695 / 777
第695話「クールな外見に似合わないパイモンの身振り手振り付きの熱血指導」
しおりを挟む
『おはよう! 婿殿じゃなかった! リオネル!』
『おはよう! リオ!』
『おはようございます! 本日もお疲れ様です、アマイモン様、ティエラ様。昨日の宴のように凝った料理ではありませんが、朝食を用意していますので、宜しければ召し上がってください』
転移魔法を使い、翌朝7時、一番で現れたアマイモン、ティエラ父娘は、
本当に上機嫌であった。
昨夜のうちに父娘でリオネルとの『結婚』情報を共有したらしい。
続いて、独特な転移門から現れたパイモンは不機嫌なのか、若干渋い表情である。
横のつながりで、いずれリオネルとティエラが結婚する事を認識しており、
それが「昨夜、確定した」と報されたからだろう。
やはり精霊の間には、激しいライバル心があるらしい。
『おはようございます、本日もお疲れ様です、パイモン様』
『うむ、リオネルよ、おはよう! 今日はみっちりと火属性魔法の修行をするぞ! そして昨日の約束通り、新たに従士となる者共も紹介し、お前へ引き渡そう』
『ありがとうございます。本日はアリスティド様も一緒に修行しますので何卒宜しくお願い致します』
『お、おはようございます! 本日もお疲れ様です、パイモン様! な、何卒宜しくお願い致します!』
憧れである4界王のひとりパイモンから声をかけられ、緊張気味のアリスティド。
『うむ! アリスティドよ、宜しくな!』
本日の予定として、リオネルとアリスティドは、パイモンと火属性魔法の修行。
一方、昨夜、夢の中で『リオネルと、ティエラ、ヒルデガルドの結婚話』を聞き、
ひどく上機嫌のイェレミアス。
今後、交流が更に深まるであろうアマイモンとティエラ父娘から、
『役立つスキル』を教授して貰う事となっている。
『パイモン様も宜しければ朝食をどうぞ。簡単なものですが』
『ふむ、昨日同様、良き香りがするぞ。馳走になろう』
リオネルに朝食を勧められ、パイモンが柔らかく微笑む。
どうやら少し機嫌が直ったようだ。
リオネルとイェレミアスが、
フォルミーカ迷宮で共同生活をしている頃から作る朝食は、
焼きたてのパン数種に、ウインナー、スクランブルエッグ、
サラダ、紅茶というシンプルなもの。
大量に備蓄された素材は全て収納の腕輪に保管してある。
リオネルがイェレミアスと契約し、
イエーラへ赴いてからは本当に多忙で厨房に立つ余裕は皆無。
それゆえ久々の迷宮生活という事で、
イェレミアス、アリスティドにもフォローして貰い、
リオネルは張り切って料理を作った。
ちなみに……
リオネルのパン焼きの技術は料理同様、旅の途中で立ち寄った町村の業者や商店で、
空いた時間を使い、まめに習い覚え、腕を上げたもの。
料理ほど満足する腕前ではないので、
また時間を作り、更に技術を上げたいと思っている。
ただそう思っているのはリオネルだけで第三者から見れば、充分プロレベルだ。
と、いう事で、わいわいと楽しく朝食を摂る一行であった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
朝食を食べ終わった一行は、全員、転移魔法で移動。
フォルミーカ迷宮125階層にある『砂漠地帯』に現れた。
この砂漠地帯は、事前に修行用の場所として、
リオネルがチェックしていた場所である。
一面に広がる深い砂地に、ところどころ大きな岩が転がる荒涼とした風景で、
小さな村くらいの面積があり、中央付近で修行を行えば、
敷地外への延焼の可能性は限りなく低い。
一方、別組のティエラ達は、リオネル達の行使する魔法に巻き込まれないよう、
少し距離を取っている。
その中で、晴れて『婚約者』となったティエラが、
笑顔でリオネルへ向かい手を振った。
『お~い! リオ! 修行、頑張って!』
ふたりの会話はお約束で、心と心の会話たる念話。
それもリオネルとティエラのみ通じ合う、個人念話である。
恋する男子にとって、想い人たる女子の応援は心躍るもの。
やる気が心身にみなぎって来る。
『はいっ! 頑張ります、ティエラ様。そちらもイェレミアスさんの御指導を宜しくお願い致します』
リオネルとティエラは結婚の約束をしたが、婚約はまだ、
それ以降もとりあえずは未定。
なので、会話のやりとりも、昨夜の打合せで、
しばらくの間は『これまでと同じ』にしようと決めた。
つまり、双方の呼び方、言葉遣いは変わらない。
いきなりの呼び捨てなどはない。
ちなみにヒルデガルドとのやりとりも同様となった。
