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81. 驚いた人々 〈クリフ視点〉
しおりを挟む「は?!今何と申したのだ?」
「ですから、私はレオンと結婚します」
私の報告を聞いた王様は口がポカンと開いたままになっている。
こんなに驚いた表情は初めて見たかもしれない。
「レオンとは、王子の補佐をしていた公爵家の長男の事で間違いないか?」
「はい。そうですが、実はレオンはレオンではないのです」
王様と王妃様は頭を抱えてしまった。
「クリフ…もう少し分かりやすく最初から説明をしてくれるかしら」
王妃様、つまり私の母親が溜め息をつきながら諭すように言ってきた。
「話せば長くなるのですが…」
私はレオンが実は女性で亡くなったとされている姉のレオナだったこと、そして…私との間に子供がいる事などを話した。
「…子供がもういるのですね。その子は今は何処にいるのですか?」
「今はレオナのお姉さんと一緒にこの国に来ています。おそらく、レオナの寝ている部屋にいるのではないかと思われます」
王様と王妃様は顔を見合わせて頷いた。
「会えるのなら会ってみたい。連れて来ることはできるか」
「わかりました。聞いてきます」
私はリオンに会いに行った。
思っていた通り、レオナの寝ている部屋にいた。
「レリアさん、申し訳ないが少しの間リオンを連れて行っても良いかな?王様達がリオンに会いたいと言っているんだ」
レリアさんは驚いた表情を一瞬見せたがすぐに「わかりました」と返事をした。
すぐにリオンの側に行き何かを話している。
リオンが私の所に走って来た。
「ぼくのおじいちゃんたちにあえるの?」
「そうだよ。会いに行こうね」
私はリオンを抱き上げて王様達が待っている部屋に急いだ。
すれ違う使用人達は私とリオンの姿を見て驚いた表情をしながらもお辞儀して通り過ぎていく。
似ているからかな…。
それは、王様達も同じだった。
部屋に入った瞬間、王様達はまた驚きの表情になり固まった。
沈黙を破ったのはリオンだ。
「おじいちゃま、おばあちゃま、はじめまして。リオンです」
可愛らしいリオンの挨拶を聞いた王様達はすぐに祖父母の表情に変わってしまった。
「何てクリフの幼い時にそっくりなの!」
「それに、きちんと挨拶をして…偉いの~。賢い子だな」
2人ともすっかりデレデレだ。
たぶん、私の子供という点を疑っていたのだろが、リオンを見ればその疑いも晴れただろう。
私の方はこれでスムーズに結婚まで進めるだろう。
後はレオナの両親と婚約者…それに叔父上に話をつけないといけないよね…。
明日から忙しくなるな。
これは余談だが、その日の王宮は私の隠し子の噂でもちきりだったらしい。
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