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第5章 丸付けは、全部終わってからだよ?後手に回ったからって、それが何?
99.外患誘致罪。
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「アレックスの状況の変わり様から、考えてみようよ。」
とキャスリーヌ。
「コーハ王国でのアレックスは。
家の期待に応えられない上に、
国が用意した縁談を潰し、
貴族社会に居場所がなく、
貴族として生きていくのが難しいなら、と親から平民への道を勧められている。
ニンデリー王国では。
ニンデリーの王太子と仲良しで、女の子から大人気。
天と地程の差があるよね?」
「オッドア家に生まれたのが、よっぽど合わなかったの?」
とバネッサ。
「違うよ、バネッサ。
アレックス本人と貴族の常識が変わらない。
それなのに、周囲の環境が正反対になったのは、理由があるよ?」
とキャスリーヌ。
「理由。」
繰り返すバネッサ。
「理由がなかったら、ニンデリー王国でも、大きく状況は変わらなかったよ?」
とキャスリーヌ。
「正反対の環境を作ったの?」
とバネッサ。
「そういうこと。」
正解、と笑うキャスリーヌ。
「何のために?」
と呟くバネッサ。
マーゴットとキャスリーヌは、バネッサが答えにたどり着くのを待つ。
「兄の口から、オッドア伯爵家の内情を知るため?」
恐る恐る切り出しながら、でも、疑いようがない、という覚悟をしたバネッサ。
「オッドア伯爵家の内情だけ、とは限らない。
婚約者のことも。
隣国との関係も。
コーハ王国の内情も。
休みの度に帰省して、伯爵家に滞在していれば。
ある程度の情報は集められるわ。
当主の次男に隠し事をすることでなければ。」
バネッサは、わたしの言わんとするところを理解した。
「女の子に人気じゃなく、ハニートラップに気づいていなかったんだと思うわ。
ニンデリー王国が、アレックスの願望を叶えて、アレックスの自尊心をくすぐることに成功した結果。
アレックスの心の拠り所は、ニンデリー王国とニンデリー王太子になったからこそ、妹のバネッサの情報を話すことも、妹を売ることも、アレックスは、率先して動いた。
アレックスの動機は、『王太子は友達だから。』」
バネッサは、すとんと結論をたどり着いた。
「兄は、外患誘致罪。死刑一択ね。」
とキャスリーヌ。
「コーハ王国でのアレックスは。
家の期待に応えられない上に、
国が用意した縁談を潰し、
貴族社会に居場所がなく、
貴族として生きていくのが難しいなら、と親から平民への道を勧められている。
ニンデリー王国では。
ニンデリーの王太子と仲良しで、女の子から大人気。
天と地程の差があるよね?」
「オッドア家に生まれたのが、よっぽど合わなかったの?」
とバネッサ。
「違うよ、バネッサ。
アレックス本人と貴族の常識が変わらない。
それなのに、周囲の環境が正反対になったのは、理由があるよ?」
とキャスリーヌ。
「理由。」
繰り返すバネッサ。
「理由がなかったら、ニンデリー王国でも、大きく状況は変わらなかったよ?」
とキャスリーヌ。
「正反対の環境を作ったの?」
とバネッサ。
「そういうこと。」
正解、と笑うキャスリーヌ。
「何のために?」
と呟くバネッサ。
マーゴットとキャスリーヌは、バネッサが答えにたどり着くのを待つ。
「兄の口から、オッドア伯爵家の内情を知るため?」
恐る恐る切り出しながら、でも、疑いようがない、という覚悟をしたバネッサ。
「オッドア伯爵家の内情だけ、とは限らない。
婚約者のことも。
隣国との関係も。
コーハ王国の内情も。
休みの度に帰省して、伯爵家に滞在していれば。
ある程度の情報は集められるわ。
当主の次男に隠し事をすることでなければ。」
バネッサは、わたしの言わんとするところを理解した。
「女の子に人気じゃなく、ハニートラップに気づいていなかったんだと思うわ。
ニンデリー王国が、アレックスの願望を叶えて、アレックスの自尊心をくすぐることに成功した結果。
アレックスの心の拠り所は、ニンデリー王国とニンデリー王太子になったからこそ、妹のバネッサの情報を話すことも、妹を売ることも、アレックスは、率先して動いた。
アレックスの動機は、『王太子は友達だから。』」
バネッサは、すとんと結論をたどり着いた。
「兄は、外患誘致罪。死刑一択ね。」
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