『まっかせて! お父様と一緒に、今後役立つ、使い勝手の良いスキルを教えておくから!』
『宜しくです』
そんな会話の後で、早速火の魔法修行が開始される。
『よし! 行きます!』
呼吸法で体内魔力を上げ、ストレッチを行った後……
まずはリオネルが、昨日話した通り、
基礎中の基礎、生活魔法の『着火』から始まり……
小中大のサイズごとに攻撃魔法の『炎放射』『炎弾』『炎矢』『火球』を
そして上級魔法の『火球散弾』『爆炎』の各サイズも無詠唱、神速で発動して行く。
そして防御魔法の『火の壁』の各サイズも、
次々と発動する。
全てがスムーズ、制御も完璧で、狙った場所へあっさりと発動させた。
見守っていたパイモンが感嘆する。
『うむ!! リオネルよ!! さすがだ!! ……次、アリスティド!』
『は、はいっ! パイモン様! 申し訳ございませんが、我は習得しているもののみ発動致しますっ!』
そう、魔法剣士といっても、武道寄りのアリスティドは、
上級魔法の『火球散弾』『爆炎』までは習得していない。
それゆえ、生活魔法の『着火』、攻撃魔法の『炎放射』『炎弾』『炎矢』『火球』、
防御魔法の『火の壁』を、小中大のサイズごとに発動した。
だが、無詠唱というわけにはいかず、言霊の詠唱と大振りな予備動作もあり、
リオネルほど発動がスムーズに行かない。
制御も不完全で、ばらつきがあり、狙った場所で発動しない事も多かった。
大の負けず嫌いなアリスティドは、悔しそうな表情を見せたが、
実力の差は如何ともしがたい。
そもそも、実力をアップする為の修行なのだから。
努力するしかないのだ。
『うむ! 無詠唱、神速、制御も完全と、リオネルは文句なく合格だ。まだまだ伸びしろがあるから、更なる上級魔法、そして最上級魔法も教授しよう』
『ありがとうございます』
『よし! リオネル! お前に授ける上級魔法は溶岩弾。そして最上級魔法は爆炎溶岩群弾だ』
『はい! 上級魔法は溶岩弾、そして最上級魔法は爆炎溶岩群弾ですね』
『うむ! これがそれぞれの言霊、私パイモンの加護付きだ。スムーズな詠唱を行う為、そして無詠唱へ至る為、まずは言霊を読み込み、空で言えるくらい完璧に覚えるが良い!』
そう言うと、パイモンはピン!と指を鳴らし、
空中に1枚の大きな紙片を出現させた。
文字が、びっしり書き込まれた魔導書の1ページという趣きである。
そして紙片は、ふわっと浮き上がり、ひゅっ!とリオネルへ向かって飛んで来た。
紙片を、なんなくリオネルはキャッチ。
早速、読み始める。
リオネルへ紙片を送ったパイモンはアリスティドへ向き直る。
『アリスティドよ。意に沿わぬかもしれぬが、お前の才では、火属性魔法の攻防とも上級以上を習得する余地はない』
非情にも、きっぱりと言い切るパイモン。
パイモンの言葉を聞いたアリスティドは、驚きかつ、がっくり。
『え!? そ、そうですか、残念です……』
『だが、気を落とすな。習得済みの魔法を更に磨き上げ、レベルアップする事は可能だ。私が直々に指導をしよう』
『は、はいっ! パイモン様直々とは! ありがたき幸せでございますっ!』
『アリスティド、お前の課題は発動の円滑さと制御の安定である。その課題を克服し、習得した全ての魔法をレベルアップさせるのだ』
『粉骨砕身致します!』
『ふむ、良き心がけだ。まずは『炎放射』『炎弾』の言霊のスムーズな詠唱を行い、予備動作の無駄を無くせ』
『は、はいっ!』
『言霊の詠唱はこう! 予備動作はこうやる!』
クールな外見に似合わないパイモンの身振り手振り付きの熱血指導。
火界王の文字通り熱い指導を受け、
アリスティドは『炎放射』『炎弾』の言霊を詠唱、
予備動作を経て、何度も何度も発動する。
するとすると、すぐに効果は表れ、魔法を円滑に発動出来るようになって来た。
『よし! アリスティド! 引き続き、『炎矢』『火球』『火の壁』も行ってみよ! 言霊の詠唱はこう! 予備動作はこうやる!』
『はいっ!』
そうこうしているうちに、リオネルは渡された『魔導書』を読み終わったようだ。
『よし、リオネル! 渡した『魔導書』を読み終わったようだな。お前はぶっつけで発動へ挑んでみよ!』
『了解です! パイモン様、まずは溶岩弾の小、言霊有り、で行きますね』
『うむ! 構わぬ!』
魔導書記載の言霊を読み込みながら、
心の中のみのつぶやき――無言で、空撃ちの『仮発動』を続けていたリオネル。
確信を持ち、『本発動』を行う。
『……溶岩弾、小!』
言霊有りといえど、魔法名を唱えるだけ。
ほぼ無詠唱……である。
するとリオネルの頭上には、何もない空間からいきなり!
真っ赤に燃え盛る直径1mほどの溶岩塊が出現!!
リオネルがさっと手を動かすと、
ごおおっ!と音を立て、溶岩塊は凄まじい速さで直進。
どごおおっ!!
放たれた溶岩塊は的にした大岩へぶち当り、大岩ともに粉々に砕けちった。
『ええっと、パイモン様、まずまず、ですかね』
『いや、初めての発動なら、並みの合格以上であろう』
『了解です。更に円滑さと制御を、もっと高めます』
『良かろう! 無詠唱での行使と、針の穴をも通すコントロールを目指すが良い! 中、大へのスケールアップも忘れずにな! 次は爆炎溶岩群弾だ、行けるか?』
『はい! 行けます! ……爆炎溶岩群弾、小!』
リオネルがさっと手を挙げれば、
ごおおっ!ごおおっ!ごおおっ!ごおおっ!ごおおっ!
何もない空間に今と同サイズの溶岩塊10個ほどが現れ、
再びさっと手を振れば、的にした別の大岩へと降り注ぐ。
どごおうっ!どごおうっ!どごおうっ!どごおうっ!どごおうっ!
凄まじい爆炎が沸き起こり、的の大岩は跡形もなくなった。
『ええっと、こちらも、まずまず、ですかね』
『いやいや、初めての発動なら、こちらも並みの合格以上であろう』
『了解です。やはり、円滑さと制御をもっと高めます』
『ふむ、先ほどと以下同文だ』
そんなリオネルを見たアリスティドは、
やれやれ……いくら火界王パイモン様のご加護があるからといって、
初めて使う上位魔法でこれかよ……本当にこいつはとんでもねえ!底が知れねえ!
と、呆れ、舌を巻いていたのである。
『おはよう! リオ!』
『おはようございます! 本日もお疲れ様です、アマイモン様、ティエラ様。昨日の宴のように凝った料理ではありませんが、朝食を用意していますので、宜しければ召し上がってください』
転移魔法を使い、翌朝7時、一番で現れたアマイモン、ティエラ父娘は、
本当に上機嫌であった。
昨夜のうちに父娘でリオネルとの『結婚』情報を共有したらしい。
続いて、独特な転移門から現れたパイモンは不機嫌なのか、若干渋い表情である。
横のつながりで、いずれリオネルとティエラが結婚する事を認識しており、
それが「昨夜、確定した」と報されたからだろう。
やはり精霊の間には、激しいライバル心があるらしい。
『おはようございます、本日もお疲れ様です、パイモン様』
『うむ、リオネルよ、おはよう! 今日はみっちりと火属性魔法の修行をするぞ! そして昨日の約束通り、新たに従士となる者共も紹介し、お前へ引き渡そう』
『ありがとうございます。本日はアリスティド様も一緒に修行しますので何卒宜しくお願い致します』
『お、おはようございます! 本日もお疲れ様です、パイモン様! な、何卒宜しくお願い致します!』
憧れである4界王のひとりパイモンから声をかけられ、緊張気味のアリスティド。
『うむ! アリスティドよ、宜しくな!』
本日の予定として、リオネルとアリスティドは、パイモンと火属性魔法の修行。
一方、昨夜、夢の中で『リオネルと、ティエラ、ヒルデガルドの結婚話』を聞き、
ひどく上機嫌のイェレミアス。
今後、交流が更に深まるであろうアマイモンとティエラ父娘から、
『役立つスキル』を教授して貰う事となっている。
『パイモン様も宜しければ朝食をどうぞ。簡単なものですが』
『ふむ、昨日同様、良き香りがするぞ。馳走になろう』
リオネルに朝食を勧められ、パイモンが柔らかく微笑む。
どうやら少し機嫌が直ったようだ。
リオネルとイェレミアスが、
フォルミーカ迷宮で共同生活をしている頃から作る朝食は、
焼きたてのパン数種に、ウインナー、スクランブルエッグ、
サラダ、紅茶というシンプルなもの。
大量に備蓄された素材は全て収納の腕輪に保管してある。
リオネルがイェレミアスと契約し、
