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縁の決戦編
返る波、リュシアの成長
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リュシアは気を取り直し、再び声を張り上げていた。
「いらっしゃいませー! 珍しい果実とお酒、ありますよー!」
その明るい声に引かれたのか、水路の向こうから、ゆっくりと歩いてきた老夫婦が足を止める。
「あら……元気なお嬢さんねぇ」
優しそうな声に、リュシアはぱっと顔を輝かせた。
「あ、いらっしゃい! 自慢の商品ばかりだから、ぜひ見ていってちょうだい!」
張り切った声でそう言い、屋台の前へと招く。
「どれどれ……何があるのかしら?」
老夫婦は並べられた品々を興味深そうに見渡す。
「これは魔紅果のお酒で、こっちはザキュロの実。それで、こっちはルガンディアのお米よ!」
ひとつひとつ指差しながら、リュシアは熱心に説明する。
だが――老夫婦は顔を見合わせ、少し困ったように笑った。
「うーん……私たち、まだ街に来たばかりなのよ」
「これから色々回ってみたいから、荷物になるものはちょっとねぇ……」
「あ……そっか……」
リュシアの声が、少しだけしぼむ。
一瞬、気まずい沈黙が流れたが――老夫婦の奥さんが、ふと思い出したように尋ねた。
「ねえ、何かオススメのお店とか、あるかしら?」
「オススメ……?」
リュシアは一瞬考え込み、すぐにぱっと顔を上げた。
「それなら、あっちにあるお饅頭屋がオススメよ!」
水路の先を指差しながら続ける。
「水みたいにぷるぷるしてて、甘くて美味しいの!」
「あら、それは良さそうねぇ」
「ありがとう。じゃあ、そっちを先に回ってみるよ」
老夫婦はにっこりと微笑み、去り際に振り返る。
「また、帰りにでも寄らせてもらうわ」
「頑張ってね」
「……はい! ありがとうございます!」
リュシアは深く頭を下げ、老夫婦の背中を見送った。
売り上げにはならなかった。
だが、不思議と胸の奥は少し温かい。
それを見たポンは、静かに微笑んでいた。
「……良い対応でしたよ、リュシアさん」
「え? 売れなかったのに?」
リュシアが首を傾げる。
ポンは、穏やかな声で言った。
「ええ、だからこそ、です」
その言葉の意味を、リュシアは理解できず首を傾げる。
それからも、屋台にはぽつりぽつりと人が訪れた。
通りすがりに足を止める者。
珍しそうに商品を覗き込むだけの者。
中には、まだ買う気はないのか、ただ雰囲気を味わいに来ただけの客もいる。
「これ、何のお酒なの?」
「この実、どうやって食べるの?」
そんな素朴な質問が飛び交う中、時折、別の露店について尋ねられることもあった。
「ねえ、その髪飾り綺麗ね。どこで売ってるのかしら?」
「水路の奥にある串焼きの店、場所を聞きたいんですけども」
バニッシュもリュシアも、迷うことなく答えていた。
「ああ、それならこの先の水路を左に曲がって、
二つ目の突き出しを越えたところよ」
「串焼きなら、青い布を出してる店が目印だ。
昼過ぎには行列ができる」
それは、昨日一日かけて露店を回り、実際に見て、歩いて、空気を感じてきたからこそ出てくる言葉だった。
地図ではなく、記憶でもなく、体感として街を知っている――それは、自然と声や表情に表れている。
「ありがとう、助かったわ」
「へえ、そんな店があるんだ。行ってみるよ」
その様子を、屋台の少し後ろからポンは静かに眺めていた。
穏やかに細められた目には、確かな満足の色が宿っている。
(ええ、その調子です)
声に出さず、心の中でそう呟く。
昼を過ぎると、再び屋台の前が賑わい始めた。
朝は来られなかった露店の店主たちが、自分の店が一段落したのを見計らって、ふらりと立ち寄ってくれる。
「お、ここであの酒を売ってるのか。1本買っていくよ」
