アヤメの花が咲く頃に

ずんだもち

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プロローグ

人は自由の刑に処されている

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 この世界は基本どこも治安が良くない。殺人、誘拐、性犯罪。原因は至って明白で、「自分達こそ進化した人類である」と信じてやまない輩がいるから。
 今や世界人口の4割近い人間が人知を超えた力──異能力と呼ぶのが一般的──を持っていると言う。むかしむかしの各国の政府は兵器利用を恐れてそれらを公然の秘密とすることにした…らしい。

◆◆◆

「保護ぉ?なんでぼくに?氷花がやってよ面倒くさいなぁ」
「はっ倒すぞ」
「やだ氷花さん怖ーい」

 今日もいつも通り「依頼」が来ていた。
 「依頼」と言えば体良く聞こえる。実際は「殺人代行」だ。まあ仕事なのでターゲットに対して興味は全くない。死に様が面白そうなら自分が行くし、そうじゃないなら氷花に押し付ける。仕事の頻度も多くないし自由な時間が多い。

 ただ、この依頼は違った。
 違うと言うと少し語弊があるかもしれない。
 殺しに加えてある人物の「保護」も依頼された。少なくともぼくは忘れているから滅多にない事案なはずだ。

「しかし珍しいねぇ、お国の人はその子がよほど気に入ったのかな?」
「違ぇよバカ、そいつターゲットが人殺してんの知らないんだよ。それに.....」
「それに?」
「......虐待だ。教育虐待。」

 氷花が苦い顔をしている。まだ分かる。ぼくが親から虐待を受けていたからだろう。別にそんな気にしなくていいんだけど。

「ふーん。それで?ターゲットと保護対象の情報は?」
「ほらよ」

 氷花がスマホを投げて寄越す。危ないな。



─── 


「なるほどねぇ。これなら行っていいかなぁ。氷花、決行はいつになるの?」
「1週間後。お前ならすぐに終わるだろ」

 氷花が片手で首を掻き切るジェスチャーをする。まったく、思考回路が物騒な女の子だ。子煩悩の親父さんが知ったら泣いちゃうね。ああ、国家機密だから喋ったらぼくが首ちょんぱされちゃうね。









「保護した後が長いかもだけどな」
「何か言った?」
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