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第2話 ここから始まるアイドル人生!

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そして2023年8月のよく晴れた暑い日。
アイドルオーディションプロジェクトのファイナルステージ進出者114名のお披露目が東京品川で行われた。
夢のようではあるが私もその1人だ。


私は会場に着いて早々自分の名前の書かれたネームプレートを渡され軽くメイクさんにお化粧や髪の毛を整えてもらったあとすぐにステージの袖に114名が並ばされ、関係者の皆さんや一般応募で来場に当選したファンの方々の前で自己紹介をするステージへと向かう。今までにないほど私の足はガタガタ震えていた。

『本日はアイドルオーディションプロジェクト、ファイナルステージ進出者お披露目イベントにお越しいただき誠にありがとうございます』
司会の方の声が会場に響く。
「うわぁこんなに大勢の人の前で歩いて止まって挨拶!?もう緊張でわけがわからないよぉ💦意識飛びそう😵‍💫」
でもできるだけ堂々と印象づけられるように挨拶しなくっちゃ!

「それではファイナルステージ進出者の候補者の皆さんの登壇となります。」
そして軽快な音楽が流れ始め司会の方の読み上げる候補者の名前とともに1人づつレッドカーペットの上をランウェイし自己PRを述べる。
今はみんなまだ普通の女の子だ。
コメントが初々しい。
私も頭が真っ白になりながらもなんとかランウェイを歩ききった。
やがて114名全員の自己PR付きランウェイが終わり、お披露目イベントは終了したんだけど、
私たちはお披露目のあと、直ちに合宿形式の審査。ファイナルステージファーストへと向かうことになる。

お披露目が終わるとすぐに大型バスに乗り、ファイナルステージファーストに挑むアイドル候補生達は合宿所に向かった。
合宿先は熱海。かなり大きな施設だ。
ここで全員が寝食を共にして合格を目指す。

『うわぁさっきは緊張でよく見てなかったけど可愛い子ばっかりだ💦』
元々私はアイドル大好き少女なため可愛い子には目がないのである。
『あの人すっごい可愛い!♡大人っぽいし私よりも年上かなぁ︎‪💓‪』
もうすでにアイドルなのではないかと思うような候補生達に見とれていると、
「みんな集まったかな?皆さんにはこれから5日間合宿を行ってもらいます。」
と、プロデューサーの人が挨拶をした。
「ではまずは1人づつ自己紹介からお願いします!」
「はい!千葉県から来た佐藤花です!よろしくお願いします!」
私は元気よく挨拶をしたが、他の子はみんな可愛いし大人っぽくて緊張するなぁ。
挨拶が終わると
その後すぐスタッフの方が施設内の説明をしてくれた。
『こんなにポンポン進まれても覚えきれないし頭追いつかないよぉ😵‍💫』
アイドルとはこんなに目まぐるしいものなのか。
同じチームのメンバーの顔や名前も覚える間もなくすぐに施設内を把握するためレッスン会場や食堂など施設内の地図とてらし合わせながらスタッフの方が案内してくれている。
1日目は合宿会場に着いたのが夜ということもあり施設内の案内と説明で夕食になった。ここで今日初めて同じグループの女の子と年齢の話や出身地の話で少しだけゆっくりできた気がした。
食堂の大きな窓からは静岡県内のどこかで上がる花火大会のきらびやかな光が見えた。まるでファイナリスト達のファイナル審査進出のお祝いと合宿審査への歓迎をしているように。そしてその花火は彼女達の張り詰めた気持ちを少しだけ和らげていた。
夕食が終わると。私は名前を呼ばれるままにキャプテンらしき女の子からDチームのゼッケンを渡された。
『花さーん!花さんいる~?』
『はーい!私です!』
『これゼッケンね💡あと私このグループDのキャプテンになった真希!これからよろしくね😊』

あ~🤩さっき合宿所に到着した時『あの人すっごい可愛い♡』って思った人だ!
やった~!この人と同じチームなんだ!しかもチームのキャプテン😆
私はこんな綺麗な人とだったら練習がどんなにキツくても頑張れるぜぃ!💪と俄然やる気がみなぎっていた!
候補生はA~Hまでのチームに振り分けられ各チームにキャプテン、副キャプテンが指名されている。

今後の話に重要なので振り分けを書いておくと
ミナミをキャプテンとするグループA
マリーをキャプテンとするグループB
ロニーをキャプテンとするグループC
真希をキャプテンとするグループD
アヤをキャプテンとするグループE
ぴぴをキャプテンとするグループF
ネエをキャプテンとするグループG
マリナをキャプテンとするグループH
1グループ14名程のチームだ。
この合宿審査ではダンスとボーカルのレッスンがグループ単位で行われる
最終日にはグループごとの審査発表会が開催され1位のグループが決まる流れだ。ここで1位になったグループは全員セカンドステージへの進出がその時点で決まる。
セカンドステージへの進出者はファン投票で114名から40名にまで絞られる。
この最終日の発表会で1グループ14名が1位になることは他の候補者へのかなりのアドバンテージになると思う。
逆を言えば1位を穫れなければ、114名から14名を引いた100名で26名の中に残らなければいけなくなるということなのだ。
私としてもこれはなんとしてもグループ全員で力を合わせ最終発表会で1位を獲らなければという強い思いを抱いた。
こうしてこの日の夜はみんな疲れからかすぐに寝てしまったようだ。
しかし次の日からはダンスの振り付けを練習したり、歌の練習も始まる。

2日目の朝、全てのファイナリスト候補者が大きなホールに集められボーカル指導の先生、ダンス指導の先生を紹介された。
「え~今日から各レッスン始まりますので精一杯頑張っていただけたらと思います。」
候補者たちへ先生方から応援のメッセージが述べられ、私たち候補者はレッスン会場へ向かった。
レッスンが始まると
『こんなのダンス初心者の私には難しすぎるよ~😫』
私は今までダンスは少しかじった程度であまり得意ではなかった
するとダンス経験者のネモちゃんが
『このダンスは経験者の私でもすごく難しくてダンスの基本的なこと全部飛ばして1番上のレベルをやっちゃってる感じだから大変だと思う💦でも私教えるし一緒に頑張ろ😊』
と言ってくれた。
「ネモちゃんありがとう🥲」
私はこのチームの結束力は他のグループには負けないと強く感じ、より一層レッスンに身が入った。
しだいにダンスが得意な候補者がダンスが苦手なグループメンバーに自主的にダンスを教え始める。

そう。これはあくまでもグループでの審査なのだ。ひとりができていてもほかのメンバーができていなくては1位通過は難しい。
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