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28. レリアの決意 〈レリア視点〉
しおりを挟む「え!?帰ってしまったの…」
昼過ぎに屋敷に帰ってくると妹はもう屋敷にいなかった。
「旦那様と奥様に、"ありがとうございました。とても幸せな時間でした。"と伝えるようにと言われて…」
マリアが泣きながら報告している。
「…そう」
一足遅かったのね…。
実は今朝、子供の容態が急変した…と連絡をもらい旦那様と一緒に急いで病院に行ったのだ。
子供は奇跡的に復活し、命の危険は無くなった。
一段落して時計を見たら昼になっていたので急いで帰宅したが…間に合わなかった。
レオナ…。
旦那様と話し合ってレオナと子供を会わせてみよう…ということになったのだけど…。
もう、無理ね…。
旦那様は会わせてもレオナの記憶が戻らなかったら、私達の子供として育てようと言ってくださった。
せめて、名前だけでもレオナに決めてもらおうと思っていたのに…。
病院からは、このまま何事もなければ後1カ月くらいで退院できますよ、と言われた。
レオナも可愛いそうだけど、産まれてきた子供も実母に思い出されることも無く…抱かれることもなかったなんて…。
どうにかして、不幸の連鎖を断ち切らないといけないわ。
旦那様には私の家族の事を全て…お話しをした。
最初は信じてない部分もあったみたいだけど…レオナを階段から突き落としたのはお母様だと言ったら理解してくれたみたいだった。
こんな家族は珍しいわよね…。
信じられなくて当然だと思うわ。
レオナ達が産まれる前はここまで変わった両親ではなかったのだけど…。
やはり、レオンが産まれた事でおかしくなったのよね…。
レオンの身体が丈夫だったらレオナの人生も違っていたのに…。
…こんな事を考えても、いまさらよね。
そうね、前を向いていかないとね。
そう、子供の名前を病院に言わないといけないのだったわ。
どうしようかしら…。
…そう言えば、レオナが夢にうなされている時にリオンって笑いながら言っていたわ。
リオン…良い名前よね。
決めた、リオンにするわ。
子供の名前はレオナが考えた様なものよね。
抱かせてはあげられなかったけど、せめて名前だけでも…。
そうと決まれば早く病院に行って届け出しないといけないわ。
旦那様にもいわなくちゃ。
レオナ、安心してね。
貴女の代わりに私が愛情かけて育てるわ。
幼い頃に貴女を助けてあげられなかった事がずっと心に重りの様にあったのだけど…貴女の代わりにこの子を可愛がることで少しは軽くなるかしら…。
たとえ、実子が産まれてもこの子を蔑ろにはしない。
分け隔てなく育てる。
だから、許してねレオナ…。
貴女に黙って貴女の子供を育てる事を…。
ごめんなさい…レオナ。
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