「ザキュロの実を二つちょうだい」
列ができるほどではないが、確実に、着実に――商品は減っていった。
売り子として声を張るリュシア。
袋詰めを手際よく進めるバニッシュ。
ザイロは黙々と品を補充し、ポンとゴンタは客との軽妙なやり取りで場を和ませる。
ひと通りの客が引いたところで、ポンが静かに口を開く。
「……それでは、今日はこの辺にしましょうか」
まだ夕暮れには早い時間だったが、無理に引き延ばす必要はないと思い。
バニッシュたちも頷き、ゆっくりと片づけを始める。
「あら……もう終わりなのかしら?」
その時、聞き覚えのある、柔らかな声に顔を上げると、朝に立ち寄ってくれた老夫婦が、屋台の前に立っていた。
「あ、さっきの……」
リュシアは思わず声を漏らし、片づけ途中の手を止めて、ちらりとポンを見る。
ポンは、ほんの一瞬だけ目を細め、にこりと微笑んで小さく頷いた。
その合図に、リュシアの表情がぱっと明るくなる。
「いらっしゃい! 何か買っていく?」
老夫婦は顔を見合わせ、微笑み合う。
「そうねぇ……じゃあ、このお米とザキュロの実を貰おうかしら」
「ええ、家で食べるのが楽しみだ」
「ありがとうございます!」
リュシアは弾む声で応え、丁寧に商品を包んで手渡す。
代金を受け取り、老夫婦が立ち去ろうとした、その背にポンが一歩前に出た。
「少々、お待ちください」
そして、袋の中からそっと取り出したザキュロの実を二つ、老夫婦の手に添える。
「こちらは、おまけです」
「ええ……? いいんですか?」
「はい。また、よろしくお願いいたします」
老夫婦は驚き、そして嬉しそうに微笑む。
「ありがとう。また、必ず来るわね」
「ええ、次は知り合いも連れてこよう」
深く頭を下げ、ゆっくりと人波の中へ消えていく二人。
その背中を見送りながら、リュシアはぽつりと呟いた。
「……なんだか、嬉しいわね」
「ええ」
ポンは穏やかに答える。
「今日売れたのは商品ですが、本当に得られたのは――信頼です」
商品を売る前に、街を知り、人を知り、流れを知る。
それができていなければ、どれほど良い品を並べても、商いは根付かない。
今、目の前にあるのは、まだ大きな利益ではない。
だが――確実に芽吹き始めた、信用と流れをポンは、すでに静かに見据えていた。
宿に戻り、食堂で簡素ながら温かい食事を終えたあと――ポンは湯気の立つ茶を一口含み、穏やかな声で言った。
「それでは皆さん。明日が本番です。……覚悟しておいてくださいね」
そう言って、バニッシュとリュシアを交互に見つめる。
「は、本番?」
「覚悟って、何の?」
意味が分からず顔を見合わせる二人に、ポンはそれ以上何も言わず、ただ微笑むだけだった。
結局、その真意を問いただすこともできないまま、それぞれ部屋に戻り、床に就く。
――だが、ポンの言葉の意味は、 翌朝、嫌というほど思い知らされることになる。
翌日も、昨日と同じく夜明け前に起き、出店の準備を始める。
まだ眠気の抜けきらない頭で、バニッシュは米袋を運び、リュシアは欠伸を噛み殺しながらザキュロの実を並べていた。
「ふぁ……昨日よりちょっと寒いわね……」
「冬が近いからな……」
そんな他愛ない会話を交わしているうちに、東の空が白み始める。
――そして、日が昇り、人通りが増え始めた、その瞬間。
「……え?」
リュシアが、思わず声を漏らした。
視界の先――昨日とは比べものにならない数の人影が、こちらの屋台へ流れ込んでくる。
「ここだ! 昨日の酒の店!」
「ザキュロの実、まだあるか!?」
「ルガンディアの米って、ここだよな?」
「な、なんだこれは……!?」
バニッシュも思わず目を見開く。
昨日は露店人たち程度だったはずの店に、今や列ができ始めていた。
「いらっしゃいませ! こちら魔紅果の酒です!」
「ザキュロの実はこちら! 一袋三つ入りですよ!」
ポンとゴンタが即座に声を張り、流れるように客を捌き始める。
