157 / 171
縁の決戦編
絆が咲かせた終焉の華
しおりを挟む
爆煙が、ゆっくりと晴れていく。
焦げた大地と崩壊した地形の奥――ヴェイルの視界に、異質な光が差し込んだ。
それは、白銀のように淡く、しかし確かに神聖さを感じさせる輝き。
ブワァッ……!!
残った土煙を押し払うように、その光は――翼として、開かれた。
白銀に輝く巨大な翼、その下で、ツヅラとフィリアを守るように、静かに立っていた存在。
それは、ただそこに在るだけで、人々の目を奪い、思わず息を飲みこんでしまうほど神々しく、清廉された者。
「……っ!? お……お前は……!?」
ヴェイルはフードの奥の瞳が見開かれたかのように、闇が揺れる。
翼の主は、穏やかな微笑みを浮かべたまま、静かに口を開いた。
「私は――十二柱の一人、統括の女神、ルミナ=リュミエール」
その声は、響くというより、世界そのものに染み渡るように届く。
ヴェイルの喉が、ひくりと鳴った。
「……女神……」
ツヅラが、思わず息を呑む。
「……ルミナ様……」
フィリアもまた、言葉を失う。
その名は知らぬものは存在せず、誰もが崇め、祈りを捧げる存在。
世界中の人々が信仰する女神が今まさに目の前に現れたのだ。
それは、在り方そのものが違う存在の前に立たされた感覚。
ルミナは、白銀の翼をゆっくりと畳みながら、続ける。
「貴方が、この地の結界を壊してくれたおかげで、ようやく――私も、この場所へ来ることが出来ました」
優しく、しかしどこか皮肉を含んだ口調。
「……な……なぜ……! なぜ、貴女のような存在が……こんな場所に……!?」
ヴェイルは後ずさりながら叫ぶ。
ルミナは、その問いにすぐには答えず、静かに目を閉じ――ふっと、息を漏らした。
そして、ゆっくりと目を開く。
「その理由は――貴方の、すぐ側にいますよ」
ルミナの瞳が、ヴェイルのすぐ後ろへと向けられる。
「……どういう……ことです……!?」
混乱の中で――理解が追いつかないとばかりに狼狽する。
「あ~……こんなの作っちゃ、いけないんだよ~」
場違いなほど、拍子の抜ける声が響いた。
「……!?」
ヴェイルは、反射的に――後ろを振り返る。
そこにいたのは、ゆるく、飄々とした雰囲気の少女。
まるで散歩にでも来たかのような態度で、女神セラフィ=リュミエールことセラが立っていた。
「な……っ!?」
ヴェイルが言葉を失う、その前でセラは、ヴェイルの手に握られた黒いオーブを見上げ、指で軽くつついた。
「えいっ」
その瞬間、シュゥゥゥ……と黒いオーブから、瘴気が音もなく抜けていく。
呪詛も、怨嗟も、混ざり合っていた力の残滓も――まるで最初から存在しなかったかのように、浄化されていく。
そして、パキィ……ンと乾いた音を立てて、黒いオーブは白く砕け散った。
その光景に時が止まったかのように静寂が辺りを包む。
「……は……?」
ヴェイルの口から、理解不能をそのまま形にしたような声が零れ落ちる。
最悪の切り札にして英雄たちの力を歪めて生み出した、黒き終焉。
――それが指一本で、終わった。
「あ、ああ、貴女……今、何をしたのですか……?」
ヴェイルは、思わず一歩退いた。
七魔将としての威厳も、怒りも、もはやそこにはなかった。
ただ――理解することが出来ない事態に、困惑し狼狽する。
「え? う~ん……そうだね」
セラは目を瞬かせ、少し首を傾げた。
考えるように指を顎に当ててからキョトンとした顔で言う。
「バニッシュのお友達の魂があったから、浄化しただけだよ」
あまりにも無邪気で、あまりにも軽い答え。
「……じょ……浄化……ですと……?」
ヴェイルの喉が、引きつる。
「そ……そんな……そんなこと、あり得るわけが……!!」
声が裏返る。
闇に堕とし、歪め、利用し尽くしたはずの魂。
それを――ついでのように消す行為など、そんなことがあってはならいとばかりに声を張る。
「いいえ、貴方が闇に堕とした勇者たちの魂は――」
その混乱を、静かに切り裂く声。
その瞳が、ヴェイルをまっすぐに見据える。
「セラの力により、すでに浄化されました」
「……そ……そんな……」
ヴェイルは、よろけた。
膝が、かすかに震える。
七魔将として積み上げてきた成果が、そのすべてが全否定され砕け散ったのだ。
「……い、いや……! そ、それよりも……貴女方、女神は……以前、私が放った攻撃で、相当な被害があったはずです!!」
思い出したかのように叫び、視線を振り上げ、ルミナとセラを見る。
以前、ミレイユを取り込んだ黒いオーブ。
未完成ながらもその力を試すために、天界に放った一撃。
その衝撃音は確かに地上にまで轟いたのだ。
「……?」
セラは、きょとんとした顔で小首を傾げる。
「攻撃? 来てないよ?」
「嘘をおっしゃい!! 確かに、黒いオーブの力で……!!」
ヴェイルは声を荒げた。
その言葉を――またしても、静かに遮る声。
「貴方の放った攻撃なら、セラが落としたお菓子によって、すでに消滅しました」
ルミナは、淡々と告げる。
又しても時が止まったかのように静寂が訪れる。
「…………は……?」
ヴェイルの口から、再び――間の抜けた声が零れ落ちた。
未完成とはいえ、勇者の仲間の一人を取り込み、その力は強大なものだった。
それが――落としたお菓子で相殺された。
理解しようとする思考そのものが、拒絶反応を起こしていた。
ヴェイルの中の絶対が、音を立てて完全に崩れ落ちた。
「お、おおお……お菓子……!? そ、そんな物で……!!」
ヴェイルの声は裏返り、もはや先ほどまでの不気味さなど微塵も残っていなかった。
戸惑い、動揺し、理解の枠から溢れ落ちた感情が、醜く露わになっている。
「確かです。私がセラに与えたお菓子は、セラの手に触れたことで神性を帯びました。それにより、貴方の攻撃は――消滅しました」
ルミナは、静かに頷く。
「……ッ!?」
ヴェイルは、喉を鳴らそうとして……出来なかった。
もはや、言葉を紡ぐ意味すら見失っている。
七魔将としての誇りも、世界を滅ぼす力として歪め集めた力も、それらすべてがお菓子という概念に踏み潰された現実。
「そして、貴方の物理も魔法も通じなかった理由――それは、貴方の身を覆っていた揺らぐ闇によるものでしょう」
ルミナは、白銀の翼を静かに広げる。
翼が、ひと振りすると空気が震えた。
神聖な波動が奔流となり、ヴェイルの身体を包み込んでいた闇を――容赦なく吹き飛ばす。
「な……なん……だと……」
闇が剥がれ落ち、初めて、ヴェイルの姿がただの存在として晒される。
圧倒的な力も砕かれ、絶対的な防御も剥がされ、すべてが失われた。
「さあ、これで、貴女方の力でも、あの者にダメージを与えられます」
ルミナは視線を移し、リュシアとセレスティナを見る。
「でも……」
リュシアは一瞬、言葉を詰まらせ、ツヅラとフィリアへと視線を向ける。
その気持ちを察したように、ツヅラは扇をひらりと揺らし、いつもの妖艶な笑みを浮かべた。
「ウチらのことは気にせんでええよ」
金の瞳が、力強く輝く。
「派手にかましたりぃや」
「ああ、アナタたちの力を見せてやるのだ」
フィリアもまた、静かに頷いた。
その言葉に、リュシアの胸の奥で、何かが弾けた。
「……わかった!」
力強く頷き、セレスティナへと視線を送る。
セレスティナも、一瞬だけ目を伏せ――そして、静かに、しかし確かな意志を込めて頷いた。
二人は、並び立つ。
背後には、仲間がいる。
守ってくれた者がいる。
そして――信じてくれる者がいる。
リュシアは、拳を握り締めた。
もう、迷いはない。
今度こそこの戦いに、終止符を打つために。
「ば、バカな……あり得ない……こんなことが……」
ヴェイルは、よろめきながら膝を折りかけた。
物理も魔法も無効にしていた闇の衣は剥がされ、勇者たちを贄として作り上げた黒きオーブは砕け散り、七魔将としての絶対的な優位も、長年にわたり積み重ねてきた計画も――すべてが崩壊していた。
(何が……いけなかった……? どこで……私は、間違えた……?)
答えの出ない思考が、頭の中を無意味に巡る。
その混濁した視界の先で、二つの影が、静かに、しかし確かに立ち上がる。
リュシアとセレスティナ、二人は言葉を交わすことなく、まるで示し合わせたかのように、一歩前へ出た。
そして――同時に、ヴェイルへと手を翳す。
「――煉獄爆華陣!!」
リュシアの叫びと共に、紅蓮の魔力が奔流となって解き放たれる。
爆ぜる炎は、単なる破壊ではない。
怒りと決意、そして守りたいという想いを宿した――灼熱の花。
「――爆烈氷華!」
重なるように、セレスティナの声が響いた。
古代魔法によって紡がれた紺碧の魔力が、凍てつく衝撃と共に爆ぜ、氷晶の華を咲かせる。
炎と氷、相反する二つの力。
しかし、それらは反発することなく――絡み合い、融合し、巨大な一輪の紅蓮と紺碧の華となった。
「――ッ!?」
ヴェイルが何かを叫ぼうとした瞬間、その声は、爆音にかき消された。
閃光と共に大気を引き裂く衝撃波。
紅蓮と紺碧の華が、完全に開き――ヴェイルの姿を、跡形もなく飲み込んでいく。
それは、絶望でも、憎悪でもない。
二人が共に立つことで初めて辿り着いた、絆の力。
爆炎と爆氷が収束し、静寂が、ゆっくりと戦場を覆っていった。
焦げた大地と崩壊した地形の奥――ヴェイルの視界に、異質な光が差し込んだ。
それは、白銀のように淡く、しかし確かに神聖さを感じさせる輝き。
ブワァッ……!!
残った土煙を押し払うように、その光は――翼として、開かれた。
白銀に輝く巨大な翼、その下で、ツヅラとフィリアを守るように、静かに立っていた存在。
それは、ただそこに在るだけで、人々の目を奪い、思わず息を飲みこんでしまうほど神々しく、清廉された者。
「……っ!? お……お前は……!?」
ヴェイルはフードの奥の瞳が見開かれたかのように、闇が揺れる。
翼の主は、穏やかな微笑みを浮かべたまま、静かに口を開いた。
「私は――十二柱の一人、統括の女神、ルミナ=リュミエール」
その声は、響くというより、世界そのものに染み渡るように届く。
ヴェイルの喉が、ひくりと鳴った。
「……女神……」
ツヅラが、思わず息を呑む。
「……ルミナ様……」
フィリアもまた、言葉を失う。
その名は知らぬものは存在せず、誰もが崇め、祈りを捧げる存在。
世界中の人々が信仰する女神が今まさに目の前に現れたのだ。
それは、在り方そのものが違う存在の前に立たされた感覚。
ルミナは、白銀の翼をゆっくりと畳みながら、続ける。
「貴方が、この地の結界を壊してくれたおかげで、ようやく――私も、この場所へ来ることが出来ました」
優しく、しかしどこか皮肉を含んだ口調。
「……な……なぜ……! なぜ、貴女のような存在が……こんな場所に……!?」
ヴェイルは後ずさりながら叫ぶ。
ルミナは、その問いにすぐには答えず、静かに目を閉じ――ふっと、息を漏らした。
そして、ゆっくりと目を開く。
「その理由は――貴方の、すぐ側にいますよ」
ルミナの瞳が、ヴェイルのすぐ後ろへと向けられる。
「……どういう……ことです……!?」
混乱の中で――理解が追いつかないとばかりに狼狽する。
「あ~……こんなの作っちゃ、いけないんだよ~」
場違いなほど、拍子の抜ける声が響いた。
「……!?」
ヴェイルは、反射的に――後ろを振り返る。
そこにいたのは、ゆるく、飄々とした雰囲気の少女。
まるで散歩にでも来たかのような態度で、女神セラフィ=リュミエールことセラが立っていた。
「な……っ!?」
ヴェイルが言葉を失う、その前でセラは、ヴェイルの手に握られた黒いオーブを見上げ、指で軽くつついた。
「えいっ」
その瞬間、シュゥゥゥ……と黒いオーブから、瘴気が音もなく抜けていく。
呪詛も、怨嗟も、混ざり合っていた力の残滓も――まるで最初から存在しなかったかのように、浄化されていく。
そして、パキィ……ンと乾いた音を立てて、黒いオーブは白く砕け散った。
その光景に時が止まったかのように静寂が辺りを包む。
「……は……?」
ヴェイルの口から、理解不能をそのまま形にしたような声が零れ落ちる。
最悪の切り札にして英雄たちの力を歪めて生み出した、黒き終焉。
――それが指一本で、終わった。
「あ、ああ、貴女……今、何をしたのですか……?」
ヴェイルは、思わず一歩退いた。
七魔将としての威厳も、怒りも、もはやそこにはなかった。
ただ――理解することが出来ない事態に、困惑し狼狽する。
「え? う~ん……そうだね」
セラは目を瞬かせ、少し首を傾げた。
考えるように指を顎に当ててからキョトンとした顔で言う。
「バニッシュのお友達の魂があったから、浄化しただけだよ」
あまりにも無邪気で、あまりにも軽い答え。
「……じょ……浄化……ですと……?」
ヴェイルの喉が、引きつる。
「そ……そんな……そんなこと、あり得るわけが……!!」
声が裏返る。
闇に堕とし、歪め、利用し尽くしたはずの魂。
それを――ついでのように消す行為など、そんなことがあってはならいとばかりに声を張る。
「いいえ、貴方が闇に堕とした勇者たちの魂は――」
その混乱を、静かに切り裂く声。
その瞳が、ヴェイルをまっすぐに見据える。
「セラの力により、すでに浄化されました」
「……そ……そんな……」
ヴェイルは、よろけた。
膝が、かすかに震える。
七魔将として積み上げてきた成果が、そのすべてが全否定され砕け散ったのだ。
「……い、いや……! そ、それよりも……貴女方、女神は……以前、私が放った攻撃で、相当な被害があったはずです!!」
思い出したかのように叫び、視線を振り上げ、ルミナとセラを見る。
以前、ミレイユを取り込んだ黒いオーブ。
未完成ながらもその力を試すために、天界に放った一撃。
その衝撃音は確かに地上にまで轟いたのだ。
「……?」
セラは、きょとんとした顔で小首を傾げる。
「攻撃? 来てないよ?」
「嘘をおっしゃい!! 確かに、黒いオーブの力で……!!」
ヴェイルは声を荒げた。
その言葉を――またしても、静かに遮る声。
「貴方の放った攻撃なら、セラが落としたお菓子によって、すでに消滅しました」
ルミナは、淡々と告げる。
又しても時が止まったかのように静寂が訪れる。
「…………は……?」
ヴェイルの口から、再び――間の抜けた声が零れ落ちた。
未完成とはいえ、勇者の仲間の一人を取り込み、その力は強大なものだった。
それが――落としたお菓子で相殺された。
理解しようとする思考そのものが、拒絶反応を起こしていた。
ヴェイルの中の絶対が、音を立てて完全に崩れ落ちた。
「お、おおお……お菓子……!? そ、そんな物で……!!」
ヴェイルの声は裏返り、もはや先ほどまでの不気味さなど微塵も残っていなかった。
戸惑い、動揺し、理解の枠から溢れ落ちた感情が、醜く露わになっている。
「確かです。私がセラに与えたお菓子は、セラの手に触れたことで神性を帯びました。それにより、貴方の攻撃は――消滅しました」
ルミナは、静かに頷く。
「……ッ!?」
ヴェイルは、喉を鳴らそうとして……出来なかった。
もはや、言葉を紡ぐ意味すら見失っている。
七魔将としての誇りも、世界を滅ぼす力として歪め集めた力も、それらすべてがお菓子という概念に踏み潰された現実。
「そして、貴方の物理も魔法も通じなかった理由――それは、貴方の身を覆っていた揺らぐ闇によるものでしょう」
ルミナは、白銀の翼を静かに広げる。
翼が、ひと振りすると空気が震えた。
神聖な波動が奔流となり、ヴェイルの身体を包み込んでいた闇を――容赦なく吹き飛ばす。
「な……なん……だと……」
闇が剥がれ落ち、初めて、ヴェイルの姿がただの存在として晒される。
圧倒的な力も砕かれ、絶対的な防御も剥がされ、すべてが失われた。
「さあ、これで、貴女方の力でも、あの者にダメージを与えられます」
ルミナは視線を移し、リュシアとセレスティナを見る。
「でも……」
リュシアは一瞬、言葉を詰まらせ、ツヅラとフィリアへと視線を向ける。
その気持ちを察したように、ツヅラは扇をひらりと揺らし、いつもの妖艶な笑みを浮かべた。
「ウチらのことは気にせんでええよ」
金の瞳が、力強く輝く。
「派手にかましたりぃや」
「ああ、アナタたちの力を見せてやるのだ」
フィリアもまた、静かに頷いた。
その言葉に、リュシアの胸の奥で、何かが弾けた。
「……わかった!」
力強く頷き、セレスティナへと視線を送る。
セレスティナも、一瞬だけ目を伏せ――そして、静かに、しかし確かな意志を込めて頷いた。
二人は、並び立つ。
背後には、仲間がいる。
守ってくれた者がいる。
そして――信じてくれる者がいる。
リュシアは、拳を握り締めた。
もう、迷いはない。
今度こそこの戦いに、終止符を打つために。
「ば、バカな……あり得ない……こんなことが……」
ヴェイルは、よろめきながら膝を折りかけた。
物理も魔法も無効にしていた闇の衣は剥がされ、勇者たちを贄として作り上げた黒きオーブは砕け散り、七魔将としての絶対的な優位も、長年にわたり積み重ねてきた計画も――すべてが崩壊していた。
(何が……いけなかった……? どこで……私は、間違えた……?)
答えの出ない思考が、頭の中を無意味に巡る。
その混濁した視界の先で、二つの影が、静かに、しかし確かに立ち上がる。
リュシアとセレスティナ、二人は言葉を交わすことなく、まるで示し合わせたかのように、一歩前へ出た。
そして――同時に、ヴェイルへと手を翳す。
「――煉獄爆華陣!!」
リュシアの叫びと共に、紅蓮の魔力が奔流となって解き放たれる。
爆ぜる炎は、単なる破壊ではない。
怒りと決意、そして守りたいという想いを宿した――灼熱の花。
「――爆烈氷華!」
重なるように、セレスティナの声が響いた。
古代魔法によって紡がれた紺碧の魔力が、凍てつく衝撃と共に爆ぜ、氷晶の華を咲かせる。
炎と氷、相反する二つの力。
しかし、それらは反発することなく――絡み合い、融合し、巨大な一輪の紅蓮と紺碧の華となった。
「――ッ!?」
ヴェイルが何かを叫ぼうとした瞬間、その声は、爆音にかき消された。
閃光と共に大気を引き裂く衝撃波。
紅蓮と紺碧の華が、完全に開き――ヴェイルの姿を、跡形もなく飲み込んでいく。
それは、絶望でも、憎悪でもない。
二人が共に立つことで初めて辿り着いた、絆の力。
爆炎と爆氷が収束し、静寂が、ゆっくりと戦場を覆っていった。
10
あなたにおすすめの小説
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。
桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。
だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。
そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。
異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。
チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!?
“真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました
白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。
そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。
王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。
しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。
突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。
スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。
王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。
そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。
Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。
スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが――
なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。
スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。
スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。
この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる