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浄化
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呼吸の音が、やけに大きく聞こえる。兜をシッカリ被っているからだろうか。
陽菜は菖蒲が変化した刀の柄を握り締め、合戦の中に飛び出そうと機会を伺っている……つもりだ。
根が生えたように、足が動かない。きっと、恐怖にすくんでしまっているのだ。
(怖い……)
なにかやれそうな気がしていたけれど、本当に、そんな気がしていただけ、だったのかもしれない。
合戦の熱気に当てられたせいか。自分にも、なにかできそうな気がしていたのに。
「ここにも居るぞ!」
「やれぇ!」
「キャ~ッ!」
見つかった。見つかってしまった。
陽菜は目をつむったまま、がむしゃらに刀を振り回す。
ザクッと、切っ先がなにかを掠めた感触が伝わる。
ギャッという短い悲鳴が聞こえ、ゆっくり目蓋を持ち上げると、陽菜に向かって来ていた妖が蒸気のようなモノに包まれて消えていくところだった。
「凄い……」
菖蒲が変化した刀の持つ力に、陽菜は感動する。
両手で柄を握り、刀身を真っ直ぐ立てて顔の前に掲げると、瞳をキラキラと輝かせる陽菜が写った。
水面を漂う油のように、宙に浮かぶ瘴気に刃を当ててみる。すると、ジュワッと瘴気が浄化された。
心なしか、空気も澄んだような気がする。
「これなら、私もできるじゃん」
動いている妖達に立ち向かうのは怖いから、陽菜は漂っている瘴気を片っ端から浄化していくことにした。
「なんだ? ヤツ等の動きが、急に鈍くなってきたぞ」
口々に、兵達がそう言っているのが聞こえてくる。
地道に瘴気を浄化している陽菜の頑張りが、少しずつ妖達に影響を与え始めているのだろうか。
「コイツのせいか!」
瘴気を浄化する陽菜に気づき、妖達が向かって来る。
逃げようとする陽菜の意思に反して、刀が勝手に動き始めた。
「えっ、なに? なんで!」
襲いかかってきた妖の武器を刀が勝手に破壊し、妖の身を切り裂く。
ギャッという短い悲鳴を残し、妖は浄化されてしまった。
「凄い……」
刀がレベルアップしたのか、自動で妖達を切り裂き浄化していく。陽菜はただ、刀に翻弄されているだけだった。
「陽菜!」
「陽菜ちゃん?」
金太郎と鍾馗の驚く声がする。
刀に振り回されるまま移動していたら、鍾馗や金太郎が戦闘を繰り広げていた場所まで来ていたみたいだ。
「あはは、私も助太刀しま~す!」
「は?」
金太郎の呆れた声が背後から聞こえる。
自動で動く刀のおかげで、陽菜は瘴気と妖を次々浄化していった。
鍾馗が逃げ出した小鬼を捕え、刀を突きつける。
「ちくしょー!」
小鬼は悔しさを腹の底から叫び、後頭部に鍾馗からの一撃を受けて気絶した。
漂っていた瘴気も、暴れていた妖達も、辺り一体から消滅している。
「勝った?」
陽菜はヘナヘナと座り込み、握り締めていた刀の柄から手を離す。刀は菖蒲とヨモギに戻り、陽菜の身を包んでいた光の鎧も消え去った。
「陽菜ァ、お前ェ凄ぇな!」
金太郎にどつかれ、陽菜はベシャッと地面に倒れる。疲労困憊している体では、金太郎のパワーに抗うなんて無理だ。
「もう、バカ力!」
陽菜が頬を膨らませて不満を口にすれば、金太郎は笑いながら謝り、手を引っ張って立ち上がらせてくれた。
「悪ぃな。興奮が収まらなくてよ」
「えへへ……私も。まだドキドキしてる」
高揚感が心地よい。
陽菜と金太郎が笑い合っていると、義経が屋根から飛び降りて来た。
「陽菜、大丈夫か! 怪我は?」
「怪我? どうってことないよ」
義経は陽菜が被っていた兜を外し、陽菜の頭と頬に手を添える。
「よく見せてみろ」
かすり傷ひとつ見逃すまいと、鳶色の瞳がスキャンするように、上から下までなぞっていく。
頬のかすり傷を見つけ、義経の表情が曇った。そして、瞬く間に怒りの形相となる。
「まったく、無茶をして! 怪我をしているではないかっ! コッチの世界でなにかあったら、親御さんや祖母殿に申し訳がない。金太郎殿から、隠れていろと言われただろう。なぜ大人しくしておけなかった」
