外れスキルの屑と言われ追放された最底辺の俺が大逆襲のリスタート！ 最強賢者への道を歩み出す！「頼む、戻ってくれ」と言われても、もう遅い！

第443話「よし！ 行くぞ！ キマイラの奴らをロックオンだ！」

ミノタウロス3体を準備運動とばかりに瞬殺したリオネル。

いつの間にか……
リオネルの目の前には、古めかしい中型の宝箱が出現していた。
ミノタウロス3体が「落とした」ものだろう。
このフォルミーカ迷宮では良くあるパターンだ。

床に固定されていない、置かれた形の宝箱を凝視したリオネル。

……罠は仕掛けられているようだ。
しかし、殺傷能力が高いとか、大きな危険は感じない。
警報か、麻痺を招く毒針か、睡眠誘因というところか。

中身は……『そこそこ』のようだ。
このような場合、中身は敵に紐づいたものが多い。
今回の場合、倒した敵がミノタウロス3体なので、
斧とか打撃武器が中身である事が濃厚だ。

どちらにしろ、この場で罠を外し、解錠する気はない。
とりあえず『回収』である。

リオネルは、宝箱を見つめ『搬入』と心で念じる。
すると、宝箱は消え、あっという間に『収納の腕輪』へと吸い込まれた。

「ふう」と軽く息を吐いたリオネル。

一戦したところで、リオネルは『おさらい』をする。

しばらくの間……俺の戦い方は、基本的には変えない。

身体束縛のスキル等を組み合わせた遠距離攻撃魔法、
同じく身体束縛のスキル、自身の身体能力向上を組み合わせた、
ヒットアンドアウェイに、のっとった近距離攻撃魔法。
更にはそれらに剣技、格闘技も合わせて使う。

更に転移魔法使用の攻撃を加え、念話を応用したサトリ能力を活かした、
敵の攻撃を先読みする『見切り能力』も磨きたい。
特に転移魔法の制御、サトリ能力の精度にこだわりたい。

リオネルがミノタウロス3体と戦闘終了後、
ケルベロス、オルトロスの魔獣兄弟、
火の精霊サラマンダーに擬態した巨大な火竜ファイアドレイクは、
既に遥か先を行っていた。

特にオルトロスは張り切っているのが波動で分かる。
先のケルベロス不在時の訓練の効果だろうか。

今回の新フォーメーションも上手く機能しそうだ。

周囲はしん！と静まり返っている。

リオネルが呼び出した照明魔法の魔導光球。
そして、リオネルの革兜に装着された魔導灯が淡く、迷宮の石壁を照らしていた。

広範囲に張り巡らされた強力な索敵……魔力感知も、
フロアに存在する敵の気配を遥か遠くに感じるだけだ。

魔獣兄弟もファイアドレイクも、まだ敵の出現を伝えては来ない。

よし！
行こう！

今日も、頑張るか！

リオネルは、自身をビルドアップする為に、立てた課題クリアを目指す為に、
再び地下91階層を歩き始めたのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

引き続き、91階層を探索するリオネル。

ここで、先行したケルベロス、オルトロス、ファイアドレイクから念話連絡が入る。

『主あるじよ！　敵発見だ！　合成魔獣キマイラ3体！　主には初見だが、訓練用には丁度良かろう』

『くくく！　主！　キマイラなど、ミノタウロス同様、ちょちょいのちょいで、倒してしまえ』

『！！！！！』

相変わらず、ファイアドレイクも思念伝達で、
訓練がてらで、楽勝だろう！　と告げている。

ここで補足しよう。

キマイラは、獅子の頭と山羊の胴体、毒蛇の尻尾を持つ合成魔獣だ。
名前の意味は、「牝山羊」
強靭な肉体を持ち、口から灼熱の火炎を吐く。
魔法を使う個体もあるらしいが、
フォルミーカ迷宮に現れるキマイラは魔法を使わない。

やがて、通路の奥にキマイラ3体が現れた！
体長は５ｍ超、体重も800㎏を超えるだろう。

軽く息を吐いたリオネル。

キマイラが発する波動を捉える。
波動からキマイラの『意思』が伝わって来る。

リオネルは、超低温の水属性魔法『氷壁』を出現させた。
横幅１０ｍ、高さ５ｍ超の通路いっぱいをふさぐものだ。

と、同時にキマイラ3体は、灼熱の火炎を吐いた。

しかし強固で厚い『氷壁』は、キマイラの吐く火炎を全く通さない。

その間、リオネルは放つ波動から、キマイラどもの位置を完全に捕捉した。
すかさず！
『フリーズ』『大地の束縛』で行動も不能とする。

よし！
行くぞ！
キマイラの奴らをロックオンだ！

気合を入れ直したリオネルは、
魔力を練り、手のひらに、渦巻く硬い風の塊を６つ浮かばせる。

『風弾！　貫通撃！』

どしゅっ！　どしゅっ！　どしゅっ！
どしゅっ！　どしゅっ！　どしゅっ！

重い音をたて、風の塊が6発飛んだ。
『貫通撃』を加え、破壊力を大幅に増してある。

放たれた風の塊6発は見事、『氷壁』を貫通！

どごお！　どごお！　どごお！
どごお！　どごお！　どごお！

そして、動けなくなったキマイラの脳天、胴体を、

どしゅっ！　どしゅっ！　どしゅっ！
どしゅっ！　どしゅっ！　どしゅっ！

……見事に貫き、あっさりと「絶命させていた」のである。