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4. 魔女の薬
しおりを挟む「レオ様、本日のお薬はこちらに置きますね。残りは鞄に入れておきますね」
侍女のマリーはいつも私の事をレオと呼ぶ。
それは、レオナとレオンの共通部分だからだそうだ。
マリーだけだ、レオンとよばないのは…。
この屋敷では、レオナとお嬢様は禁句なのだ。
いるのは、レオンだけ。
この屋敷に子供は1人なんだそうだ。
薬というのは魔女から買っている品物だ。
流石にこの歳になってくると胸が大きくなってきてコルセットで押さえても変な膨らみができるので、どうしようかと思っていたらマリーが教えてくれた。
「魔女の薬で胸を小さくする薬があります。けど、効果は1日だけしかもちません」
1日でも効果があるならありがたい。ということで買ってきてもらっている。
不思議だけど、これを飲むと本当に胸が半分以下のサイズになるのだ。
今日、大量に買ってきてもらったのは明日からクリフ様について旅に出ないといけないからだ。
今までも何回かあったけど、今回は珍しく2人だけのお忍びで行くので変に緊張する。
なんでも、クリフ様のお相手を探す旅らしい。
やっぱりクリフ様はロマンチストだよね。
可愛らしいと言うと怒られそうだが…。
可愛らしい人だと思う。
人間的な魅力のある人なのだから、旅までしなくてもすぐに見つかるだろうと思うのだが、絶対に行くと言って聞かない。
結局は、ストレス発散の為なのかな?
まあ、私はしばらくこの屋敷に帰らなくて済むと思うと、それだけで嬉しいから良いんですけどね。
ただ、羨ましいと思う感情が押さえきれなくて困ってしまう。
愛する人を自分で選べてその人と人生を歩める事に…。
私は人を愛したとしても結ばれることはないだろうし、将来、養子を迎えるまではレオナの人生は歩めない…。
その時はいったい何歳になっているのだろうか?
若ければ平民として生活して、後妻くらいにはなれるかしら?
子供は諦めないといけないわね。
ただでさえ、魔女の薬の副作用で子供ができにくくなるかもしれないと書いてあったもの。
そうね…考えを変えましょう。
私の代わりに、クリフ様が愛する人を見つけられるように、幸せになるように願いましょう。
そして、クリフ様に子供ができたらその子を可愛がりましょう。
王子様を私の代わりにするのはいけないかもしれませんが、良いことを願うのだから許されますよね。
レオン、天国で穏やかに過ごしていますか?
私は貴方の代わりに貴方の人生を進むからね。
貴方が憧れていた王宮で勤めて、憧れの王子様のお付きにもなっているよ。
私が天国に行ったら沢山話をしてあげるね。
寂しいだろうけど、もう少し待っていてね。
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