義経の心配はもっともだ。だけど、陽菜には陽菜の主張がある。
「だって、私もなにかしたかった。助けたかったんだもん!」
「バカ者! 鍾馗様は悪疫退散の神。金太郎殿は、坂田金時と言って、源頼光殿や渡辺綱殿と一緒に酒呑童子を倒した強者(つわもの)だ。陽菜の助太刀なんぞ必要無かった!」
「で、でも……」
ガシャッという甲冑の音がしたかと思うと、陽菜は義経に抱きすくめられた。
「まったく……肝が冷えた」
耳元で聞こえる義経の囁き声から、怯えを感じ取る。それほどまでに心配をかけていたのかと、陽菜は素直に謝罪を口にした。
「ごめんなさい」
溜め息と共に義経は陽菜を解放し、ポンと頭に手を乗せる。
「無事でよかったよ」
陽菜が上目遣いに見上げると、義経は安堵の笑みを浮かべていた。
「瘴気を浄化していってくれたのは、陽菜ちゃんだろう? アレで、ヤツ等の力がどんどん弱まっていった。ありがとう。礼を言うぞ」
縄で雁字搦めにし、何枚も札を貼った小鬼を肩に担ぎながら、鍾馗が陽菜と義経の元へやって来た。
頭の後ろで手を組み、金太郎も「あぁ、助かったぜ」と、歯を見せて笑う。
「女にしとくのが惜しいくれぇ勇ましかったな」
「もぅ! カッコよくて強い女の人だって、いくらでも居るんだからね。そういう言い方しちゃダメなんだよ」
陽菜が怒ると、金太郎は「へいへい」とげんなりしながら答え、頭の後ろで組んでいた手を解いて腰に当てた。
「わぁったよゥ。悪かったな」
「分かればいいのよ」
陽菜と金太郎のやり取りを微笑ましく見守っていた鍾馗は「よいしょっ」と、小鬼を担ぎ直す。
「それじゃワシは、この小鬼を閉じ込めてくる」
「では、私は近辺の片付けだ」
「そんじゃ、オレが陽菜をアッチの世界に帰してくらァ」
鍾馗と義経と金太郎の間で、瞬く間に役割分担が決まる。
ナチュラルに、陽菜をアッチの世界に戻す段取りが成立してしまったみたいだ。
「え~もう帰らなきゃダメなの?」
陽菜が不満を口にすれば、当然だ! と、義経はキツめの口調で一刀両断する。
「コッチの世界は、長居していい場所じゃない。帰れなくなるぞ」
それでも、少しくらい自由時間はあってもいいはずだ。なぜなら陽菜は、ツクヨミのところに行きたいのだから。
だけど、言い出せるような雰囲気ではない。
鍾馗が髭を撫でながら、不思議そうに小首を傾げた。
「どうした、陽菜ちゃん。帰りたくない理由でもあるのか?」
「う~ん……帰りたくないわけじゃ、ないんだけど……」
煮え切らない態度の陽菜を見かね、金太郎は「ほら、行くぜ」と、陽菜の洋服の後ろ襟を掴む。
「ちょっと、やめてよ! 猫じゃないんだから」
「だったら、ちゃんと自分で歩け」
金太郎がパッと手を離したせいで、陽菜はバランスを崩す。反射的に、転ばないように体勢を立て直すと、手早く服の乱れを直した。
「陽菜ちゃん。またおいで、とは言わないよ」
「元気でな」
鍾馗と義経に見送られ、陽菜は後ろ髪を引かれる思いで「はい」と答える。
やはりどうしても、あの山に行けないことが心残りになっているのだ。
金太郎がフィ~ッと指笛を鳴らすと、どこからともなく黒い鯉幟が宙を泳いで来る。鯉幟の泳ぎ着く先を目で追っていると、陽菜の前にやって来た。
「さぁ、乗れ」
金太郎に促されるも、陽菜は驚きに目と口が大きく開く。
「えっ、鯉幟に乗るの?」
「あぁ、シッカリ掴まれよ。あ、義経~頼むわ。オレじゃ身長が足んなくて、陽菜を乗せらんねぇ」
金太郎に頼まれ、義経は陽菜の両脇の下に手を入れて持ち上げると、鯉幟の背に乗せた。
中は空洞のはずなのに、空気がパンパンに詰まっているようで、バランスボールにまたがっているみたいだ。
金太郎は跳躍して飛び乗ると、鯉幟のエラが描かれている部分に足を置いた。
「そんじゃ、行ってくるぜ」
「陽菜、さらばだ」
義経は、陽菜がコッチの世界へ来たときに被っていた兜を手渡す。
「ヘルメットの代わりに被っておけ」
「うん……ありがとう」
鯉幟がフヨフヨと、屋根の高さまで上昇する。
下を向くと、鍾馗と義経が、手を振ってくれている姿が見えた。
「バイバイ」
明るい空には、今にも消えそうな白い月が浮かんでいる。
(バイバイ、セツちゃん。ツクヨミ様……)
陽菜は心の中で別れを告げ、義経が渡してくれた兜を被る。
鯉幟は風になびく吹き流しの中を通ると、黒い色の龍に変じ、透き通るような青い空を駆け昇って行った。
陽菜は菖蒲が変化した刀の柄を握り締め、合戦の中に飛び出そうと機会を伺っている……つもりだ。
根が生えたように、足が動かない。きっと、恐怖にすくんでしまっているのだ。
(怖い……)
なにかやれそうな気がしていたけれど、本当に、そんな気がしていただけ、だったのかもしれない。
合戦の熱気に当てられたせいか。自分にも、なにかできそうな気がしていたのに。
「ここにも居るぞ!」
「やれぇ!」
「キャ~ッ!」
見つかった。見つかってしまった。
陽菜は目をつむったまま、がむしゃらに刀を振り回す。
ザクッと、切っ先がなにかを掠めた感触が伝わる。
ギャッという短い悲鳴が聞こえ、ゆっくり目蓋を持ち上げると、陽菜に向かって来ていた妖が蒸気のようなモノに包まれて消えていくところだった。
「凄い……」
菖蒲が変化した刀の持つ力に、陽菜は感動する。
両手で柄を握り、刀身を真っ直ぐ立てて顔の前に掲げると、瞳をキラキラと輝かせる陽菜が写った。
水面を漂う油のように、宙に浮かぶ瘴気に刃を当ててみる。すると、ジュワッと瘴気が浄化された。
心なしか、空気も澄んだような気がする。
「これなら、私もできるじゃん」
動いている妖達に立ち向かうのは怖いから、陽菜は漂っている瘴気を片っ端から浄化していくことにした。
「なんだ? ヤツ等の動きが、急に鈍くなってきたぞ」
口々に、兵達がそう言っているのが聞こえてくる。
地道に瘴気を浄化している陽菜の頑張りが、少しずつ妖達に影響を与え始めているのだろうか。
「コイツのせいか!」
瘴気を浄化する陽菜に気づき、妖達が向かって来る。
逃げようとする陽菜の意思に反して、刀が勝手に動き始めた。
「えっ、なに? なんで!」
襲いかかってきた妖の武器を刀が勝手に破壊し、妖の身を切り裂く。
ギャッという短い悲鳴を残し、妖は浄化されてしまった。
「凄い……」
刀がレベルアップしたのか、自動で妖達を切り裂き浄化していく。陽菜はただ、刀に翻弄されているだけだった。
「陽菜!」
「陽菜ちゃん?」
金太郎と鍾馗の驚く声がする。
刀に振り回されるまま移動していたら、鍾馗や金太郎が戦闘を繰り広げていた場所まで来ていたみたいだ。
「あはは、私も助太刀しま~す!」
「は?」
金太郎の呆れた声が背後から聞こえる。
自動で動く刀のおかげで、陽菜は瘴気と妖を次々浄化していった。
鍾馗が逃げ出した小鬼を捕え、刀を突きつける。
「ちくしょー!」
小鬼は悔しさを腹の底から叫び、後頭部に鍾馗からの一撃を受けて気絶した。
漂っていた瘴気も、暴れていた妖達も、辺り一体から消滅している。
「勝った?」
陽菜はヘナヘナと座り込み、握り締めていた刀の柄から手を離す。刀は菖蒲とヨモギに戻り、陽菜の身を包んでいた光の鎧も消え去った。
「陽菜ァ、お前ェ凄ぇな!」
金太郎にどつかれ、陽菜はベシャッと地面に倒れる。疲労困憊している体では、金太郎のパワーに抗うなんて無理だ。
「もう、バカ力!」
陽菜が頬を膨らませて不満を口にすれば、金太郎は笑いながら謝り、手を引っ張って立ち上がらせてくれた。
「悪ぃな。興奮が収まらなくてよ」
「えへへ……私も。まだドキドキしてる」
高揚感が心地よい。
陽菜と金太郎が笑い合っていると、義経が屋根から飛び降りて来た。
「陽菜、大丈夫か! 怪我は?」
「怪我? どうってことないよ」
義経は陽菜が被っていた兜を外し、陽菜の頭と頬に手を添える。
「よく見せてみろ」
かすり傷ひとつ見逃すまいと、鳶色の瞳がスキャンするように、上から下までなぞっていく。
頬のかすり傷を見つけ、義経の表情が曇った。そして、瞬く間に怒りの形相となる。
「まったく、無茶をして! 怪我をしているではないかっ! コッチの世界でなにかあったら、親御さんや祖母殿に申し訳がない。金太郎殿から、隠れていろと言われただろう。なぜ大人しくしておけなかった」
義経の心配はもっともだ。だけど、陽菜には陽菜の主張がある。
「だって、私もなにかしたかった。助けたかったんだもん!」
「バカ者! 鍾馗様は悪疫退散の神。金太郎殿は、坂田金時と言って、源頼光殿や渡辺綱殿と一緒に酒呑童子を倒した強者(つわもの)だ。陽菜の助太刀なんぞ必要無かった!」
「で、でも……」
ガシャッという甲冑の音がしたかと思うと、陽菜は義経に抱きすくめられた。
「まったく……肝が冷えた」
耳元で聞こえる義経の囁き声から、怯えを感じ取る。それほどまでに心配をかけていたのかと、陽菜は素直に謝罪を口にした。
「ごめんなさい」
溜め息と共に義経は陽菜を解放し、ポンと頭に手を乗せる。
「無事でよかったよ」
陽菜が上目遣いに見上げると、義経は安堵の笑みを浮かべていた。
「瘴気を浄化していってくれたのは、陽菜ちゃんだろう? アレで、ヤツ等の力がどんどん弱まっていった。ありがとう。礼を言うぞ」
縄で雁字搦めにし、何枚も札を貼った小鬼を肩に担ぎながら、鍾馗が陽菜と義経の元へやって来た。
頭の後ろで手を組み、金太郎も「あぁ、助かったぜ」と、歯を見せて笑う。
「女にしとくのが惜しいくれぇ勇ましかったな」
「もぅ! カッコよくて強い女の人だって、いくらでも居るんだからね。そういう言い方しちゃダメなんだよ」
陽菜が怒ると、金太郎は「へいへい」とげんなりしながら答え、頭の後ろで組んでいた手を解いて腰に当てた。
「わぁったよゥ。悪かったな」
「分かればいいのよ」
陽菜と金太郎のやり取りを微笑ましく見守っていた鍾馗は「よいしょっ」と、小鬼を担ぎ直す。
「それじゃワシは、この小鬼を閉じ込めてくる」
「では、私は近辺の片付けだ」
「そんじゃ、オレが陽菜をアッチの世界に帰してくらァ」
鍾馗と義経と金太郎の間で、瞬く間に役割分担が決まる。
ナチュラルに、陽菜をアッチの世界に戻す段取りが成立してしまったみたいだ。
「え~もう帰らなきゃダメなの?」
陽菜が不満を口にすれば、当然だ! と、義経はキツめの口調で一刀両断する。
「コッチの世界は、長居していい場所じゃない。帰れなくなるぞ」
それでも、少しくらい自由時間はあってもいいはずだ。なぜなら陽菜は、ツクヨミのところに行きたいのだから。
だけど、言い出せるような雰囲気ではない。
鍾馗が髭を撫でながら、不思議そうに小首を傾げた。
「どうした、陽菜ちゃん。帰りたくない理由でもあるのか?」
「う~ん……帰りたくないわけじゃ、ないんだけど……」
煮え切らない態度の陽菜を見かね、金太郎は「ほら、行くぜ」と、陽菜の洋服の後ろ襟を掴む。
「ちょっと、やめてよ! 猫じゃないんだから」
「だったら、ちゃんと自分で歩け」
金太郎がパッと手を離したせいで、陽菜はバランスを崩す。反射的に、転ばないように体勢を立て直すと、手早く服の乱れを直した。
「陽菜ちゃん。またおいで、とは言わないよ」
「元気でな」
鍾馗と義経に見送られ、陽菜は後ろ髪を引かれる思いで「はい」と答える。
やはりどうしても、あの山に行けないことが心残りになっているのだ。
金太郎がフィ~ッと指笛を鳴らすと、どこからともなく黒い鯉幟が宙を泳いで来る。鯉幟の泳ぎ着く先を目で追っていると、陽菜の前にやって来た。
「さぁ、乗れ」
金太郎に促されるも、陽菜は驚きに目と口が大きく開く。
「えっ、鯉幟に乗るの?」
「あぁ、シッカリ掴まれよ。あ、義経~頼むわ。オレじゃ身長が足んなくて、陽菜を乗せらんねぇ」
金太郎に頼まれ、義経は陽菜の両脇の下に手を入れて持ち上げると、鯉幟の背に乗せた。
中は空洞のはずなのに、空気がパンパンに詰まっているようで、バランスボールにまたがっているみたいだ。
金太郎は跳躍して飛び乗ると、鯉幟のエラが描かれている部分に足を置いた。
「そんじゃ、行ってくるぜ」
「陽菜、さらばだ」
義経は、陽菜がコッチの世界へ来たときに被っていた兜を手渡す。
「ヘルメットの代わりに被っておけ」
「うん……ありがとう」
鯉幟がフヨフヨと、屋根の高さまで上昇する。
下を向くと、鍾馗と義経が、手を振ってくれている姿が見えた。
「バイバイ」
明るい空には、今にも消えそうな白い月が浮かんでいる。
(バイバイ、セツちゃん。ツクヨミ様……)
陽菜は心の中で別れを告げ、義経が渡してくれた兜を被る。
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