フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第5章 コーハ王国の近衛には、わがまま姫がいる。フィリス・ガランという子爵家子息。コーハ王国のイイ男を侍らせて、手玉にとっているらしいよ?

555.積極的な反逆行為も、消極的な反逆行為もある。攻撃せずに、本来するべき役割を果たさないだけ。怠惰と間違われやすいが、効果は絶大。

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「おかしなことを。自分で聞いただろうに。」
と本隊リーダーの若者。

「この場にいて、ボクの問いに何も返さなかったのは、キミだけよ?」
とフィリス。

「コーハ王国への忠誠を誓っただろう。」
と馬鹿にした口調の若者。

「キミは、コーハ王国への忠誠だけは、復唱したの。」
とフィリス。
「コーハ王国への忠誠は復唱したけど、ティリリ王国への忠誠は復唱しなかった。もしくは、出来なかった?」

「知っているかしら?
他国への忠誠を口に出来ないような制限はね、誓約を含めて、コーハ王国の近衛に対して一切かけていないの。」

「心理的抵抗があっても、ボクという上官の命令である以上、復唱を命じられたら、復唱しなければならない。」

「キミの内にあるものが、コーハ王国への忠誠だけなら、キミは復唱できた。」

本隊のリーダーの若者は身じろぎせずにフィリスを見ている。

サブリーは、話しに飽きたのか、そっぽを向いて離れていき、1人、魔導具で遊んでいる。

今や、フィリスと本隊リーダーの若者は注目の的。

「身柄を拘束する。」
フィリスの発言に伴い、サブリーは魔導具を2つ投げた。
1つは、本隊リーダーの若者の足元へ。
もう1つは若者の頭に音を立ててぶつかった。

アイツ、めちゃくちゃやり過ぎじゃないか?
という視線を浴びてもサブリーは動じない。


頭部への衝撃で若者が倒れ込む。
痛みのあまり、動けないようだ。
フィリスは、倒れ込んだ若者に自害防止措置を施して拘束する。

若者は、帰国後、取り調べが待っている。
若者のうちの侯爵家にも調査が入るだろう。

今回の外交、ティリリ王国での近衛交流会において。
本隊リーダーの若者は、ティリリ王国側に与することはなかった。

ティリリ王国側に与した者との違いは明らかだった。

では、コーハ王国の近衛としての働きはどうだったか?

近衛として交流は行っていた。

しかし、コーハ王国の近衛として何かをなしただろうか?

ティリリ王国におけるコーハ王国の近衛であるフィリスへの悪評を知っていて、近衛本隊の隊員達が便乗してティリリ王国側に口を滑らしていても、何もしていない。

積極的にコーハ王国へ損害を与えたり、攻撃を加えるようなことはしていない。

だが、ティリリ王国側に対しては何の働きかけもせず、部下の言動に対しては放置と容認。

一貫して消極的な姿勢をとることで、コーハ王国の近衛の貶めに貢献している。

近衛本隊のリーダーを務める若者が積極的に動いていれば、ティリリ王国側はともかく、若者の部下である近衛本隊の隊員達の未来はだいぶ変わったはずだ。

二心ありとされた隊員の多くは、若者より爵位が下であり、年齢は、10代後半から20代。

本隊のリーダーを預かる若者なら、二心ありと判明した近衛の未来を知らないわけがない。

コーハ王国の近衛の数を減らすというのが若者の目的なら、早速達成できそうだ。

サブリーは、ユージュアルの反対側に向かっていき、色の変わった近衛達を挟む位置につく。
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