男装令嬢の願い

縁 遊

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80. 感謝

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驚いていたクリフ様がやっと気がついたみたいだ。

「レオナ…その夢だと思っている相手は私なのか?」

「そうです…」

私は笑顔で答えた。

「そうか…そうなのか…リオンは私の息子なのか」

クリフ様は笑っている口元を押さえながらはなしている。

喜んでもらえてるみたいだ。

ホッとした気持ちになってリオンを撫でていると、クリフ様が私の手をとり口づけした。

突然の事に私は驚いた。

口づけした手をそのまま握りしめてクリフ様は私を見つめている。

「レオナ…本当にありがとう。あの時、体調が悪かったとは言え、君を抱いた事を夢だと思ってしまってすまなかった。子供ができて君も驚いただろう。それなのに…こんな可愛い子供を産んでくれて感謝している」

クリフ様の目に涙が光っている。

クリフ様はお姉様の方に振り返った。

「レリア様、我が子の様に息子を可愛がって育ててもらった事を感謝します」

クリフ様はお姉様に頭を下げた。

「クリフ王子、頭を上げてください。本当は真実をつたえなかった時点で罪に問われてもおかしくないのですから…。こちらこそ、今まで黙っていて申し訳ありませんでした」

お姉様が謝っている姿を見て胸が痛んだ。

「お姉様は悪くありません。全ては私の我が儘のせいなのです。女としての思い出が欲しかった…私の欲のせいで皆様を巻き込んでしまって…本当に申し訳ないと思っております」

私の話を聞いていたクリフ様が、今度は両手で手を握ってきた。

「レオナ、私との事を思い出にするつもりだったの?知ってしまった以上私としてはレオナを離すつもりはないんだけど…」

この笑顔は…怒っていますね。

「私の気持ちは前に伝えたよね?後はレオナの気持ちを聞くだけだったけど、リオンがいることだし両親には先に話をするよ。良いね」

「…はい」

そうだ、クリフ様はすぐに認めて下さっても王様達が何と言うか…。

「だけど、レオナが元気になったら返事を聞かせてほしい」

そうですよね…。

私の口からクリフ様にきちんとお返事しなければ失礼ですよね。

私はリオンの事をクリフ様に話せてホッとしたのと、体力が回復していないのと両方でまた眠たくなってきた。

「クリフ王子、レオナはまた眠るようですわ。この子は幼い時から眠たくなると耳が赤くなるんです。このまま暫く寝かせてあげて下さい」

お姉様の説明を遠くに聞きながら、リオンの体温を感じて再び眠りについた。

私はその後まる2日眠っていたらしい。

私が眠っていた間お城は大変な騒ぎだったらしいが、それはまた次回。
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