386 / 777
第386話「へ? あ、案内は不要? マジ?」
しおりを挟む
「ランクAの上級冒険者、リオネル・ロートレック様! どうぞお通りください! ようこそ! 迷宮都市フォルミーカへ! 冒険に遊びに! 人生を大いに謳歌してくださいね!」
リオネルの冒険者ギルド所属登録証を見て、屈強でこわもての門番は、
びしっと敬礼。
にっこり笑い、通してくれた。
「ありがとうございます!」
リオネルは、門番へ一礼し、正門を通り、街の中へ入った。
冒険者ギルドの所属登録証を提示し、門番に、あっさりと入場を許可して貰っただけでなく、リオネルは、熱い歓迎の言葉までかけられた。
冒険者ギルドの登録証は、身分証として世界で通用する万能アイテムだ。
一般の冒険者でも所属が明確となるのは勿論、
もしも記載されたランクがB以上、つまりランカーなら門番の対応が全く違う。
相手の接し方も変わり、一目置かれる。
そして、リオネルのように若くして、
ランクA以上の一流と謳われる上級ランカーならば、尚更である。
また……
ランカー、及び上級ランカーは、身元がはっきりした実力者というだけでない。
一般の冒険者より、多くの金を落としてくれる上客でもある。
そもそも迷宮都市フォルミーカは……
アクィラ王国の中でも特異な街である。
この街は多額の税金を納めるのと引き換えに、アクィラ王国から、
ある程度の自治を認められていた。
住民が選んだ市長により、治められており、司法もアクィラ王国の法律に、
独自のローカルルールを加えている。
治安の維持を担う衛兵隊も独自の組織があった。
街の構造も、他の町村とはだいぶ変わっていた。
地上部分にも建築物は若干あるが、この街の主要部分は地下に造られた都市にある。
更にこの地下都市は、古に造られた、
深き地下迷宮の上に造られているのだ。
街中には、迷宮への入り口がぽっかりと穴を開けており、
成り上がり希望の好奇心旺盛な冒険者達を誘蛾灯のように集め、
中へ入れと誘っているようだ。
かつてフォルミーカがまだ小さい街だった頃……
ある日、迷宮を探索したクランが超レアな宝物を発見。
クランのメンバーは、一生暮らせるくらいの莫大な富を得た。
『フォルミーカドリーム』と言われる言葉が、
流行り出したきっかけを作った出来事であった。
こうなると、世界各地から大勢の冒険者が集まるのは必然となる。
冒険者達が必要とする施設と仕事、生活物資が必要となり、
それらを扱い、ひと山当てようとする商人達も数多来訪する。
フォルミーカは迷宮を探索した冒険者達が得た魔物の部位、
謎めいたレアな魔道具及び宝物の売却により、更に莫大な金も生み出した。
このような経緯で、この街は著しい発展を遂げて来たのである。
それゆえ、この街は、他の町村よりも拝金主義の傾向がある。
門番の対応も納得と言えるかもしれない。
さてさて!
