頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのある王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話

東導 号

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第48話「視線、交差!」

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 午後4時少し前となった。
 局長室の秘書席に備えられた魔導通話機がなった。
 エステルが受話器のボタンを押し、何か話している。

 相手としばらく話したエステルは、シモンに呼びかける。
 通話は、「シモンに関係があった」何かの事案のらしい。

「局長」

「な、何だい?」

「もう間もなく、アンドリュー・ラクルテル公爵閣下が、ウチへいらっしゃるそうです」

「え? もう? まだ午後4時前じゃないか? 約束より2時間も早いぞ」

「はい、こちらの時間は変更ありません。今の通話は長官の秘書からです。6時前にはこちらへ呼び出しがあるから今から心構えをしておくようにとの長官から、局長への伝言です」

「心構えをしろとの伝言かあ……多分、公爵閣下が2時間も早くいらしたのは、俺についての情報収集だろうなあ」

「はい、ご推測通りだと思います。公爵閣下は、家族づきあいをしている親しい長官から、局長の事を詳しく聞き出す腹づもりでしょう」

「だな! 場所が俺の職場ホームグラウンドで、その上、礼を言われるだけなのに、アウェー感が半端ない。娘が可愛い怖いオヤジ殿が、一体何を言って来るのか、心配だ」

「娘が可愛い怖いオヤジ殿って……まあ、確かにそうですね。局長、私からひとつ、アドバイスがありますが、お聞きになりますか?」

「ああ、エステルのアドバイスならば、ぜひお願いしたい」

「ありがとうございます。了解です。公爵は剛毅果断ごうきかだん、そしてとんでもなく強気な方です。多分、局長へガンガン一方的に話して来ると思います」

「成る程」

「そして、局長に確たるロジックやエビデンスがないと、反論される事を嫌います。だから基本は閣下がする話の内容を聞きながら、相槌をうち、ノーとはっきり告げるべき内容にはノーと仰ってください」

「では、俺が反論した場合、何故だ?とガンガン攻めて来るのだな?」

「その通りです。だから話を聞きながら、ノーと感じた時は、適切なロジックやエビデンスと閣下へ伝える言葉を考え、出来うる限り、時間を置かずにお戻しください」

「りょ、了解」

「幸い、会見にはあと1時間以上あります。本日の業務はほぼ終了していますから、リミットまで私と質疑応答のシミュレーションを致しましょう」

「おお、それは助かる」

「でも所詮は模擬のシミュレーション。やらないよりはマシというくらいのレベルだとご了承ください」

「分かった! ありがとう! 助かるよ!」

「いえ、お安い御用です」

 やはり、エステルは有能な秘書……否、同士であり、相棒だ。
 相変わらず「花が咲く」ように素敵な微笑みを見せるエステルに対し、シモンも心の底から嬉しそうに笑ったのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 1時間半以上、たっぷりと質疑応答のシミュレーションを行ったシモンとエステル。
 スタンバイをしていた午後5時45分過ぎ……

 アレクサンドラの秘書から連絡があった。
 いよいよ、本番。
 アンドリュー・ラクルテル公爵とのごたいめ~んである。
 秘書曰はく、クラウディアとリゼットふたりの女子も同席するという。

 シモンは今ほど、エステルのありがたみを感じた事はない。
 散々修羅場もくぐったシモンだが、サポート役が居ると居ないでは大違いだからだ。

 それに質疑応答のシミュレーション実施も、シモンに勇気を与えていた。

「よし! 行こうか!」

「ええ、局長、出陣と参りましょう」

 シモンとエステルは局長室を出た。
 階段で5階へ向かう。
 先日、クラウディア主従と会った長官アレクサンドラ専用の応接室に相手が居るのだ。

 5階への道すがら、シモンは言う。

「なあ、エステル」

「はい!」

「これからも、いろいろこのように同行をお願い出来るのかな?」

「はい、全然OKです。というか、局長がお嫌でも、私は無理やりくっついて行きますよ」
 
「あはは、嫌なわけない!」

「嬉しい! 了解です! では今後、そういう事で!」

 そんなこんなで……
 遂にふたりは長官エリアへ到着した。

 受付を経て、応接室へ入る。
 応接室の扉の前へ来た。

 エステルが一歩前に出た。
 シモンを「先導する」つもりらしい。

「ここは、私が」

 そう言いながら、エステルはリズミカルに応接室の扉をノックした。

「秘書のエステル・ソワイエです。シモン・アーシュ局長をお連れ致しました」

 対して、応接室の中からは、アレクサンドラの声で返事があった。

「待っていたわ、ふたりとも、入ってちょうだい」

 入室OKが出ましたと、アイコンタクトを送るエステル。
 頷いたシモン。

 エステルは扉をゆっくりと開け、室内へ入った。
 当然、シモンも続く。

 室内から一斉に注がれる視線。
 アレクサンドラ、クラウディア、リゼット。
 クラウディアは今日、制服姿ではなかった。
 帰宅して、着替えて来たらしい。
 
 そして、居た。
 アンドリュー・ラクルテル公爵はクラシックな顔立ち。
 たくましい腕をむきだしにした金髪碧眼のイケメンで40代半ばだ。
 「ふ~ん」という視線を投げかけていた。
 シモンを値踏みするような雰囲気だ。

 そして、敵意むき出しの眼差しを送って来たのは、何と!
 クラウディアである。
 だが、その視線はシモンに向けられたものではない。
 エステルに向けられていたのである。

 しかし!
 エステルも臆さない。

 同じく鋭い視線を、クラウディアへ投げ返した。

 まるで、ばちばちばちっ!!
 という擬音が聞こえて来るような……
 ふたりの麗しき女子の鋭い視線は空中でぶつかり合い、派手に火花を散らしたのである。
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