バニッシュは袋詰めと会計を同時にこなし、リュシアは笑顔を作る余裕もなく商品を手渡す。
その背後では、ザイロが一言も発さず、ただ黙々と商品を補充し続けていた。
次々と空になる棚。
補充しても、補充しても、追いつかない。
息つく暇すらない忙しさの中で、バニッシュはふと、昨日の夜のポンの言葉を思い出す。
「……こういうことか」
ようやく理解した瞬間、彼の口元に、思わず苦笑が浮かんだ。
怒涛――まさにその言葉がふさわしい大盛況だった。
休む間もなく客を捌き続け、バニッシュの額からは汗が滴り落ち、リュシアも息を切らしながら手を動かし続ける。
「次のお客さんこちらでーす!」
「酒は一人二本まででお願いしまーす!」
声を張り上げ、手を止める暇もない。
そして、昼過ぎ――最後の米袋が消え、魔紅果の酒も、ザキュロの実も、すべて売り切れた。
「あ……」
並んでいた客に向かい、バニッシュは深く頭を下げる。
「申し訳ありません……本日の商品は、すべて完売です」
「ええー! もうないのか!」
「また来るから、次は多めに持ってきてくれよ!」
惜しむ声を背に受けながら、何度も頭を下げ、礼を述べる。
やがて人波が完全に途絶える。
「……はぁぁ……」
バニッシュはその場で力が抜け、椅子にへたり込む。
リュシアも同じように腰を落とし、額の汗を拭いながら苦笑した。
「すごい人だったわね……」
「ああ……正直、朝の時点でここまでになるとは思わなかった」
「最後に、あんなに押し寄せるなんて……」
言葉を交わす二人の横で、ポンとゴンタはさすがというべきか、まだ余裕を残した様子で手際よく片づけを進めている。
「箱はこちらに」
「はいよ、次は棚でやんす」
その隣では、ザイロが一言も発さず、黙々と屋台を解体し、資材をまとめていく。
やがて一通りの片づけが終わり、ポンは振り返って、穏やかに微笑んだ。
「皆さん、本当にお疲れ様でした」
「本当に疲れたわ……急に人が溢れるんだもの」
椅子に深く腰を落としたまま、リュシアは天を仰ぐようにしてぼやく。
その声には愚痴よりも、やり切った後の安堵が滲んでいた。
「はは、確かにな。まさか、あそこまで人が来るとは思わなかったよ」
バニッシュも同じく背もたれに体を預け、乾いた笑いを漏らす。
腕や脚に残る鈍い疲労が、今日一日の激しさを物語っていた。
ふと、リュシアは顔を横に向ける。
「でも……どうして急に、あんなに人が来出したの?」
昨日までは、確かに人は来ていた。だが、あの押し寄せるような熱気は、まさに予想以上だった。
その問いに、片づけを終えたポンが穏やかに微笑む。
「それはですね――皆さんが、しっかりと縁を結んできたからですよ」
「縁……?」
首を傾げるリュシアに、ポンはゆっくりと言葉を重ねる。
「最初の挨拶回りで、私たちはこの市場の店を知りました。同時に、私たちのことも知ってもらったのです」
ポンは目を細め、リュシアを見つめる。
「だから、お客さんに『どこかおすすめは?』『他に何がある?』と聞かれたとき、すぐに答えられましたね」
その言葉に、リュシアの脳裏に光景が蘇る。
――饅頭屋の場所を教えた老夫婦。
――串焼きの店や生活用品の露店を案内したときのこと。
――迷っている客に、自然と他の店を勧めていた自分。
「……確かに」
リュシアはぽつりと呟く。
「リュシアさん。アナタがお客さんに訊かれて、他のお店を教えたことで――それ自体が、そのお店の宣伝になるのです」
ポンは柔らかな声でそう言った。
「だから、今度はそのお店が、私たちを宣伝してくれる。応援してくれるのですよ」
「でも……」
リュシアは少し戸惑ったように眉を寄せる。
「同じように商売してるんだし、ライバルみたいなものじゃない? お客を取り合う相手なのに……」
その素朴な疑問に、ポンはニッコリと微笑んだ。
「ええ、確かにライバルです」
少し間を置くようにポンは目を瞑り。
「ですが同時に――同じ場所で、同じ苦労をして、同じ厳しさを知る仲間でもあるのです」
「……仲間」
その言葉を、リュシアは小さく反芻する。
ポンはゆっくりと頷いた。
「商売は一人では成り立ちません。売る者、買う者、支える者、そして並んで店を構える者――互いに影響し合い、助け合い、時には競い合う」
そして、静かに、しかし確かな口調で告げた。
バニッシュはその言葉を噛みしめるように、ゆっくりと息を吐いた。
「……なるほどな」
力ではなく、魔法でもなく、ましてや駆け引きでもない。
――人と人との繋がり、それが、今日の大盛況を生んだのだと、今になって、ようやく実感できた。
「これは、アナタ自身が紡いだ縁なのです」
リュシアは息を呑む。
「リュシアさん。覚えておいてください。アナタは確かに、人と人を繋ぎ、縁を作れる存在なのだと」
その言葉に、リュシアは自分の手を見つめた。
――この手の中に眠る力。
魔王から受け継いだ、災厄の力。
すべてを壊し、滅ぼすための力。
それは、ずっと怖かった。
自分が触れれば、いつかすべてを壊してしまうのではないかと。
けれど、今日、自分は壊すのではなく、繋いだのだ。
言葉で、笑顔で、ほんの小さな親切で。
リュシアは、胸の前でぎゅっと拳を握る。
まるで、その気づきを逃がさないように、大切に抱きしめるように。
「……私でも、できるんだ」
壊すだけじゃない。
繋ぐことも、守ることも。
その姿を、バニッシュは静かに見つめていた。
まるで――娘が、ほんの一歩だけ大人に近づいた瞬間を、言葉もなく見守る父親のように。
ただ、温かく、優しい眼差しで見守る。
リュシアが掴んだその小さな成長が、やがて彼女自身を支える確かな力になると、信じているからだった。
「いらっしゃいませー! 珍しい果実とお酒、ありますよー!」
その明るい声に引かれたのか、水路の向こうから、ゆっくりと歩いてきた老夫婦が足を止める。
「あら……元気なお嬢さんねぇ」
優しそうな声に、リュシアはぱっと顔を輝かせた。
「あ、いらっしゃい! 自慢の商品ばかりだから、ぜひ見ていってちょうだい!」
張り切った声でそう言い、屋台の前へと招く。
「どれどれ……何があるのかしら?」
老夫婦は並べられた品々を興味深そうに見渡す。
「これは魔紅果のお酒で、こっちはザキュロの実。それで、こっちはルガンディアのお米よ!」
ひとつひとつ指差しながら、リュシアは熱心に説明する。
だが――老夫婦は顔を見合わせ、少し困ったように笑った。
「うーん……私たち、まだ街に来たばかりなのよ」
「これから色々回ってみたいから、荷物になるものはちょっとねぇ……」
「あ……そっか……」
リュシアの声が、少しだけしぼむ。
一瞬、気まずい沈黙が流れたが――老夫婦の奥さんが、ふと思い出したように尋ねた。
「ねえ、何かオススメのお店とか、あるかしら?」
「オススメ……?」
リュシアは一瞬考え込み、すぐにぱっと顔を上げた。
「それなら、あっちにあるお饅頭屋がオススメよ!」
水路の先を指差しながら続ける。
「水みたいにぷるぷるしてて、甘くて美味しいの!」
「あら、それは良さそうねぇ」
「ありがとう。じゃあ、そっちを先に回ってみるよ」
老夫婦はにっこりと微笑み、去り際に振り返る。
「また、帰りにでも寄らせてもらうわ」
「頑張ってね」
「……はい! ありがとうございます!」
リュシアは深く頭を下げ、老夫婦の背中を見送った。
売り上げにはならなかった。
だが、不思議と胸の奥は少し温かい。
それを見たポンは、静かに微笑んでいた。
「……良い対応でしたよ、リュシアさん」
「え? 売れなかったのに?」
リュシアが首を傾げる。
ポンは、穏やかな声で言った。
「ええ、だからこそ、です」
その言葉の意味を、リュシアは理解できず首を傾げる。
それからも、屋台にはぽつりぽつりと人が訪れた。
通りすがりに足を止める者。
珍しそうに商品を覗き込むだけの者。
中には、まだ買う気はないのか、ただ雰囲気を味わいに来ただけの客もいる。
「これ、何のお酒なの?」
「この実、どうやって食べるの?」
そんな素朴な質問が飛び交う中、時折、別の露店について尋ねられることもあった。
「ねえ、その髪飾り綺麗ね。どこで売ってるのかしら?」
「水路の奥にある串焼きの店、場所を聞きたいんですけども」
バニッシュもリュシアも、迷うことなく答えていた。
「ああ、それならこの先の水路を左に曲がって、
二つ目の突き出しを越えたところよ」
「串焼きなら、青い布を出してる店が目印だ。
昼過ぎには行列ができる」
それは、昨日一日かけて露店を回り、実際に見て、歩いて、空気を感じてきたからこそ出てくる言葉だった。
地図ではなく、記憶でもなく、体感として街を知っている――それは、自然と声や表情に表れている。
「ありがとう、助かったわ」
「へえ、そんな店があるんだ。行ってみるよ」
その様子を、屋台の少し後ろからポンは静かに眺めていた。
穏やかに細められた目には、確かな満足の色が宿っている。
(ええ、その調子です)
声に出さず、心の中でそう呟く。
昼を過ぎると、再び屋台の前が賑わい始めた。
朝は来られなかった露店の店主たちが、自分の店が一段落したのを見計らって、ふらりと立ち寄ってくれる。
「お、ここであの酒を売ってるのか。1本買っていくよ」
「ザキュロの実を二つちょうだい」
列ができるほどではないが、確実に、着実に――商品は減っていった。
売り子として声を張るリュシア。
袋詰めを手際よく進めるバニッシュ。
ザイロは黙々と品を補充し、ポンとゴンタは客との軽妙なやり取りで場を和ませる。
ひと通りの客が引いたところで、ポンが静かに口を開く。
「……それでは、今日はこの辺にしましょうか」
まだ夕暮れには早い時間だったが、無理に引き延ばす必要はないと思い。
バニッシュたちも頷き、ゆっくりと片づけを始める。
「あら……もう終わりなのかしら?」
その時、聞き覚えのある、柔らかな声に顔を上げると、朝に立ち寄ってくれた老夫婦が、屋台の前に立っていた。
「あ、さっきの……」
リュシアは思わず声を漏らし、片づけ途中の手を止めて、ちらりとポンを見る。
ポンは、ほんの一瞬だけ目を細め、にこりと微笑んで小さく頷いた。
その合図に、リュシアの表情がぱっと明るくなる。
「いらっしゃい! 何か買っていく?」
老夫婦は顔を見合わせ、微笑み合う。
「そうねぇ……じゃあ、このお米とザキュロの実を貰おうかしら」
「ええ、家で食べるのが楽しみだ」
「ありがとうございます!」
リュシアは弾む声で応え、丁寧に商品を包んで手渡す。
代金を受け取り、老夫婦が立ち去ろうとした、その背にポンが一歩前に出た。
「少々、お待ちください」
そして、袋の中からそっと取り出したザキュロの実を二つ、老夫婦の手に添える。
「こちらは、おまけです」
「ええ……? いいんですか?」
「はい。また、よろしくお願いいたします」
老夫婦は驚き、そして嬉しそうに微笑む。
「ありがとう。また、必ず来るわね」
「ええ、次は知り合いも連れてこよう」
深く頭を下げ、ゆっくりと人波の中へ消えていく二人。
その背中を見送りながら、リュシアはぽつりと呟いた。
「……なんだか、嬉しいわね」
「ええ」
ポンは穏やかに答える。
「今日売れたのは商品ですが、本当に得られたのは――信頼です」
商品を売る前に、街を知り、人を知り、流れを知る。
それができていなければ、どれほど良い品を並べても、商いは根付かない。
今、目の前にあるのは、まだ大きな利益ではない。
だが――確実に芽吹き始めた、信用と流れをポンは、すでに静かに見据えていた。
宿に戻り、食堂で簡素ながら温かい食事を終えたあと――ポンは湯気の立つ茶を一口含み、穏やかな声で言った。
「それでは皆さん。明日が本番です。……覚悟しておいてくださいね」
そう言って、バニッシュとリュシアを交互に見つめる。
「は、本番?」
「覚悟って、何の?」
意味が分からず顔を見合わせる二人に、ポンはそれ以上何も言わず、ただ微笑むだけだった。
結局、その真意を問いただすこともできないまま、それぞれ部屋に戻り、床に就く。
――だが、ポンの言葉の意味は、 翌朝、嫌というほど思い知らされることになる。
翌日も、昨日と同じく夜明け前に起き、出店の準備を始める。
まだ眠気の抜けきらない頭で、バニッシュは米袋を運び、リュシアは欠伸を噛み殺しながらザキュロの実を並べていた。
「ふぁ……昨日よりちょっと寒いわね……」
「冬が近いからな……」
そんな他愛ない会話を交わしているうちに、東の空が白み始める。
――そして、日が昇り、人通りが増え始めた、その瞬間。
「……え?」
リュシアが、思わず声を漏らした。
視界の先――昨日とは比べものにならない数の人影が、こちらの屋台へ流れ込んでくる。
「ここだ! 昨日の酒の店!」
「ザキュロの実、まだあるか!?」
「ルガンディアの米って、ここだよな?」
「な、なんだこれは……!?」
バニッシュも思わず目を見開く。
昨日は露店人たち程度だったはずの店に、今や列ができ始めていた。
「いらっしゃいませ! こちら魔紅果の酒です!」
「ザキュロの実はこちら! 一袋三つ入りですよ!」
ポンとゴンタが即座に声を張り、流れるように客を捌き始める。
バニッシュは袋詰めと会計を同時にこなし、リュシアは笑顔を作る余裕もなく商品を手渡す。
その背後では、ザイロが一言も発さず、ただ黙々と商品を補充し続けていた。
次々と空になる棚。
補充しても、補充しても、追いつかない。
息つく暇すらない忙しさの中で、バニッシュはふと、昨日の夜のポンの言葉を思い出す。
「……こういうことか」
ようやく理解した瞬間、彼の口元に、思わず苦笑が浮かんだ。
怒涛――まさにその言葉がふさわしい大盛況だった。
休む間もなく客を捌き続け、バニッシュの額からは汗が滴り落ち、リュシアも息を切らしながら手を動かし続ける。
「次のお客さんこちらでーす!」
「酒は一人二本まででお願いしまーす!」
声を張り上げ、手を止める暇もない。
そして、昼過ぎ――最後の米袋が消え、魔紅果の酒も、ザキュロの実も、すべて売り切れた。
「あ……」
並んでいた客に向かい、バニッシュは深く頭を下げる。
「申し訳ありません……本日の商品は、すべて完売です」
「ええー! もうないのか!」
「また来るから、次は多めに持ってきてくれよ!」
惜しむ声を背に受けながら、何度も頭を下げ、礼を述べる。
やがて人波が完全に途絶える。
「……はぁぁ……」
バニッシュはその場で力が抜け、椅子にへたり込む。
リュシアも同じように腰を落とし、額の汗を拭いながら苦笑した。
「すごい人だったわね……」
「ああ……正直、朝の時点でここまでになるとは思わなかった」
「最後に、あんなに押し寄せるなんて……」
言葉を交わす二人の横で、ポンとゴンタはさすがというべきか、まだ余裕を残した様子で手際よく片づけを進めている。
「箱はこちらに」
「はいよ、次は棚でやんす」
その隣では、ザイロが一言も発さず、黙々と屋台を解体し、資材をまとめていく。
やがて一通りの片づけが終わり、ポンは振り返って、穏やかに微笑んだ。
「皆さん、本当にお疲れ様でした」
「本当に疲れたわ……急に人が溢れるんだもの」
椅子に深く腰を落としたまま、リュシアは天を仰ぐようにしてぼやく。
その声には愚痴よりも、やり切った後の安堵が滲んでいた。
「はは、確かにな。まさか、あそこまで人が来るとは思わなかったよ」
バニッシュも同じく背もたれに体を預け、乾いた笑いを漏らす。
腕や脚に残る鈍い疲労が、今日一日の激しさを物語っていた。
ふと、リュシアは顔を横に向ける。
「でも……どうして急に、あんなに人が来出したの?」
昨日までは、確かに人は来ていた。だが、あの押し寄せるような熱気は、まさに予想以上だった。
その問いに、片づけを終えたポンが穏やかに微笑む。
「それはですね――皆さんが、しっかりと縁を結んできたからですよ」
「縁……?」
首を傾げるリュシアに、ポンはゆっくりと言葉を重ねる。
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――饅頭屋の場所を教えた老夫婦。
――串焼きの店や生活用品の露店を案内したときのこと。
――迷っている客に、自然と他の店を勧めていた自分。
「……確かに」
リュシアはぽつりと呟く。
「リュシアさん。アナタがお客さんに訊かれて、他のお店を教えたことで――それ自体が、そのお店の宣伝になるのです」
ポンは柔らかな声でそう言った。
「だから、今度はそのお店が、私たちを宣伝してくれる。応援してくれるのですよ」
「でも……」
リュシアは少し戸惑ったように眉を寄せる。
「同じように商売してるんだし、ライバルみたいなものじゃない? お客を取り合う相手なのに……」
その素朴な疑問に、ポンはニッコリと微笑んだ。
「ええ、確かにライバルです」
少し間を置くようにポンは目を瞑り。
「ですが同時に――同じ場所で、同じ苦労をして、同じ厳しさを知る仲間でもあるのです」
「……仲間」
その言葉を、リュシアは小さく反芻する。
ポンはゆっくりと頷いた。
「商売は一人では成り立ちません。売る者、買う者、支える者、そして並んで店を構える者――互いに影響し合い、助け合い、時には競い合う」
そして、静かに、しかし確かな口調で告げた。
バニッシュはその言葉を噛みしめるように、ゆっくりと息を吐いた。
「……なるほどな」
力ではなく、魔法でもなく、ましてや駆け引きでもない。
――人と人との繋がり、それが、今日の大盛況を生んだのだと、今になって、ようやく実感できた。
「これは、アナタ自身が紡いだ縁なのです」
リュシアは息を呑む。
「リュシアさん。覚えておいてください。アナタは確かに、人と人を繋ぎ、縁を作れる存在なのだと」
その言葉に、リュシアは自分の手を見つめた。
――この手の中に眠る力。
魔王から受け継いだ、災厄の力。
すべてを壊し、滅ぼすための力。
それは、ずっと怖かった。
自分が触れれば、いつかすべてを壊してしまうのではないかと。
けれど、今日、自分は壊すのではなく、繋いだのだ。
言葉で、笑顔で、ほんの小さな親切で。
リュシアは、胸の前でぎゅっと拳を握る。
まるで、その気づきを逃がさないように、大切に抱きしめるように。
「……私でも、できるんだ」
壊すだけじゃない。
繋ぐことも、守ることも。
その姿を、バニッシュは静かに見つめていた。
まるで――娘が、ほんの一歩だけ大人に近づいた瞬間を、言葉もなく見守る父親のように。
ただ、温かく、優しい眼差しで見守る。
リュシアが掴んだその小さな成長が、やがて彼女自身を支える確かな力になると、信じているからだった。
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勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
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「おい雑魚、これを持っていけ」
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ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
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※小説家になろうにて掲載中
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