フォルミーカの街へ入ったリオネルは地上部分を、
妖精のピクシー、ジャンと一緒に歩いていた。
リオネルは魔導灯が照らす階段を下りて行った。
降りて、すぐ出た場所が大きな広場となっている。
広場は大勢の者達でごったがえしていた。
様々な種族、そして老若男女が混在していた。
リオネルのふるさとのソヴァール王国の王都オルドルでもそうだが、
大きな街の正門付近には、到着したばかりの旅行者に対するアプローチがもの凄い。
中でも多いのが、宿屋の勧誘である。
旅行者の多くは、まずその日の宿を確保し、食事及び観光へという心理が働く。
この世界では宿の予約という概念があまりない。
魔法鳩便等で手紙を送り、予約をする事が不可能ではない。
宿の方でも、前金ありきで、対応はしてくれる。
しかし、殆どの人がそのように金と手間をかける事をしないのだ。
そんな様子を見て、リオネルは考える。
じっくりと腰を据えてフォルミーカの迷宮を攻略したい。
だったらワレバット同様、一軒屋を賃貸した方がベスト。
でも、現在の時刻はまもなく午後6時。
今から、不動産屋で、家探しをするのは時間が遅すぎる。
ギルドへ行けば、ホテルがあるけど、少し味気ないかも。
今夜は、とりあえずどこかの宿へ泊まろうか。
そんなリオネルへ、呼び込みの女性が話しかけて来る。
年齢は、リオネルより少し年上で20歳過ぎくらいだろうか。
「はあ~い、そこの冒険者さ~ん。ウチの宿へ泊まらない~? 格安、安全、清潔、料理は美味い! そして私みたいな可愛い美人スタッフまで! 3拍子どころか、5拍子そろった良宿だよお!」
自分で言うだけあり、女性は顔立ちが整った結構な美人である。
リオネルへ向かい、色っぽくウインクまでして来た。
「ええっと……」
「よっし! 君は可愛いから大サービス! フォルミーカが初めてだったら、私がタダで街の案内もしてあげるよお!」
しかし……破邪霊鎧を習得したリオネルに魅惑の攻撃?は効かなかった。
あくまでも冷静である。
「すんません、お姉さん。街の案内は不要なので、部屋を見せて貰えます? 気に入ったら泊まりますから」
「へ? あ、案内は不要? マジ?」
「はい、マジっす」
タダで街案内を持ち掛け、あまり断られた事はないのであろう。
微笑んだリオネルを見て、宿の女性は呆気に取られてしまったのである。
リオネルの冒険者ギルド所属登録証を見て、屈強でこわもての門番は、
びしっと敬礼。
にっこり笑い、通してくれた。
「ありがとうございます!」
リオネルは、門番へ一礼し、正門を通り、街の中へ入った。
冒険者ギルドの所属登録証を提示し、門番に、あっさりと入場を許可して貰っただけでなく、リオネルは、熱い歓迎の言葉までかけられた。
冒険者ギルドの登録証は、身分証として世界で通用する万能アイテムだ。
一般の冒険者でも所属が明確となるのは勿論、
もしも記載されたランクがB以上、つまりランカーなら門番の対応が全く違う。
相手の接し方も変わり、一目置かれる。
そして、リオネルのように若くして、
ランクA以上の一流と謳われる上級ランカーならば、尚更である。
また……
ランカー、及び上級ランカーは、身元がはっきりした実力者というだけでない。
一般の冒険者より、多くの金を落としてくれる上客でもある。
そもそも迷宮都市フォルミーカは……
アクィラ王国の中でも特異な街である。
この街は多額の税金を納めるのと引き換えに、アクィラ王国から、
ある程度の自治を認められていた。
住民が選んだ市長により、治められており、司法もアクィラ王国の法律に、
独自のローカルルールを加えている。
治安の維持を担う衛兵隊も独自の組織があった。
街の構造も、他の町村とはだいぶ変わっていた。
地上部分にも建築物は若干あるが、この街の主要部分は地下に造られた都市にある。
更にこの地下都市は、古に造られた、
深き地下迷宮の上に造られているのだ。
街中には、迷宮への入り口がぽっかりと穴を開けており、
成り上がり希望の好奇心旺盛な冒険者達を誘蛾灯のように集め、
中へ入れと誘っているようだ。
かつてフォルミーカがまだ小さい街だった頃……
ある日、迷宮を探索したクランが超レアな宝物を発見。
クランのメンバーは、一生暮らせるくらいの莫大な富を得た。
『フォルミーカドリーム』と言われる言葉が、
流行り出したきっかけを作った出来事であった。
こうなると、世界各地から大勢の冒険者が集まるのは必然となる。
冒険者達が必要とする施設と仕事、生活物資が必要となり、
それらを扱い、ひと山当てようとする商人達も数多来訪する。
フォルミーカは迷宮を探索した冒険者達が得た魔物の部位、
謎めいたレアな魔道具及び宝物の売却により、更に莫大な金も生み出した。
このような経緯で、この街は著しい発展を遂げて来たのである。
それゆえ、この街は、他の町村よりも拝金主義の傾向がある。
門番の対応も納得と言えるかもしれない。
さてさて!
