生け贄様はハッピーエンドを御所望です

縁 遊

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8. 味見ですか? (最後に少しだけ♡)

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 今日も朝から神様に美味しく召し上がって頂くために身体をマッサージしていたのですが、急に神様が私の部屋に訪ねて来られました。

「どうされたのですか?」

 いよいよその日がやってきたのかしら!?

「いや…今日は人間界に降りる用があるので何か欲しいものがあれば…と思ってな」

 …そうですか、今日も召し上がってはくださらないのですね。私は少しガッカリとしながらも神様が私に気を遣っていただいていることへの感謝と、同時に申し訳ないという気持ちが生まれました。

 生け贄の私に優しくしていただけるなんて…。

「お気持ちだけで充分です。私は神様への生け贄ですのでお気遣いはけっこうですわ」

 神様が悲しいお顔をされたので少し驚きましたが本当の気持ちなので仕方ありません。

「そうか…。では夜までには戻る」

「はい。いってらっしゃいませ」

 神様の後ろ姿を見送りながら、なぜか胸の奥がギュッとなりました。

 何かしら?

 まさか、心臓が悪い?

 そんな…悪いものを神様のお口に入れることなんてできないわ。どうしましょう…。

 そう思いましたが、ギュッとなったのは一瞬でその後は何もありません。勘違いかしら?

 私にはよくわからないので、神様がお帰りになったら聞いてみることにしましょう。

 神様が帰って来られたのは月が太陽と交代した頃でした。

「神様、お帰りなさいませ」

 私は部屋を訪ねて来た神様に駆け寄り頭を下げました。

「ただいま。何もなかったかい?」

 優しい笑顔を見せて下さる神様。

 あら?また心臓がおかしいような…。

「あの…心臓が少しおかしいのです」

 私は神様の手を掴み自分の胸にあてました。

「ほら、ドキドキとすごい速さになっていませんか?それに時々締め付けられるようなギュッとなる感覚があるのです。これは…何故でしょうか?」

 無言の神様のお顔が気のせいか赤くなっているように見えます。ランプの光の具合かしら?

 私はかまわず話を続けました。

「神様に召し上がっていただくためにはどこか悪い所があっては困ると思うのですが…どうしたら良いでしょうか?」

 神様は私の胸に置いていた手を身体から離して、私を両腕で抱き締めました。

 あら…これはもしかして…今から食べていただけるのかしら?

「…それはどんな時におこるのだ?」

「神様とお話をした時や、離れた時です…ね」

 今思い出せば全て神様に関係していたのですね!でもなぜかしら…?

「それは…確かめてみても良いだろうか?」

 確かめる?何かがわかるのであれば嬉しいです。私は頷きました。

 すると神様は私の両頬に優しく手をあてて顔を近づけてきます。

 間近で見る神様の睫毛はとても長く、肌もツルツルで光っているのでは?と思うほど綺麗です。瞳もあまりの美しさに見とれてしまいます…。

 あら?

 神様…お顔が近すぎませんか?

 気がついた時には神様と唇が触れあっていました。

 柔らかくて温もりのある…神様の唇。

 重なっていた唇が離れたかと思うと、私の下唇を神様が舌でなぞる感覚が…。

 ゆっくりと離れていく神様のお顔を呆然としたまま見ていました。

 心臓は破裂しそうなくらいドキドキしてます!

 これで何がわかるのでしょうか?!

 神様は私をまた優しく抱き締めてくれて、頭を撫でてくれています。

 あ!もしかしてこれは…。

 味見?そうだ、これは味見だったのではないでしょうか!?

 それなのに…私の心臓は…。

 心臓だけ取り除いて食べてもらうことは可能なのでしょうか?


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