頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのある王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話

東導 号

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第47話「敵中突破!②」

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 とうとうシモンから、クラウディアとの経緯いきさつが聞ける。
 昨日どうなったのか、エステルは『顛末てんまつ』も聞きたいとせがんだ。

 ここで、シモンは鎮静の魔法を発動した。
 自分とエステルに対して。

「エステル、少し落ち着こうか。良かったらもう1杯、ハーブティーを飲まないか?」

「は、はい! 喜んでっ! ぜ、ぜひご一緒に飲みましょう! 局長!」

 エステルがクールダウンした。
 破局?の危機は去った……
 
 何とか、紙一重で『人生のターニングポイント』を上手くクリアする事が出来た。
 とも知らずに、シモンは今度こそ安堵し、大きなため息を吐いた。

 そしてシモンはクラウディアの侍女リゼットが行ったように、簡潔かつ分かりやすく、エステルに経緯を話したのである。

 ………15分後。
 エステル・ソワイエは怒りも収まり完全に落着きを取り戻していた。
 既にいつもの彼女であり、逆に嬉しそうである。
 シモンがクラウディア様主従を救った上、名乗らずに去ったという行為が、エステルの心に響いたらしいのだ。

「そ、そうだったんですか。け、結局はクラウディア様との間に何もなかったのですね?」

「ああ、全く何もない。ナッシングだ!」

「ええっと、念の為、再確認致しますが……局長が初出勤前の休暇中に、たまたまクラウディア様主従を悪漢どもから助けたと」

「ああ」

「それで局長は、名乗らずにその場を去ってしまったと」

「おお」

「悪党に当て身を喰らったクラウディア様は、気を失われた為に、局長を認識されておらず、昨日王宮にお父上を迎えに来た際、御付きの侍女が局長に気付き、言われて、追いかけたと」

「うん」

「侍女から指摘されても、控えめにおとぼけになった局長に対し、クラウディア様が激高され、そこへ長官が仲裁にいらしたと」

「だな!」

「結果、経緯いきさつを長官もご存じの事となり、いろいろお話しされたと」

「合ってるよ」

「お話し後に、長官のご指示で、局長が庁舎の1階へクラウディア様主従をお送りされ、護衛の騎士に引き渡された。……その後、クラウディア様達は当初の目的、お父上ラクルテル公爵閣下のもとへお迎えにいかれたと……そういう顛末てんまつ、なのですね」

「ああ、全てエステルが言った通りだ。俺がクラウディア様主従と一緒だったのは庁舎1階のロビーまで。そこで警護の女子騎士ヘ引き渡した。長官の許可も出て居たから、そのままひとりで帰宅した。という次第なんだ」

 シモンの『説明』が終わると、エステルの表情が一気に明るくなった。
 
「うわぁ! 良かったぁ!! 局長がクラウディア様と何もなくて嬉しいっ!!」

「良かった? クラウディア様と何もなくて嬉しい? どういう事?」

「い、いえ。何でもありませ~ん。局長、素晴らしい行いをしたのに、誰にも言わないなんて、奥ゆかしくて素敵です」

「あ、ありがとう。だからさ、夕方、公爵閣下がいらっしゃるのも、俺に対し、単にお礼を言いたいだけだろ」

「はいっ! 確かにそうですね! 私は納得致しました!」

 こうして、エステルの機嫌は完全に直り……
 シモンは人生の大敵『不運』の囲みを無事突破する事が出来たのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 シモンとエステルは、争いを収束させ……
 無事国交を回復した。

 単なる誤解だと判明……してから、エステルの機嫌はぐ~~んっと! 良くなった。

 いつものように冷静で聡明となったエステルから、あくまでも『秘書』として、
『本日の予定』及び『今後の予定』が告げられた。

 おおまかに言えば本日は午後5時まで通常業務。
 5時30分にアンドリュー・ラクルテル公爵の来訪。
 長官アレクサンドラ・ブランジェ伯爵同席。
 多分、クラウディアも同席するに違いない。

 ここでエステルが宣言する。

「局長秘書として、私エステル・ソワイエも同席させて頂きます」

「え? エステルが同席? 単に助けたお礼を、公爵閣下から言われるだけの事だぞ。残業代も出ないかもしれないぞ」

「はい、構いません。そのように理解しております」

「ふうん……俺は別に良いけど……アレクサンドラ長官がOKするかなぁ」

「大丈夫! ノープロブレムです。既に長官には私の同席OKを頂いておりますから」

「えええっ!? も、もう許可貰ってるの?」

「はい」

「そ、そりゃ用意周到だな」

「はい、当然です。このような展開も私の想定範囲内です。どのような席にも同席するのは秘書として当然の対応です」

「私の想定範囲内とか、当然の対応って……まあ、良いか」

 女ごころに超が付くくらい「うとい!」シモンではある。
 だが、先ほどの「シモンとクラウディアが無関係で嬉しい!」発言も含め……
 さすがにここまで来ると、エステルの『好意』以上を感じざるを得ない。

 しかしシモンは、女子慣れしているモテ男子とは経験値が全く違う。
 はっきり言って情けない。

「ねぇ、エステル、君は俺シモン・アーシュの事がそこまで気になるくらい、好きなんだろう? じゃあ付き合わないか?」

 などと、ざっくばらんに聞き、しれっと交際を申し込むなど、出来るはずもないのだ。

 そして、エステルからは『今後の予定』として、1か月以内のスケジュールも告げられる。

「局長、エレン・デュノア次官補より、彼女の秘書経由でご伝言を預かっております。……本日からちょうど1か月後に冒険者ギルドのグラン・シャリオ支部マスターを訪問予定。シモン局長に同行の指示が出ております」

「成る程」

「先方とは、昨日アポイントが取れたとの事です」

「そ、そうか。冒険者ギルドのマスターに会見か」

「はい。例の件をいろいろと検討の上、シモン局長も目的完遂の為の実施策を必ず立案の事と仰っているそうです。近々、次官補がその件で事前打合せをしようとも仰っております……以上を、局長はご理解されておりますか?」

「ああ、重々理解している」

「分かりました。私にも、今の件に関して、ご説明をお願い出来ますか?」

「勿論! 一緒に冒険者ギルドへ行ってくれるか?」

「はい! 勿論です!」

 ふたりの恋はどうなるのか、全く分からない。
 だがシモンとエステルは良き、上司と部下にはなりそうだ。
 
 その後、ふたりは息がぴったり。
 またもランチを共に摂り、夕方まで業務に邁進したのは言うまでもなかった。
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