生け贄様はハッピーエンドを御所望です

縁 遊

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17. 教育? (最後の方に少しだけ♡)

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 神様のお考えが私には理解できず…。

 どうして人間界に行ったのでしょうか?

「アクアは幸せに暮らしていますって、アクアの皆様に見せに行ったんだよ」

 神様がまた私の考えを読んで答えをくれました。

「私の皆様…ですか?」

「アクアは皆様の顔を知らないよね?知っているのは先生数人の顔だけのはず」

「はい…確かに…」

 他の皆様は顔を隠していましたので、見たことはありません。では、あそこにいらした人達がそうなのでしょうか?確かに音楽の先生はいらっしゃいましたが…。

「アクアの皆様はアクアが不幸になったと考えていたんだよ」

「私が不幸に…?」

 何故なのでしょうか?

 私は皆様の幸せのために生け贄としての使命を果たして神に召されたので幸せに思っていますけど…。皆様もその使命の為に私のお世話をしてくださっていたはずですよね?

 それなのに…私が不幸?

「アクアには難しいのかな?」

 神様が私を抱きかかえたままソファーに座りました。

「はい…」

「人間とは時に冷酷になれるものだな。ある意味では生け贄としては完璧にアクアを育てる事に成功しているのかもしれない…」

 神様が何語かわからない言葉を口にされましたが、お顔が笑顔から少し怖い顔になられたのできっとよくない話をされたのだと思います。

「あの…神様…ご気分を害されたのなら申し訳ありません」

 きっと私が気がつかないだけで神様のご気分を害するような発言をしてしまったのですよね。

「いや、違うのだ。気にしなくて良い…」

 神様は私の頬にキスをして、優しく髪に触れます。

「アクア、世間の皆様の常識を話すよ。まず、今日したことは両親への挨拶というものだ」

「両親への挨拶?」

「そう。恋人になった2人が結婚する前に両親に挨拶をしに行くことだよ」

 結婚…?

「あっ…結婚とは2人で幸せに暮らしていきますってことだよ」

 なるほど…。

「生け贄教育の片寄りかた酷くない?歌や踊りはプロ級なのに一般教養はどうしてたの?」

 神様がまた何かを呟かれましたが私にはわかりませんでした。

「…と言うことは、神様と私が結婚するのですか?」

「そうだよ。アクアは嫌かな?」

 神様は私には命令をしません。何でも私の意見を尊重してくれる優しい神様です。私はそんな神様の事が…。

「私と神様が幸せに暮らすことで皆様は幸せになれるのですか?」

「…恐るべし生け贄教育だね!まだ皆様の幸せが出てくるんだ!」

 神様がまたわからない言語でお話になられます。でも、顔が驚いた顔をしていらっしゃいますから、また私の発言が駄目だったのでしょう…。

「違う、駄目じゃないよ。少し驚いただけで…。え~と、皆様も幸せになれるからアクアは何も心配しなくて良いんだ。私と一緒に天界で暮らすだけで良いんだよ…」

 神様の顔が近づいてきます。私はそっと目を閉じました。

 唇が重なり、神様の温度を感じます。

 唇から離れたと思ったら…顎や鼻の頭、瞼、額、頬と顔中にキスをし始めました。

「大好きだよアクア…。あっ、大好きって言うのはね好きの倍くらい好きって事だよ。わかる?」

 …良くわかりませんが、何となく幸せな言葉なのだとは理解できました。

「良かった~。アクアこれから色々と教えてあげるからね」

 神様は私を再び抱きかかえてベッドの上におろしました。

「神様…あっ…」

 私がベッドから離れることが出来たのは2日後のお昼を過ぎた頃でした。

 神様いわく、これも教育の1つらしいです。



 ※次の話で完結です

  今日中にアップしますので最後まで読んでいただけると嬉しいです。
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