男装令嬢の願い

縁 遊

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51. 許して…リオン

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何故こんな大事な事を忘れていたのか…。

自分の子供を忘れてしまっていたなんて…酷い母親ね。

私は全てを思い出した。

私はクリフ様との間に出来た子供を秘密のまま産むためにお姉様の所に行ったのだ。

そう言えば…私のリオンはどうなっているのだろう。

私の夢に出てきているということは考えたくないけど…もしかして…。

そんな事まではしませんよね…神様。

確か…階段から落ちる時にお腹の子供を守ってほしいと強く願ったはず…。

聞いていただいていますよね…。

生きているとすると…どうしているのだろうか。

「…リオン」

「レオナ様!レオナ様!」

マリーの声が聞こえる…。

気がつくと部屋のベッドに寝かされていた。

そうだ…また、頭痛がして倒れてしまったのね。

「ごめんなさい。心配をかけてしまって…」

「いえ…レオナ様には刺激の強いお話でしたから…」

「みんな…知っていたのね」

「はい。レオナ様が思い出すまでは言わない様にとレリア様から言われておりました」

お姉様が…。

「リオンはどうなったの?」

マリアに尋ねた。

「リオン様はレオナ様の養子として可愛いがられております」

「…そう。お姉様の養子に…そうね…私は育てる事ができないから…それが良いわね」

話しながら涙が溢れてきた。

ポタポタと落ちてベッドに水玉模様ができている。

1度も会うことなく帰ってきてしまった。

どうして…今まで忘れていたのだろう…。

会いたい…会いたい…リオン。

「これを…」

マリアが私に何かを差し出した。

「これは…」

それは、幼い子供の写真だった。

「リオン様のお写真です。レオン様が見たいだろうからと預かってまいりました」

「リオン…」

私は写真のリオンを指で撫でながら泣いた。

クリフ様によく似ているのね。

笑顔が可愛いい…。

「リオン様は一時は命が危なかったのですが、今は元気になられて、動きまわられていますよ」

「…そう…良かった」

涙が止まらない…。

今思えば、私が帰国する時にお姉様達がいなかったのはリオンを助ける為だったのかもしれない…。

お姉様達に感謝します。

でも、これからどうしよう…。

子供までいる私が結婚するなんて考えられない…。

お相手に会って結婚できないと素直に伝えてみても良いのだろうか。

一体…どんな婚約者を見つけて来たのだろう。

あの両親の事だから黙って言うことを聞かせる事ができる相手を選んできたのかもしれないし…。

私にはリオンがいる。

これからはこの子を心の支えにして生きて行ける。

どんな困難だってこの子の為に乗り越えないと…。

レオン…ごめんなさい。

貴方のそばには当分行けそうにないわ…。
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