をしているんだい?」
耳元でリリに囁きかけられると、身体が勝手にビクッとしてしまいます。
「可愛いね、僕の天使…。」
適齢期なのに結婚できないかもしれないとあきらめていましたが、まさかこんな素敵な人と結婚できるなんて…。人生ってわからないものですね。
今までは家族に溺愛されて困っていましたが、これからは私が家族を溺愛しそうで心配です。
「リリーシャ様…幸せになりましょうね。」
「ああ、もちろんだよ。」
リリが私の額にキスをすると会場からため息が聞こえてきました。
「愛しているよ、ルナリア。」
「私もです。」
2人で微笑み、言葉をかわしながらダンスをする…。
幸せですわ。
私…家族に溺愛されすぎて結婚できないと思っていましたが、どうやら結婚できそうです!
「「「認めないぞ~!!!」」」
お父様達の声が会場に響いている気がしますが…気のせいですわね。
これでこのお話は終了です。
急に短編を書きたくなって他の作品が終わっていないのに書いてしまいました。
最後まで読んでくださった皆様、お気に入り登録をしてくださった皆様、本当にありがとうございました。
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退会済ユーザのコメントです
スミレ色の駒さん
感想ありがとうございます。
楽しんでもらえたなら嬉しいです。
お母様よりコメントです。
「やるですか…。それは皆様のご想像にお任せしますわ。ただ…やる時は…。オホホホホホ~。」
だそうです。
この物語で最強のお母様からでした。