フォルミーカの街へ入ったリオネルは地上部分を、
妖精のピクシー、ジャンと一緒に歩いていた。
リオネルは魔導灯が照らす階段を下りて行った。
降りて、すぐ出た場所が大きな広場となっている。
広場は大勢の者達でごったがえしていた。
様々な種族、そして老若男女が混在していた。
リオネルのふるさとのソヴァール王国の王都オルドルでもそうだが、
大きな街の正門付近には、到着したばかりの旅行者に対するアプローチがもの凄い。
中でも多いのが、宿屋の勧誘である。
旅行者の多くは、まずその日の宿を確保し、食事及び観光へという心理が働く。
この世界では宿の予約という概念があまりない。
魔法鳩便等で手紙を送り、予約をする事が不可能ではない。
宿の方でも、前金ありきで、対応はしてくれる。
しかし、殆どの人がそのように金と手間をかける事をしないのだ。
そんな様子を見て、リオネルは考える。
じっくりと腰を据えてフォルミーカの迷宮を攻略したい。
だったらワレバット同様、一軒屋を賃貸した方がベスト。
でも、現在の時刻はまもなく午後6時。
今から、不動産屋で、家探しをするのは時間が遅すぎる。
ギルドへ行けば、ホテルがあるけど、少し味気ないかも。
今夜は、とりあえずどこかの宿へ泊まろうか。
そんなリオネルへ、呼び込みの女性が話しかけて来る。
年齢は、リオネルより少し年上で20歳過ぎくらいだろうか。
「はあ~い、そこの冒険者さ~ん。ウチの宿へ泊まらない~? 格安、安全、清潔、料理は美味い! そして私みたいな可愛い美人スタッフまで! 3拍子どころか、5拍子そろった良宿だよお!」
自分で言うだけあり、女性は顔立ちが整った結構な美人である。
リオネルへ向かい、色っぽくウインクまでして来た。
「ええっと……」
「よっし! 君は可愛いから大サービス! フォルミーカが初めてだったら、私がタダで街の案内もしてあげるよお!」
しかし……破邪霊鎧を習得したリオネルに魅惑の攻撃?は効かなかった。
あくまでも冷静である。
「すんません、お姉さん。街の案内は不要なので、部屋を見せて貰えます? 気に入ったら泊まりますから」
「へ? あ、案内は不要? マジ?」
「はい、マジっす」
タダで街案内を持ち掛け、あまり断られた事はないのであろう。
微笑んだリオネルを見て、宿の女性は呆気に取られてしまったのである。
2
あなたにおすすめの小説
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
勇者召喚の余り物ですが、メイド型アンドロイド軍団で冒険者始めます
水江タカシ
ファンタジー
28歳独身、一般事務の会社員である俺は、勇者召喚に巻き込まれて異世界へと転移した。
勇者、聖女、剣聖――
華やかな肩書きを持つ者たちがもてはやされる中、俺に与えられたのは聞いたこともないスキルだった。
【戦術構築サポートAI】
【アンドロイド工廠】
【兵器保管庫】
【兵站生成モジュール】
【拠点構築システム】
【個体強化カスタマイズ】
王は落胆し、貴族は嘲笑い、俺は“役立たず”として王都から追放される。
だが――
この世界には存在しないはずの“機械兵器”を、俺は召喚できた。
最初に召喚したのは、クールな軍人タイプのメイド型戦闘アンドロイド。
識別番号で呼ばれる彼女に、俺は名前を与えた。
「今日からお前はレイナだ」
これは、勇者ではない男が、
メイド型アンドロイド軍団と共に冒険者として成り上がっていく物語。
屋敷を手に入れ、土地を拠点化し、戦力を増強しながら、
趣味全開で異世界を生きていく。
魔王とはいずれ戦うことになるだろう。
だが今は――
まずは冒険者登録からだ。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
生活魔法は万能です
浜柔
ファンタジー
生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。
それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。
――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる