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第5章 丸付けは、全部終わってからだよ?後手に回ったからって、それが何?

120.転生貴族令嬢レベッカ・ショア。観客と演者が出揃った劇場で、台本を手掛けたのは?

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私は、ラストの彼女が、私の前に立っている意味が分からない、と思った。

最初は、昨日の嫌がらせの続きかと思ったんだけど。

前世の意識に、ラストの彼女が嫌われ者と認識されていると聞いてから、私の中で、ラストの彼女を見る目が変わった。

ラストの彼女は、わざわざ私に嫌がらせを言うために、近づいてきたかと、臨戦態勢になっていた私。

最初は、何も思わなかった。

でも。

昨日のラストの彼女に比べて、言葉に勢いがない。

昨日の彼女は、言葉を選ぶことなんてしなかった。

だけど、今日は、心からの叫びをぶつけてきていない。

ラストの彼女から言われたことに、腹は立つ。
でも、昨日より痛くない。

昨日のが、全力のグーパンチだとしたら。
今日は、力の抜けた平手打ち。

昨日と同じようなことを繰り返しているけれど、心がこもっていない。

前世の意識も、考えあぐねている。
『マウントをとるだけなら、昨日十分とった。』

『今日も、マウントをとるだけなら、学園ですればいい。』

『今みたいな、大勢の前での、単独行動は、本来しないタイプでは?
ラストの彼女の今までの行動パターンを振り返る。
話しかけてくるときは、いつも、人目につかないところ。かつ、単独行動。』

考えているうちに、勢いがそがれた。
ラストの彼女に対して色々言いたい気持ちが、良く分からなくなってしまった。

『喉に小骨がひっかかったような、スッキリしない感じがしている。』
と前世の記憶。

『ギャラリーと化したご令嬢と侍女達。』

『ギャラリーのど真ん中で、繰り広げられるご令嬢同士の口論。』

『明らかに舞台に引き上げられて、演じさせられて。』

『見世物にされているのは確か。』

私と、前世の意識は、結論を出せずに悩んでいた。

急に。
パンパン、と手を打ち鳴らす音がした。

音の方を見ると、寮の職員が、手を叩いて、音を出していた。

今頃、何を?
出てくるのが、遅くない?

寮の女子学生同士の口論をぼけっと見ているのが、仕事?

口論になる前に、引き離したりしないの?

口論が起きてから、引き離す意味なんて、なくない?
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