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3. レオナは死にました
しおりを挟む今日はいつもよりクリフ様がお部屋に来られるのが遅い。
何かあったのかな?
いつも、クリフ様は時間前に来られて私よりも先に仕事をしている事が多いのに…。
初めてではないかな、遅れて来られるの…。
噂をするとなんとやら…ではないが、クリフ様が慌ててお部屋に入って来られた。
「あ~、もう参ったよ…」
「どうされたのですか?」
いつも、弱音など言わない人なのに。
「急に絵を束で持ってきて、この中から選べ!って言われてさ…」
何を?
「何を選ぶのですか?」
「僕の花嫁だってさ」
そうか、クリフ様は今年で20歳になられるんだった。
王族だと結婚は早ければ早いほど良いとされてるんでしたよね。
お世継ぎの問題があるから…。
「レオンはどうしてるの?見合いの話はあるでしょ?」
あっても受けれるはずがないんです女だから…とは言えない。
「ありますね」
「全部断っているんだろ?何て言っているの?」
私の場合はお父様が全部やっているので詳しいことはわからないんですよ。
「父が全部やっておりますので、わかりません」
「そうか~。残念ヒントになるかと思ったのに…」
クリフ様は腕組をして考えていらっしゃいます。
「そんなに断りたいのですか?」
クリフ様は男なんだから結婚できますよね。
「う~ん。まだ、この人という人に会えていないんだよね」
意外にロマンチストだったんですね。
王族なら恋愛はあきらめて、政略結婚をされるのが当たり前だと思っていましたよ。
「レオン、顔に出てるよ。意外だって…」
私は顔を手で隠した。そんなにわかりやすかったのか…。
「プッ…。レオンでもそんなに顔を赤くする事があるんだね。アハッハッ」
そんなに笑わなくても良いじゃないですか…。
「でも、そうだね…王族が政略結婚を嫌がるのは貴族にとっては意外だよね…」
「誰かお好きな方でもいらっしゃるのですか?」
今まで何年も側にいて聞いた事がなかったな。
「そんな人はいないけど…一緒にいて居心地が良くて素の僕を見せられる人がいたらいいのになって思うんだよ…」
簡単そうで難しいですね。
王子様が安らげる相手…難問ですよ。
「そうだ、レオンが女の子だったら完璧なんだよ」
え?私ですか…。
「レオンに姉妹っていたよね」
「います。姉が2人…1人は隣国に嫁いでいます。もう1人の双子の姉は…亡くなりました」
自分で自分の死亡宣告してしまった…。
本当はクリフ様の目の前にいるのが姉のレオナです。
「ごめん。亡くなった事を知らなくて…そうか…亡くなったのか…レオンとそっくりな姉なら美人だったんだろうな、会いたかったよ…」
ありがとうございます。今、クリフ様の目の前にいますよ。とは言えない。私はまた、嘘を塗り重ねる。
レオンの私は一生独身です。
将来は養子を迎え家督を継がせたらレオンの私は終わります。
レオナはそれまで死者の国にいるのです。
暗くて寒い1人だけの世界に…。
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