80 / 88
80. 感謝
しおりを挟む驚いていたクリフ様がやっと気がついたみたいだ。
「レオナ…その夢だと思っている相手は私なのか?」
「そうです…」
私は笑顔で答えた。
「そうか…そうなのか…リオンは私の息子なのか」
クリフ様は笑っている口元を押さえながらはなしている。
喜んでもらえてるみたいだ。
ホッとした気持ちになってリオンを撫でていると、クリフ様が私の手をとり口づけした。
突然の事に私は驚いた。
口づけした手をそのまま握りしめてクリフ様は私を見つめている。
「レオナ…本当にありがとう。あの時、体調が悪かったとは言え、君を抱いた事を夢だと思ってしまってすまなかった。子供ができて君も驚いただろう。それなのに…こんな可愛い子供を産んでくれて感謝している」
クリフ様の目に涙が光っている。
クリフ様はお姉様の方に振り返った。
「レリア様、我が子の様に息子を可愛がって育ててもらった事を感謝します」
クリフ様はお姉様に頭を下げた。
「クリフ王子、頭を上げてください。本当は真実をつたえなかった時点で罪に問われてもおかしくないのですから…。こちらこそ、今まで黙っていて申し訳ありませんでした」
お姉様が謝っている姿を見て胸が痛んだ。
「お姉様は悪くありません。全ては私の我が儘のせいなのです。女としての思い出が欲しかった…私の欲のせいで皆様を巻き込んでしまって…本当に申し訳ないと思っております」
私の話を聞いていたクリフ様が、今度は両手で手を握ってきた。
「レオナ、私との事を思い出にするつもりだったの?知ってしまった以上私としてはレオナを離すつもりはないんだけど…」
この笑顔は…怒っていますね。
「私の気持ちは前に伝えたよね?後はレオナの気持ちを聞くだけだったけど、リオンがいることだし両親には先に話をするよ。良いね」
「…はい」
そうだ、クリフ様はすぐに認めて下さっても王様達が何と言うか…。
「だけど、レオナが元気になったら返事を聞かせてほしい」
そうですよね…。
私の口からクリフ様にきちんとお返事しなければ失礼ですよね。
私はリオンの事をクリフ様に話せてホッとしたのと、体力が回復していないのと両方でまた眠たくなってきた。
「クリフ王子、レオナはまた眠るようですわ。この子は幼い時から眠たくなると耳が赤くなるんです。このまま暫く寝かせてあげて下さい」
お姉様の説明を遠くに聞きながら、リオンの体温を感じて再び眠りについた。
私はその後まる2日眠っていたらしい。
私が眠っていた間お城は大変な騒ぎだったらしいが、それはまた次回。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる