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87. 愛する人の幸せを願う
しおりを挟む朝日の光が差し込み始めても私はまだ夢の中にいた。
「レオナ良かったね。クリフ様と幸せになるんだよ」
「レオン…。ありがとう」
優しい笑顔を見せてくれるレオン。
私はレオンを抱きしめた。
「レオン、私は貴方にも幸せになってほしい」
「大丈夫だよ。僕はレオナの幸せを見届けたら生まれ変わる事が決まっているんだ」
「そうなの?」
レオンの顔を見ると嬉しそうだ。
「うん。僕の初恋の人の子供になれるんだよ…」
「え?!」
遠い昔にレオンが話していた初恋の君…。
「そう…貴方の幸せそうな顔が見られて嬉しいわ」
「僕もレオナの幸せそうな顔が見られて嬉しい」
2人で顔を見合って笑いあいながら額をコツンと合わせた。
「じゃあ、お互いに頑張ろうね」
「うん。元気でねレオナ」
レオンの姿が薄れていくのと同時に目映い光が差し込んできた。
私はゆっくりと瞼をあげた。
目を開けて最初に見たのは、私の横で嬉しそうな顔をして寝ているクリフ様の顔だった。
起きる気配は全く無さそうだ。
なぜなら、朝日が昇るまで私達は離れる事がなかったからだ。
クリフ様は私から離れた後、倒れるように寝てしまった。
正直言って私も全身が気だるい。
だけどだるい身体とは反対に心が満たされている感じがする。
私はクリフ様の顔に手を伸ばした。
柔らかな髪の毛に触れた後、そっと頬に触れた。
「本当に結ばれたのね…」
初めて結ばれた時はまさかこんな事になるとは思っていなかったから夢だと思い込もうとしていた。
見てはいけない夢を見たのだと…。
けど、リオンを授かって私の運命が変化して、諦めていた女性としての人生を歩むことができるようになった。
人生ってわからないものね…。
1つ思いきって行動したことで未来が大きく変わっていくなんて。
昔の事を考えながらクリフ様の顔を触っていたら、急にクリフ様に手を掴まれて、手のひらにキスをされた。
「…レオナ…まだ起きるには早い。もう少し一緒に寝よう…」
そう言い終わるとクリフ様は自分の胸元に私を抱き寄せた。
クリフ様の心臓の音が聞こえる。
そして、あたたかな体温と聞こえてくる寝息…。
私は幸せ過ぎて涙が溢れてきた。
レオンも今度の人生は健康な身体を手に入れて、好きな人と結ばれて欲しい。
この穏やかで幸せな時間を私の愛する弟のレオンにも体験させてあげたい…。
私は願う。
どうか夢ではなく本当にレオンが生まれ変わることができますように…。
私の愛する人達が幸せになりますように…。
愛がある人生を過ごす事ができますように…。
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