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第577話「まさに圧巻。 まさに圧倒的。 無抵抗に近く、あっさりと討ち取られて行くオークども」
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従士たちに守られた『陣』に控えるヒルデガルドの視線を背に受けつつ、
リオネルは、歩いた。
まっすぐに、オークどもが潜む『巣』洞窟へ進んで行く。
状況は変わらない。
上位種も居るオークどもは相変わらず、巣の奥へこもったままである。
動きは全くなかった。
イエーラ領内でやりたい放題、傍若無人に振舞っていたオークどもは、
生まれて初めて相まみえる強敵、魔獣ケルベロス、ジズ、アスプたち、
従士が発する波動――闘気に気圧されているようだ。
更にリオネルが、オルトロス、ゴーレムも連れて来たから、
完全にびびっている。
こういう時は、大人しくじっとしてやり過ごす……嵐が通り過ぎるのを待つ、
というのが、彼らの生活の知恵らしい。
洞窟前には、先ほどからケルベロス、アスプたち20体が控えていた。
リオネルは、ヒルデガルドへ伝えたように簡潔明瞭に作戦を説明する。
従士たちは、すぐに作戦を理解したようだ。
作戦が周知されたら、ためらう理由はない。
そしてリオネルは、これまで何回か試したやり方を実行する事にした。
それは魔導発煙筒の遠距離からのセッティングである。
転移魔法を使い、発煙装置を起動させた魔導発煙筒を送り込むのだ。
リオネルは、起動紐を引き、しゅ~っと、起動させた魔導発煙筒を次々に転移。
オークの巣へ、ガンガン放り込む。
転移距離に幅を持たせ、魔導発煙筒を都合10本ほどを放り込むと、
すぐに、
もくもくもくもくもく……
と巣――洞窟の出入り口から、魔力を帯びた白煙が噴き出て来た。
魔導発煙筒は問題なく起動したようだ。
ここでリオネルは抜かりなく、煙が奥へ行くよう、弱い風の魔法を行使。
ぴゆ~っと、一陣の風が洞窟へ吹き込んだ。
噴き出ていた魔法煙は、洞窟の最奥へ押し込められた。
洞窟中に充満したはずである。
「これで良し」
手はずは整った。
風向きを読んだ上で、リオネルは、魔法煙が流れて来ない位置へ、
従士たちと共に移動、待機した。
一旦最奥まで届いた魔法煙が、再び出入り口から、噴き出して来る。
もくもくもくもくもく……
もくもくもくもくもく……
もくもくもくもくもく……
もくもくもくもくもく……
魔法煙が噴き出す勢い、量も増して来ている。
よし、計算通り、魔法煙は、ヒルデガルドさんの居る陣へ流れていない。
陣へ流れ込んだら、催涙効果で涙ぼろぼろになってしまうから。
引き続き、索敵はMAXレベルで、張り巡らせてある。
オークどもの動きは、手に取るように分かる。
……後は、待つだけ。
索敵は、魔法煙の動きさえ、把握可能。
そして刺激的な魔法煙に気付いたオークどもは大騒ぎ。
燻され、涙まみれにされる魔法煙を避けようと避けようと、出入り口へ向かい殺到。
リオネルは、ヒルデガルドへ、そして従士たちへ全員へ、
念話を使い、現在の状況を伝えたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
リオネルの連絡が済んで、しばらくすると、
うぎゃああ!! ぐああっ!! あぐああっ!!
うぎゃああ!! ぐああっ!! あぐああっ!!
うぎゃああ!! ぐああっ!! あぐああっ!!
もうたまらん!という雰囲気で、目をこすり、涙をだらだら流しながら、
悲鳴をあげ、巣から燻し出されて来たのはオークども。
結構な数であり、うじゃ、うじゃ、うじゃという形容がぴったりだ。
『よし! かかれっ!』
というリオネルの合図とともに、咆哮したケルベロス、
異音を発したアスプ20体が襲いかかる。
がはああっっ!!!
しゃ~っ!!!
しゃ~っ!!!
しゃ~っ!!!
従士たちが戦闘へ入ったのを見届け、
リオネルはムラマサを、しゅらっ!と抜く。
見事な刃文が入った白銀の刃が陽光を受け、ぎらりと輝く。
異世界ヤマト皇国より、次元を超え、この世界へやって来た、
インテリジェンスソード、太刀のムラマサ。
黒いさやは1mほど。
刀身は多分、約60㎝強といったところ。
柄は皮を巻き、その皮は丁寧に磨かれており、丈夫な糸で、
しっかりと巻かれていた。
フォルミーカ迷宮で戦って以来なので、
ムラマサを抜くのは久しぶりだ。
『おお! ようやく抜いて頂けましたな、我が主、サムライマスター、リオネル様!』
『ああ、いきなりだが、仕事だぞ、ムラマサ。アールヴ族と締結した契約の一環で、オークども2千体を倒す』
『おおっ、契約でござるか! かしこまった! たかがオークどもなど、いくら居ても、リオネル様なら倒すのはたやすい事』
『ああ、スキル・オークハンターがあるから、オークとはアドバンテージを持って戦えると思う。だが、油断はしないよ』
『ふむ、良き事です。勝って兜の緒を締めよ、という事ですな』
『ああ! そろそろ、行くぞ!』
『御意!』
だん!とリオネルは、大地を蹴った。
既にケルベロス、アスプにより、オークどもは次々と倒され、
かつ眠らされている。
魔導発煙筒で大混乱になった事から、全くの無防備、隙だらけである。
ずばっ! どかっ! ばしゅっ!