イエーラへ赴いてからは本当に多忙で厨房に立つ余裕は皆無。
それゆえ久々の迷宮生活という事で、
イェレミアス、アリスティドにもフォローして貰い、
リオネルは張り切って料理を作った。
ちなみに……
リオネルのパン焼きの技術は料理同様、旅の途中で立ち寄った町村の業者や商店で、
空いた時間を使い、まめに習い覚え、腕を上げたもの。
料理ほど満足する腕前ではないので、
また時間を作り、更に技術を上げたいと思っている。
ただそう思っているのはリオネルだけで第三者から見れば、充分プロレベルだ。
と、いう事で、わいわいと楽しく朝食を摂る一行であった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
朝食を食べ終わった一行は、全員、転移魔法で移動。
フォルミーカ迷宮125階層にある『砂漠地帯』に現れた。
この砂漠地帯は、事前に修行用の場所として、
リオネルがチェックしていた場所である。
一面に広がる深い砂地に、ところどころ大きな岩が転がる荒涼とした風景で、
小さな村くらいの面積があり、中央付近で修行を行えば、
敷地外への延焼の可能性は限りなく低い。
一方、別組のティエラ達は、リオネル達の行使する魔法に巻き込まれないよう、
少し距離を取っている。
その中で、晴れて『婚約者』となったティエラが、
笑顔でリオネルへ向かい手を振った。
『お~い! リオ! 修行、頑張って!』
ふたりの会話はお約束で、心と心の会話たる念話。
それもリオネルとティエラのみ通じ合う、個人念話である。
恋する男子にとって、想い人たる女子の応援は心躍るもの。
やる気が心身にみなぎって来る。
『はいっ! 頑張ります、ティエラ様。そちらもイェレミアスさんの御指導を宜しくお願い致します』
リオネルとティエラは結婚の約束をしたが、婚約はまだ、
それ以降もとりあえずは未定。
なので、会話のやりとりも、昨夜の打合せで、
しばらくの間は『これまでと同じ』にしようと決めた。
つまり、双方の呼び方、言葉遣いは変わらない。
いきなりの呼び捨てなどはない。
ちなみにヒルデガルドとのやりとりも同様となった。
『まっかせて! お父様と一緒に、今後役立つ、使い勝手の良いスキルを教えておくから!』
『宜しくです』
そんな会話の後で、早速火の魔法修行が開始される。
『よし! 行きます!』
呼吸法で体内魔力を上げ、ストレッチを行った後……
まずはリオネルが、昨日話した通り、
基礎中の基礎、生活魔法の『着火』から始まり……
小中大のサイズごとに攻撃魔法の『炎放射』『炎弾』『炎矢』『火球』を
そして上級魔法の『火球散弾』『爆炎』の各サイズも無詠唱、神速で発動して行く。
そして防御魔法の『火の壁』の各サイズも、
次々と発動する。
全てがスムーズ、制御も完璧で、狙った場所へあっさりと発動させた。
見守っていたパイモンが感嘆する。
『うむ!! リオネルよ!! さすがだ!! ……次、アリスティド!』
『は、はいっ! パイモン様! 申し訳ございませんが、我は習得しているもののみ発動致しますっ!』
そう、魔法剣士といっても、武道寄りのアリスティドは、
上級魔法の『火球散弾』『爆炎』までは習得していない。
それゆえ、生活魔法の『着火』、攻撃魔法の『炎放射』『炎弾』『炎矢』『火球』、
防御魔法の『火の壁』を、小中大のサイズごとに発動した。
だが、無詠唱というわけにはいかず、言霊の詠唱と大振りな予備動作もあり、
リオネルほど発動がスムーズに行かない。
制御も不完全で、ばらつきがあり、狙った場所で発動しない事も多かった。
大の負けず嫌いなアリスティドは、悔しそうな表情を見せたが、
実力の差は如何ともしがたい。
そもそも、実力をアップする為の修行なのだから。
努力するしかないのだ。
