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48. リオン…って誰?
しおりを挟む見覚えのある子供が私の所にやって来た。
「ねえ、どうして忘れているの?僕の事…嫌いなの?」
今にも泣きそうな顔をして私に聞いてくる。
泣かないで…。
ごめんなさい…貴方の事を見たことがあると思うのだけれど、名前を思い出せない。
貴方は誰なの…。
「ねえ、思い出して…僕だよ…リオンだよ…おか…様」
よく聞き取れない…。
何て言ったの?
リオン…教えて…。
私は手を伸ばし去って行くその子を捕まえようとしたが、捕まえる事ができなかった。
代わりに何故か手が温かくなったように感じる…。
「…オン…レオン」
目を開けると、私の手を握って見つめているクリフ様の姿があった。
「レオン大丈夫か?」
また、私は倒れたのね…。
「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
「いや、いいんだ。それより夢でうなされていたけど…リオンって誰なんだ…」
「…夢に出てくる可愛い男の子なんです」
「なんだ…男の子か…良かった…」
クリフ様の発言が気になった。
「何故、良かった…なのですか?」
クリフ様が驚いた表情になった。
私に聞かれると思ってなかったのだろうか。
「え…いや…酷くうなされて…手を伸ばして掴もうとしていたからレオンの大事な人なのかと思っただけだ…」
「私の大事な人が男の子だと何故良かった…になるのですか?」
「レオン…今日はやたら聞いてくるね…」
そうですか?
でも、こんな事を聞いている場合ではなかった。
「レオンはまだ体調が優れないみたいだし今日はもう帰って良いよ」
「あっ…でも…」
「後は僕がやっておくから心配ないよ。それに話しは体調が良くなってから聞くよ」
それでは遅いんです…。
2人で話していると急に部屋の扉が開いてアルス様が入ってきた。
「レオンが倒れたって!?」
目が合ってしまった。
「良かった…大した事はなかったんだね」
「叔父上…ノックくらいして下さいよ」
クリフ様がアルス様を睨みなが言っている。
アルス様は、あの海辺の町で会ってからすぐに荷物をまとめてこの国に帰って来られたのだ。
王様も驚いておられたが、本人は何事も無かったかの様に過ごされている。
クリフ様は神経が図太い…とか言っていた。
「レオン、今から帰るよね?屋敷まで送って行くよ」
ニコッと笑顔で言われてますが、隣のクリフ様の顔を見てください。
「はあ?!叔父上…暇ですか?違いますよね。たっぷりとある仕事を片付けてから言って下さい」
やっぱり…怒ってます。
「仕事よりレオンが大事だかな。これは仕方ない」
いや、私はもう大丈夫なので仕事の方を優先してください。
「お気持ちだけ受けておきます。ありがとうございます。でも、お仕事も大事なのでそちらに行ってくださいね」
「つれないな…レオン」
アルス様哀しそうにしてもダメです。
「そうですよ、レオンは僕が見ていますから安心して仕事をして下さい」
いや、クリフ様もダメです。
「クリフ様…ありがとうございます、クリフ様もお仕事に戻って下さいね」
しょげないで下さいクリフ様…。
2人を何とか医務室から追い出して1人になった。
リオン…あの子を思い出そうとすると頭痛がする。
知っている様な知らない様な…。
お姉様なら知っているかな…。
手紙で聞いて見よう…。
お姉様…元気しら…。
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