ずばっ! どかっ! ばしゅっ!
ずばっ! どかっ! ばしゅっ!
ずばっ! どかっ! ばしゅっ!
ずばっ! どかっ! ばしゅっ!
ずばっ! どかっ! ばしゅっ!
威圧、フリーズで相手の動きを止め、魔法剣を駆使、そして蹴り、拳を打ち込み、
更には至近距離からの風弾。
ワレバッドの冒険者ギルド総本部サブマスター、
剣聖ブレーズ・シャリエを見て学び、習得した剣技、
師モーリス直伝の破邪聖煌拳、
そしてスキル、攻撃魔法を織り交ぜ戦う。
これぞ、リオネルの魔法剣士バトルスタイル。
まさに圧巻。
まさに圧倒的。
無抵抗に近く、あっさりと討ち取られて行くオークども。
……やがて、白煙をかきわけるように現れた超大柄なオーク、
上位種オークキングが現れた。
こいつが群れの親玉、リーダーに違いない。
体長は3m、筋骨隆々の肉体。
体重は300㎏を超えているだろう。
身長約1,8mのリオネルからすれば、見上げる形となる。
しかし、リオネルは全く臆さず、ふっと、笑い、ムラマサをぱちん!と納剣。
一方、オークキングは魔法煙で涙だらだらながら、配下どもが倒された事を認識、
ぐはあおおおおおおおおおおおっっっっ!!!!!!!!
猛り憤怒し、凄まじい咆哮を発した。
そして大きな拳を振るい、リオネルを殴殺しようとした。
しかし!!!
リオネルは、動きを楽々と読み切り、オークキングの腕を右手でがしっ!とつかみ、
ごうわっ!と、カウンターでオークキングのどてっ腹へ、左ストレートを打ち込む。
敵の肉体を裂かずに、硬化した魔力で内面を撃ち抜き、大ダメージを与える攻撃技、
『貫通撃!!』がさく裂。
どっごおおおおおおおおおおおんんんん!!!!!!!!!!
リオネルの拳を腹に深々と受けたオークキングは、あっさりと吹っ飛び、
ごろごろごろと転がった後、がは!と血を吐き、ぴくりとも動かなかったのである。
リオネルは、歩いた。
まっすぐに、オークどもが潜む『巣』洞窟へ進んで行く。
状況は変わらない。
上位種も居るオークどもは相変わらず、巣の奥へこもったままである。
動きは全くなかった。
イエーラ領内でやりたい放題、傍若無人に振舞っていたオークどもは、
生まれて初めて相まみえる強敵、魔獣ケルベロス、ジズ、アスプたち、
従士が発する波動――闘気に気圧されているようだ。
更にリオネルが、オルトロス、ゴーレムも連れて来たから、
完全にびびっている。
こういう時は、大人しくじっとしてやり過ごす……嵐が通り過ぎるのを待つ、
というのが、彼らの生活の知恵らしい。
洞窟前には、先ほどからケルベロス、アスプたち20体が控えていた。
リオネルは、ヒルデガルドへ伝えたように簡潔明瞭に作戦を説明する。
従士たちは、すぐに作戦を理解したようだ。
作戦が周知されたら、ためらう理由はない。
そしてリオネルは、これまで何回か試したやり方を実行する事にした。
それは魔導発煙筒の遠距離からのセッティングである。
転移魔法を使い、発煙装置を起動させた魔導発煙筒を送り込むのだ。
リオネルは、起動紐を引き、しゅ~っと、起動させた魔導発煙筒を次々に転移。
オークの巣へ、ガンガン放り込む。
転移距離に幅を持たせ、魔導発煙筒を都合10本ほどを放り込むと、
すぐに、
もくもくもくもくもく……
と巣――洞窟の出入り口から、魔力を帯びた白煙が噴き出て来た。
魔導発煙筒は問題なく起動したようだ。
ここでリオネルは抜かりなく、煙が奥へ行くよう、弱い風の魔法を行使。
ぴゆ~っと、一陣の風が洞窟へ吹き込んだ。
噴き出ていた魔法煙は、洞窟の最奥へ押し込められた。
洞窟中に充満したはずである。
「これで良し」
手はずは整った。
風向きを読んだ上で、リオネルは、魔法煙が流れて来ない位置へ、
従士たちと共に移動、待機した。
一旦最奥まで届いた魔法煙が、再び出入り口から、噴き出して来る。
もくもくもくもくもく……
もくもくもくもくもく……
もくもくもくもくもく……
もくもくもくもくもく……
魔法煙が噴き出す勢い、量も増して来ている。
よし、計算通り、魔法煙は、ヒルデガルドさんの居る陣へ流れていない。
陣へ流れ込んだら、催涙効果で涙ぼろぼろになってしまうから。
引き続き、索敵はMAXレベルで、張り巡らせてある。
オークどもの動きは、手に取るように分かる。
……後は、待つだけ。
索敵は、魔法煙の動きさえ、把握可能。
そして刺激的な魔法煙に気付いたオークどもは大騒ぎ。
燻され、涙まみれにされる魔法煙を避けようと避けようと、出入り口へ向かい殺到。
リオネルは、ヒルデガルドへ、そして従士たちへ全員へ、
念話を使い、現在の状況を伝えたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
リオネルの連絡が済んで、しばらくすると、
うぎゃああ!! ぐああっ!! あぐああっ!!