『うむ! 無詠唱、神速、制御も完全と、リオネルは文句なく合格だ。まだまだ伸びしろがあるから、更なる上級魔法、そして最上級魔法も教授しよう』
『ありがとうございます』
『よし! リオネル! お前に授ける上級魔法は溶岩弾。そして最上級魔法は爆炎溶岩群弾だ』
『はい! 上級魔法は溶岩弾、そして最上級魔法は爆炎溶岩群弾ですね』
『うむ! これがそれぞれの言霊、私パイモンの加護付きだ。スムーズな詠唱を行う為、そして無詠唱へ至る為、まずは言霊を読み込み、空で言えるくらい完璧に覚えるが良い!』
そう言うと、パイモンはピン!と指を鳴らし、
空中に1枚の大きな紙片を出現させた。
文字が、びっしり書き込まれた魔導書の1ページという趣きである。
そして紙片は、ふわっと浮き上がり、ひゅっ!とリオネルへ向かって飛んで来た。
紙片を、なんなくリオネルはキャッチ。
早速、読み始める。
リオネルへ紙片を送ったパイモンはアリスティドへ向き直る。
『アリスティドよ。意に沿わぬかもしれぬが、お前の才では、火属性魔法の攻防とも上級以上を習得する余地はない』
非情にも、きっぱりと言い切るパイモン。
パイモンの言葉を聞いたアリスティドは、驚きかつ、がっくり。
『え!? そ、そうですか、残念です……』
『だが、気を落とすな。習得済みの魔法を更に磨き上げ、レベルアップする事は可能だ。私が直々に指導をしよう』
『は、はいっ! パイモン様直々とは! ありがたき幸せでございますっ!』
『アリスティド、お前の課題は発動の円滑さと制御の安定である。その課題を克服し、習得した全ての魔法をレベルアップさせるのだ』
『粉骨砕身致します!』
『ふむ、良き心がけだ。まずは『炎放射』『炎弾』の言霊のスムーズな詠唱を行い、予備動作の無駄を無くせ』
『は、はいっ!』
『言霊の詠唱はこう! 予備動作はこうやる!』
クールな外見に似合わないパイモンの身振り手振り付きの熱血指導。
火界王の文字通り熱い指導を受け、
アリスティドは『炎放射』『炎弾』の言霊を詠唱、
予備動作を経て、何度も何度も発動する。
するとすると、すぐに効果は表れ、魔法を円滑に発動出来るようになって来た。
『よし! アリスティド! 引き続き、『炎矢』『火球』『火の壁』も行ってみよ! 言霊の詠唱はこう! 予備動作はこうやる!』
『はいっ!』
そうこうしているうちに、リオネルは渡された『魔導書』を読み終わったようだ。
『よし、リオネル! 渡した『魔導書』を読み終わったようだな。お前はぶっつけで発動へ挑んでみよ!』
『了解です! パイモン様、まずは溶岩弾の小、言霊有り、で行きますね』
『うむ! 構わぬ!』
魔導書記載の言霊を読み込みながら、
心の中のみのつぶやき――無言で、空撃ちの『仮発動』を続けていたリオネル。
確信を持ち、『本発動』を行う。
『……溶岩弾、小!』
言霊有りといえど、魔法名を唱えるだけ。
ほぼ無詠唱……である。
するとリオネルの頭上には、何もない空間からいきなり!
真っ赤に燃え盛る直径1mほどの溶岩塊が出現!!
リオネルがさっと手を動かすと、
ごおおっ!と音を立て、溶岩塊は凄まじい速さで直進。
どごおおっ!!
放たれた溶岩塊は的にした大岩へぶち当り、大岩ともに粉々に砕けちった。
『ええっと、パイモン様、まずまず、ですかね』
『いや、初めての発動なら、並みの合格以上であろう』
『了解です。更に円滑さと制御を、もっと高めます』
『良かろう! 無詠唱での行使と、針の穴をも通すコントロールを目指すが良い! 中、大へのスケールアップも忘れずにな! 次は爆炎溶岩群弾だ、行けるか?』
『はい! 行けます! ……爆炎溶岩群弾、小!』
リオネルがさっと手を挙げれば、
ごおおっ!ごおおっ!ごおおっ!ごおおっ!ごおおっ!
