最弱の俺が神の血を継いで世界を救う旅に出る(仮)

RYOアズ

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第3話:炎の女

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荒野を抜け、ガルドと共にトライザ村へ戻る道すがら、ゼイク・ヴァルディスの胸は重かった。母とミナを近くの街に預け、ガルドに「村に残した荷物を取りに行きたい」と頼んだのだ。焼け落ちた故郷に何が残っているかわからないが、父の形見である傷だらけの剣だけでも持ち出したい――その思いがゼイクを突き動かしていた。ガルドは『ガハッ!』と笑い、「お前、執念深いな。いいぜ、付き合ってやるよ」と快諾してくれた。

三日ぶりに見るトライザ村は、変わり果てた姿を晒していた。朝陽が半壊した家々を照らし、焼け焦げた麦畑が風に揺れる。屋根は崩れ、壁は黒く焦げ、かつての穏やかな風景は跡形もなかった。ゼイクは立ち尽くし、「こんな…ひどいことに…」と呟く。ガルドが肩を叩き、「嘆いてても始まらねえ。さっさと荷物探そうぜ」と促す。二人は村の中心へ向かい、ゼイクの家だった場所にたどり着いた。家の骨組みは残るが、屋内は焼け落ち、灰と焦げた木材が散乱している。

ゼイクは膝をつき、灰をかき分けた。父レオンの剣は、かつて居間に置かれていた。「どこだ…?」指先が灰に埋もれ、熱い感触が残る。ガルドが「見つけたか?」と声をかけながら、周囲を警戒する。その時、低い唸り声が聞こえた。『グルゥ…』ゼイクが顔を上げると、焼けた家の影から角狼が姿を現す。一頭、二頭…計五頭の群れだ。「まだいたのか…!」ゼイクは立ち上がり、鍬を手に持つが、手が震える。ガルドが盾を構え、『ゴンッ!』と地面を叩き、「こいつら、根性あるな!」と笑った。

角狼が一斉に飛びかかる。ガルドは盾で一頭を『ガキン!』と弾き、ハンマーを振り下ろして『ドガッ!』と頭を砕く。だが、数が多い。ゼイクは鍬を振り上げるが、『シュッ!』と空を切り、一頭に肩を押さえ込まれた。「うっ!」地面に倒れ、角狼の赤い目が迫る。ガルドが「ゼイク!」と叫び、ハンマーを投げて救おうとするが、別の角狼が横から襲いかかり、『ゴンッ!』と盾に激突。二人ともピンチに陥った瞬間、『ゴオオォ!』と轟音が響いた。

炎の渦が荒野を切り裂き、角狼を飲み込んだ。『ギャウウ!』断末魔が響き、五頭全てが一瞬で黒焦げに。ゼイクは呆然と見上げ、ガルドが「何!?」と目を丸くする。そこに現れたのは、赤い長髪をポニーテールにした女だった。リノア・フェルミス、22歳。鋭い目をした彼女は、赤い軽鎧に火の紋様が刻まれ、杖と短剣を手に持つ。炎が彼女の手から消え、静かに呟いた。「遅かったか…」

ゼイクは息を呑み、リノアを見つめた。彼女は焼けた村を見回し、「角狼の群れがこんな辺境まで…やっぱり異常だな」と独り言を言う。ガルドが盾を下ろし、「お前、すげえな! 一人で一掃かよ!」と感嘆する。リノアはガルドを一瞥し、「傭兵か。まぁまぁの腕だな」と返す。ゼイクは立ち上がり、「あ…ありがとう…」と震える声で礼を言った。リノアの視線がゼイクに移り、「お前、この村の生き残りか?」と問う。ゼイクは頷き、「はい…トライザ村の…ゼイクです」と答えた。

リノア・フェルミスは杖を手に持ったまま、焼け跡を歩いた。彼女の足音が『カツ…カツ…』と響き、灰が舞う。ゼイクはガルドに支えられながら立ち上がり、「あなたは…誰なんですか?」と尋ねた。リノアは振り返り、「私? リノア・フェルミス。魔物を追う旅の魔法使いだよ」と答える。彼女の声には熱がこもり、瞳には決意が宿っていた。「この角狼ども、最近やたら増えてる。背後に何かある気がしてな、調べてる途中だった」

ガルドが『ガハッ!』と笑い、「魔法使いか! 炎が派手でいいねえ。お前みたいなのがいりゃ、仕事が楽になるぜ!」と冗談めかす。リノアは「ふん、傭兵の腕も悪くないよ。盾使いなら尚更ね」と軽く返し、ゼイクを見た。「で、お前は何だ? この村に戻ってきて何がしたかった?」ゼイクは目を伏せ、「父の…形見を取りに…」と呟く。灰の中から見つけた剣を手に持つと、傷だらけの刃が朝陽に光った。「でも…もう何も守れなかった…」

リノアは剣を見て、少し黙った。「その剣、大事なもんだったんだな。わかるよ、私も故郷を失ったことがある」彼女の声に僅かな柔らかさが混じる。ゼイクは驚き、「え…?」と顔を上げる。リノアは杖を地面に突き、『トン!』と音を立て、「だから魔物を追ってる。同じ悲劇を繰り返させないためだ」と続ける。ガルドが「へえ、いい理由だな。お前、気に入ったぜ」と笑う。

ゼイクは剣を握り締め、「俺…村を救いたいんです。もう誰も死なせたくない…!」と力を込めて言った。声は震えていたが、その瞳に宿る決意は本物だった。リノアはゼイクをじっと見つめ、『フッ』と小さく笑う。「いい目だね、お前。無力そうに見えて、燃えるもん持ってるじゃないか」彼女は杖を肩に担ぎ、「なら私も手伝うよ。一人より三人だろ?」と提案した。

ガルドが『ガハハ!』と大笑いし、「おお、仲間増えた! 炎の女と弱虫ゼイク、俺の旅も賑やかになるぜ!」と喜ぶ。ゼイクは目を丸くし、「え…本当ですか?」と確認する。リノアは頷き、「本当だよ。ただし、私の旅に付き合うなら覚悟しな。魔物は角狼どころじゃないのが出てくるからな」その言葉に、ゼイクの胸が熱くなった。「ありがとう…俺、頑張ります!」と頭を下げる。

三人は焼け跡に立ち、荷物をまとめた。ゼイクは父の剣を腰に差すと、ガルドが「よし、街に戻って作戦立てようぜ。お前ら、腹減ってるだろ?」と笑う。リノアが「私は焼いた角狼でも食うよ」と冗談めかし、ゼイクも小さく笑った。初めての仲間が二人になり、心に灯りがともる。『ザザッ!』と風が灰を巻き上げ、三人はトライザ村を後にした。朝陽が背中を照らし、新たな旅路が始まった。

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