うぎゃああ!! ぐああっ!! あぐああっ!!
うぎゃああ!! ぐああっ!! あぐああっ!!
もうたまらん!という雰囲気で、目をこすり、涙をだらだら流しながら、
悲鳴をあげ、巣から燻し出されて来たのはオークども。
結構な数であり、うじゃ、うじゃ、うじゃという形容がぴったりだ。
『よし! かかれっ!』
というリオネルの合図とともに、咆哮したケルベロス、
異音を発したアスプ20体が襲いかかる。
がはああっっ!!!
しゃ~っ!!!
しゃ~っ!!!
しゃ~っ!!!
従士たちが戦闘へ入ったのを見届け、
リオネルはムラマサを、しゅらっ!と抜く。
見事な刃文が入った白銀の刃が陽光を受け、ぎらりと輝く。
異世界ヤマト皇国より、次元を超え、この世界へやって来た、
インテリジェンスソード、太刀のムラマサ。
黒いさやは1mほど。
刀身は多分、約60㎝強といったところ。
柄は皮を巻き、その皮は丁寧に磨かれており、丈夫な糸で、
しっかりと巻かれていた。
フォルミーカ迷宮で戦って以来なので、
ムラマサを抜くのは久しぶりだ。
『おお! ようやく抜いて頂けましたな、我が主、サムライマスター、リオネル様!』
『ああ、いきなりだが、仕事だぞ、ムラマサ。アールヴ族と締結した契約の一環で、オークども2千体を倒す』
『おおっ、契約でござるか! かしこまった! たかがオークどもなど、いくら居ても、リオネル様なら倒すのはたやすい事』
『ああ、スキル・オークハンターがあるから、オークとはアドバンテージを持って戦えると思う。だが、油断はしないよ』
『ふむ、良き事です。勝って兜の緒を締めよ、という事ですな』
『ああ! そろそろ、行くぞ!』
『御意!』
だん!とリオネルは、大地を蹴った。
既にケルベロス、アスプにより、オークどもは次々と倒され、
かつ眠らされている。
魔導発煙筒で大混乱になった事から、全くの無防備、隙だらけである。
ずばっ! どかっ! ばしゅっ!
ずばっ! どかっ! ばしゅっ!
ずばっ! どかっ! ばしゅっ!
ずばっ! どかっ! ばしゅっ!
ずばっ! どかっ! ばしゅっ!
ずばっ! どかっ! ばしゅっ!
威圧、フリーズで相手の動きを止め、魔法剣を駆使、そして蹴り、拳を打ち込み、
更には至近距離からの風弾。
ワレバッドの冒険者ギルド総本部サブマスター、
剣聖ブレーズ・シャリエを見て学び、習得した剣技、
師モーリス直伝の破邪聖煌拳、
そしてスキル、攻撃魔法を織り交ぜ戦う。
これぞ、リオネルの魔法剣士バトルスタイル。
まさに圧巻。
まさに圧倒的。
無抵抗に近く、あっさりと討ち取られて行くオークども。
……やがて、白煙をかきわけるように現れた超大柄なオーク、
上位種オークキングが現れた。
こいつが群れの親玉、リーダーに違いない。
体長は3m、筋骨隆々の肉体。
体重は300㎏を超えているだろう。
身長約1,8mのリオネルからすれば、見上げる形となる。
しかし、リオネルは全く臆さず、ふっと、笑い、ムラマサをぱちん!と納剣。
一方、オークキングは魔法煙で涙だらだらながら、配下どもが倒された事を認識、
ぐはあおおおおおおおおおおおっっっっ!!!!!!!!
猛り憤怒し、凄まじい咆哮を発した。
そして大きな拳を振るい、リオネルを殴殺しようとした。
しかし!!!
リオネルは、動きを楽々と読み切り、オークキングの腕を右手でがしっ!とつかみ、
ごうわっ!と、カウンターでオークキングのどてっ腹へ、左ストレートを打ち込む。
敵の肉体を裂かずに、硬化した魔力で内面を撃ち抜き、大ダメージを与える攻撃技、
『貫通撃!!』がさく裂。
どっごおおおおおおおおおおおんんんん!!!!!!!!!!
リオネルの拳を腹に深々と受けたオークキングは、あっさりと吹っ飛び、
ごろごろごろと転がった後、がは!と血を吐き、ぴくりとも動かなかったのである。
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