何もない空間に今と同サイズの溶岩塊10個ほどが現れ、
再びさっと手を振れば、的にした別の大岩へと降り注ぐ。
どごおうっ!どごおうっ!どごおうっ!どごおうっ!どごおうっ!
凄まじい爆炎が沸き起こり、的の大岩は跡形もなくなった。
『ええっと、こちらも、まずまず、ですかね』
『いやいや、初めての発動なら、こちらも並みの合格以上であろう』
『了解です。やはり、円滑さと制御をもっと高めます』
『ふむ、先ほどと以下同文だ』
そんなリオネルを見たアリスティドは、
やれやれ……いくら火界王パイモン様のご加護があるからといって、
初めて使う上位魔法でこれかよ……本当にこいつはとんでもねえ!底が知れねえ!
と、呆れ、舌を巻いていたのである。
12
あなたにおすすめの小説
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
勇者召喚の余り物ですが、メイド型アンドロイド軍団で冒険者始めます
水江タカシ
ファンタジー
28歳独身、一般事務の会社員である俺は、勇者召喚に巻き込まれて異世界へと転移した。
勇者、聖女、剣聖――
華やかな肩書きを持つ者たちがもてはやされる中、俺に与えられたのは聞いたこともないスキルだった。
【戦術構築サポートAI】
【アンドロイド工廠】
【兵器保管庫】
【兵站生成モジュール】
【拠点構築システム】
【個体強化カスタマイズ】
王は落胆し、貴族は嘲笑い、俺は“役立たず”として王都から追放される。
だが――
この世界には存在しないはずの“機械兵器”を、俺は召喚できた。
最初に召喚したのは、クールな軍人タイプのメイド型戦闘アンドロイド。
識別番号で呼ばれる彼女に、俺は名前を与えた。
「今日からお前はレイナだ」
これは、勇者ではない男が、
メイド型アンドロイド軍団と共に冒険者として成り上がっていく物語。
屋敷を手に入れ、土地を拠点化し、戦力を増強しながら、
趣味全開で異世界を生きていく。
魔王とはいずれ戦うことになるだろう。
だが今は――
まずは冒険者登録からだ。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜
みおな
ファンタジー
私の名前は、瀬尾あかり。
37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。
そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。
今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。
それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。
そして、目覚めた時ー
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
器用貧乏な赤魔道士は、パーティーでの役割を果たしてないと言って追い出されるが…彼の真価を見誤ったメンバーは後にお約束の展開を迎える事になる。
アノマロカリス
ファンタジー
【赤魔道士】
それは…なりたい者が限られる不人気No. 1ジョブである。
剣を持って戦えるが、勇者に比べれば役に立たず…
盾を持ってタンクの役割も出来るが、騎士には敵わず…
攻撃魔法を使えるが、黒魔道士には敵わず…
回復魔法を使えるが、白魔道士には敵わず…
弱体魔法や強化魔法に特化していて、魔法発動が他の魔道士に比べて速いが認知されず…
そして何より、他のジョブに比べて成長が遅いという…
これは一般的な【赤魔道士】の特徴だが、冒険者テクトにはそれが当て嵌まらなかった。
剣で攻撃をすれば勇者より強く…
盾を持てばタンクより役に立ち…
攻撃魔法や回復魔法は確かに本職の者に比べれば若干威力は落ちるが…
それを補えるだけの強化魔法や弱体魔法の効果は絶大で、テクトには無詠唱が使用出来ていた。
Aランクパーティーの勇者達は、テクトの恩恵を受けていた筈なのに…
魔物を楽に倒せるのは、自分達の実力だと勘違いをし…
補助魔法を使われて強化されているのにもかかわらず、無詠唱で発動されている為に…
怪我が少ないのも自分達が強いからと勘違いをしていた。
そしてそんな自信過剰な勇者達は、テクトを役立たずと言って追い出すのだが…
テクトは他のパーティーでも、同じ様に追い出された経験があるので…
追放に対しては食い下がる様な真似はしなかった。
そしてテクトが抜けた勇者パーティーは、敗走を余儀無くされて落ち目を見る事になるのだが…
果たして、勇者パーティーはテクトが大きな存在だったという事に気付くのはいつなのだろうか?
9月21日 HOTランキング2位になりました。
皆様、応援有り難う御座います!
同日、夜21時49分…
HOTランキングで1位になりました!
感無量です、皆様有り難う御座います♪
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる