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ep.9
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メルが打ち上げた漆黒の剣を手に、アルベールは城の裏手に広がる「訓練用の森」へとやってきた。
ここは本来、数千人の騎士が同時に演習を行うための広大な敷地だが、アルベールが剣を構えた瞬間、周囲の鳥たちが一斉に逃げ出し、空気そのものが震え始めた。
「……素晴らしい。握っただけでわかる。この剣は、僕の魔力を『拒絶』しないどころか、まるで体の一部のように馴染んでいる」
アルベールは華やかに剣を翻すと、敵陣を切り裂く時のような鋭い眼差しで、前方にある巨大な岩山を見据えた。
「……いくよ、メル。君の最高傑作の、産声だ」
アルベールが無造作に、ただ一閃。
――ドンッ!!
音が後から追いかけてくるような、凄まじい衝撃波。
次の瞬間、目の前にあったはずの岩山が、そしてその背後に生い茂っていた広大な森が、まるで巨大な彫刻刀で削り取られたかのように「消滅」していた。
切り口は鏡のように滑らかで、数キロ先まで真っ直ぐな「空白の道」ができあがっている。
「…………え?」
アルベール本人が、手元の剣を二度見して絶句した。
今までどんな名剣を使っても、自分の全力を出せば「剣が先に壊れる」ことで威力が抑えられていた。だが、メルの剣は彼の魔力を100%……いや、120%に増幅して放ってしまったのだ。
そこへ、背後からトコトコと足音が近づいてきた。
「あら……。なんだか、とっても風通しが良くなってしまいましたね?」
メルは、アルベールが作り出した「空白の道」を眺めて、ぽんと手を打った。
「アルベール様。……ごめんなさい。あなたの魔力がとっても綺麗だったので、つい全部通るように道を作ってしまったんです。……加減するのを、忘れてしまいました」
「……メル。誰にも攻略できなかったあの岩山が、砂粒一つ残っていないんだが……」
「あら……。困りましたね。あ、でも、これでアルベール様が思い切り振っても壊れないことは証明できました! ……ですよね?」
メルが小首を傾げてニコッと微笑むと、アルベールは毒気を抜かれたように溜息をつき、それから狂おしいほどの歓喜に顔を歪めた。
「……ああ、その通りだ。完璧だよ、メル! 君は僕に、生まれて初めて『全力』で戦う権利を与えてくれたんだ!」
アルベールは砂塵が舞う更地の真ん中で、メルを軽々と抱き上げた。
一方で、遠くから「森が消えたぞー!」「天変地異だー!」と叫びながら走ってくる騎士たちの声が聞こえる。
「あ、アルベール様。皆さん、なんだか慌ててますよ? お詫びに、何か美味しいお菓子でも作って差し上げた方がいいでしょうか」
「いいや、彼らには僕の幸せを分けてやるだけで十分だ。さぁメル、次は何をしようか!」
二人の規格外な日常は、まだ始まったばかりだった。
ここは本来、数千人の騎士が同時に演習を行うための広大な敷地だが、アルベールが剣を構えた瞬間、周囲の鳥たちが一斉に逃げ出し、空気そのものが震え始めた。
「……素晴らしい。握っただけでわかる。この剣は、僕の魔力を『拒絶』しないどころか、まるで体の一部のように馴染んでいる」
アルベールは華やかに剣を翻すと、敵陣を切り裂く時のような鋭い眼差しで、前方にある巨大な岩山を見据えた。
「……いくよ、メル。君の最高傑作の、産声だ」
アルベールが無造作に、ただ一閃。
――ドンッ!!
音が後から追いかけてくるような、凄まじい衝撃波。
次の瞬間、目の前にあったはずの岩山が、そしてその背後に生い茂っていた広大な森が、まるで巨大な彫刻刀で削り取られたかのように「消滅」していた。
切り口は鏡のように滑らかで、数キロ先まで真っ直ぐな「空白の道」ができあがっている。
「…………え?」
アルベール本人が、手元の剣を二度見して絶句した。
今までどんな名剣を使っても、自分の全力を出せば「剣が先に壊れる」ことで威力が抑えられていた。だが、メルの剣は彼の魔力を100%……いや、120%に増幅して放ってしまったのだ。
そこへ、背後からトコトコと足音が近づいてきた。
「あら……。なんだか、とっても風通しが良くなってしまいましたね?」
メルは、アルベールが作り出した「空白の道」を眺めて、ぽんと手を打った。
「アルベール様。……ごめんなさい。あなたの魔力がとっても綺麗だったので、つい全部通るように道を作ってしまったんです。……加減するのを、忘れてしまいました」
「……メル。誰にも攻略できなかったあの岩山が、砂粒一つ残っていないんだが……」
「あら……。困りましたね。あ、でも、これでアルベール様が思い切り振っても壊れないことは証明できました! ……ですよね?」
メルが小首を傾げてニコッと微笑むと、アルベールは毒気を抜かれたように溜息をつき、それから狂おしいほどの歓喜に顔を歪めた。
「……ああ、その通りだ。完璧だよ、メル! 君は僕に、生まれて初めて『全力』で戦う権利を与えてくれたんだ!」
アルベールは砂塵が舞う更地の真ん中で、メルを軽々と抱き上げた。
一方で、遠くから「森が消えたぞー!」「天変地異だー!」と叫びながら走ってくる騎士たちの声が聞こえる。
「あ、アルベール様。皆さん、なんだか慌ててますよ? お詫びに、何か美味しいお菓子でも作って差し上げた方がいいでしょうか」
「いいや、彼らには僕の幸せを分けてやるだけで十分だ。さぁメル、次は何をしようか!」
二人の規格外な日常は、まだ始まったばかりだった。
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