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第4章 学生色々。学校でのトラブルって、避けられるものと、避けられないものがあるんだよね。

79.職分ってあるよね?侍女と秘書は違うよね?

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秘書がナユカのところへ戻ってきた。

「来週の空いている時間と聞いたあちら様が、至急の意味が理解できないのか、と口論に発展していました。追い返しますか?」
と秘書。

「待って。バネッサは、今まで私を困らせたりしなかった。至急の用件を聞いてから、判断するわ。」
ナユカは、秘書を送り出す。

先程より、少し扉を広めに開けて、声に集中する。

誰も声を荒げることがなかったために、話し声は聞こえるが、内容は聞こえない。

ナユカは、諦めて、秘書を待った。

戻ってきた秘書は言った。
「至急話し合いが必要な心当たりがナユカ様にはあるだろう?とのことですが、ナユカ様、いかがですか?」

「全くないわ。本当に、そう言っているの。」
ナユカは困惑した。

「追い返しますか?」

「待って。待って。仕事以外の話をしたのは、バネッサが初めてなの。バネッサは、仕事以外の話ができる相手なの。」

秘書は、黙っている。
今まで静かに見守っていた侍女が言った。
「短い時間で、用件のみの伝達でよろしければ、とバネッサ様へお伝えしては?バネッサ様の侍女は、ナユカ様に心当たりがあることだと伝えてきています。バネッサ様は、バネッサ様の看過できない何かがナユカ様に原因があるとお考えになっているのでしょう。」

「私は、バネッサに迷惑なんてかけていないわよ。」
ナユカは、唇を震わせた。

さっきまで、浮き足立っていた気持ちは、あっという間に、地の底へ。

「バネッサ様がナユカ様を誤解されているのは残念ですが、バネッサ様が、ナユカ様を誤解する状況に置かれているということが問題です。」
と侍女。

「バネッサ様には、困ったときに相談する相手がナユカ様以外にいらっしゃらないので、ナユカ様に八つ当たりされているのかもしれません。」
侍女の言葉に、ナユカは目から鱗が落ちた。

「そうね。バネッサの誤解を解くわ。私は、寮の部屋で仕事をしていたのだし、バネッサを困らせることは何もしていないんだから。」
ナユカは、元気を取り戻した。

ナユカは、秘書に、短時間で用件を聞くだけになるが、すぐ会うと伝えるように指示した。

秘書が出ていく。

「用件を聞くだけになるかは、こちらの話を聞いてから、判断される方が懸命ですよ。」
ナユカの侍女でも秘書でもない声が聞こえた。
その声は、抑えた怒りを含んでいた。
その発言の後すぐに、扉が閉まり、3人の女性が立ち去る音がした。
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