外れスキルの屑と言われ追放された最底辺の俺が大逆襲のリスタート! 最強賢者への道を歩み出す!「頼む、戻ってくれ」と言われても、もう遅い!

東導 号

文字の大きさ
571 / 777

第571話「ヒルデガルドさん、ジャン、俺のそばへ」

しおりを挟む
イエーラ領内の占領地域から、跋扈していたオークどもを、
あっさり排除したリオネル。

占領地域に、オークどもの気配がない事を再び確認すると、
転移魔法で、待機するヒルデガルドたちの下へ帰還した。

「ただいま、戻りましたあ!」

片手を挙げ、声を張り上げて、帰還報告をするリオネルを見て、
ヒルデガルドは思い切り大きく目を見開き、

「よ、よくぞ、ご無事でえ!!」

感極まったように叫び、そのまま猛ダッシュ。

リオネルに、ひしっ!としがみついた。

そして無事を確かめるように、ぎゅ!ぎゅ!と、何度もリオネルを抱きしめ、
ぶるぶると身体を震わせる。

ううううと、小さな嗚咽も発していた。

心配しているとは思っていたが、想像以上のヒルデガルドの取り乱しように、
リオネルはびっくりした。

作戦を一から十まで説明し、
こちらの戦力と、リスクの少なさを、彼女には充分周知させたはずなのに。

と、そこへ笑顔のジャンが飛んでやって来た。

『あはは! リオネル様! お帰りなさあい! お疲れ様ああ!』

そして、リオネルにしがみつき、しゃくりあげるヒルデガルドを見て、

『あ~あ、ひで~や。リオネル様が、泣かせちゃったあ!』

と、人聞きが悪い事を言う。

おいおいおいと、リオネルは苦笑した。

そんなリオネルへ、ジャンは、

『大丈夫! ノープロブレム! リオネル様が無事に戻ってさ、ヒルデガルド様は、安堵のあまりの嬉し泣きだよ』

『はあ? 安堵のあまりの嬉し泣き?』

『うん! おいら、話し相手になっていたんだけどさ。ヒルデガルド様は、ず~っと、ず~っと、出撃したリオネル様の身を案じていたんだよお』

『そ、そうなのか?』

『そうだよお! ヒルデガルド様はさ、何かにつけてリオネル様、リオネル様って、リオネル様の話ばっかりだし、何かといろいろ聞きたがる。だからおいら、口止めされている事以外、いろいろ話していたんだ』

『そうか、フォローしてくれて、ありがとうな』

『あはは! どういたしまして! お安い御用さあ!』

という会話をジャンと交わしつつ、
リオネルはしがみついたままのヒルデガルドへ言う。

「ヒルデガルドさん」

「…………………………………………」

呼びかけたが、ヒルデガルドは、リオネルの胸へ顔を埋めたまま無反応。

なのでリオネルは話を続ける。

「ご心配をおかけしました。現在、作戦は順調に進んでいます。とりあえず占領地域からはオークどもを追い出しました」

「…………………………………………」

「アスプたちが眠らせ、行動不能にしたオークどもは、とどめを刺しました。討伐の証拠として空間魔法で死骸を数体キープしてあります」

「…………………………………………」

「既に指示を出したので、ケルベロスはジズ、アスプたちを率い、空と陸から奴らの巣を特定すべく、魔境内へ追撃を開始しています」

占領地域の現状を聞き、ヒルデガルドは口を開く。

「…………あ、ありがとうございます。わ、私……情けないですわ。今まで、この地域で、傍若無人にふるまうオークどもに対し、何も出来ませんでしたから」

対して、リオネルは柔らかく微笑む。

「いいえ、ヒルデガルドさんがご自身を卑下する事はありません」

「…………………………………………」

「発想を変えましょう」

「…………………………………………」

「縁あるいろいろな相手の助けを借り、目的を達成するのもひとつのやり方です」

「…………………………………………」

「自分ひとりで全てをやりとげようとせず、もっと部下の方々を、そして戻って来たイェレミアスさん、助っ人の俺を頼ってください」

「…………………………………………」

「全員で力を合わせ、困難を克服し、目的を達成するのも、結構気持ち良いものですよ」

「は、はいっ!」

リオネルの言葉が心に響いたのだろう。

ヒルデガルドは涙まみれの顔を上げ、元気よく返事をしたのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

今泣いた烏がもう笑う。
台風一過。

……ではないが、ヒルデガルドの機嫌が一変した。

リオネルが無事に戻っただけではなく、優しく励まして貰ったから。

にこにこにこと、明るくなった。

ここに日頃仕えている事務官、武官が居たら、大きなギャップに驚くに違いない。

普段のヒルデガルドは沈着冷静な、クールビューティーという雰囲気で、
淡々と指示を出し、滅多に感情を表に出さないのだから。

「では、作戦は次の段階へ移ります。魔境との国境付近へ行き、地属性魔法で防護壁を造るんです。これでオークどもが侵入しにくくなるはずです」

「はいっ!」

「転移魔法で、一気に跳びますが、まずは先にオルトロス、フロストドレイク、ゴーレムを現場へ送り込みます。俺たちの安全確保の為です」

リオネルはそう言うと、

「さあ! 準備は良いな? お前たち先に行け。安全の確認が出来たら報告を頼む」

の言葉とともに、転移魔法を発動した。

瞬間、オルトロス、ゴーレム20体、そして10m頭上を舞い、
護衛していたフロストドレイクは、煙のように消え失せた。

しばし経ち……
『オークどもは見当たらず、安全が確保出来た』と、
オルトロスから、念話連絡があった。

「今、オルトロスから連絡がありました。安全が確認出来たので、移動します。ヒルデガルドさん、ジャン、俺のそばへ」

「はいっ!」

『了解だよ! リオネル様』

ヒルデガルドがお約束とばかりに、ひし!とリオネルへしがみつき、
ジャンもリオネルの肩に腰かけた瞬間、転移魔法が発動。

リオネルたちの姿も、煙のように消え失せたのである。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

勇者召喚の余り物ですが、メイド型アンドロイド軍団で冒険者始めます

水江タカシ
ファンタジー
28歳独身、一般事務の会社員である俺は、勇者召喚に巻き込まれて異世界へと転移した。 勇者、聖女、剣聖―― 華やかな肩書きを持つ者たちがもてはやされる中、俺に与えられたのは聞いたこともないスキルだった。 【戦術構築サポートAI】 【アンドロイド工廠】 【兵器保管庫】 【兵站生成モジュール】 【拠点構築システム】 【個体強化カスタマイズ】 王は落胆し、貴族は嘲笑い、俺は“役立たず”として王都から追放される。 だが―― この世界には存在しないはずの“機械兵器”を、俺は召喚できた。 最初に召喚したのは、クールな軍人タイプのメイド型戦闘アンドロイド。 識別番号で呼ばれる彼女に、俺は名前を与えた。 「今日からお前はレイナだ」 これは、勇者ではない男が、 メイド型アンドロイド軍団と共に冒険者として成り上がっていく物語。 屋敷を手に入れ、土地を拠点化し、戦力を増強しながら、 趣味全開で異世界を生きていく。 魔王とはいずれ戦うことになるだろう。 だが今は―― まずは冒険者登録からだ。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

生活魔法は万能です

浜柔
ファンタジー
 生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。  それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。  ――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

処理中です...