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第5章 丸付けは、全部終わってからだよ?後手に回ったからって、それが何?
143.バネッサの侍女トゥーミラの正体。『バネッサに侍女を、と要請したのは、誰だった?要請した相手は誰だった?バネッサと侍女の関係性は?』
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「アレックスの子飼いは、後がない女性使用人。」
とキャスリーヌ。
「平民の女性限定だよね?」
「コーハ王国の貴族の男女は、アレックス様を相手にしませんし、アレックス様も近寄りません。平民の男性にとって、アレックス様は、良い上司ではないので、近寄りません。平民女性の一部だけ、です。」
とトゥーミラ。
「なるほど。貴女の主君は?」
とマーゴット。
「私は、バネッサ様ですよー。」
とトゥーミラ。
バネッサが、トゥーミラを見遣る。
「貴女は、主君の役に立つために、誰に、何を話すべきか、おさえている。」
とマーゴット。
「バネッサの侍女は、バネッサを押し上げる侍女ね。」
とマーゴット。
マーゴットもキャスリーヌもバネッサも、トゥーミラが、オッドア伯爵家と伯爵家の次男アレックスについて、暴露した意味を理解している。
トゥーミラは、オッドア伯爵家が、岐路に立っているとみて、次の当主に、自らの主君としてバネッサを推している。
軽い調子に、本音を織り交ぜながら、世界有数の資産家で発言力のある、ガラン子爵家とベイモン男爵家の娘であるマーゴットとキャスリーヌに交渉を持ちかけているのだ。
マーゴットとキャスリーヌは、合点がいった。
バネッサの侍女トゥーミラの正体に。
思い返そう。
コーハ王国を出る間際。
国境で、バネッサの使用人が1人もいないまま、ニンデリー王国へ入国するのを避けるために、バネッサにバネッサが信用できる使用人を寄越すように、要請したのは、マーゴット。
マーゴットが、要請した相手は、コーハ王国の内政担当であり、コーハ王国の王太子殿下の側近を兄に持つ公爵家次男。
バネッサの侍女トゥーミラは、マーゴットの要請通り、ニンデリー王国の入国に間に合うように追いついた。
バネッサとトゥーミラは、オッドア伯爵家でも、主従関係にあり、トゥーミラは、よく喋るが、バネッサの信頼を得ているのが分かったから、マーゴットは介入しなかった。
マーゴットもキャスリーヌも、この時点で、トゥーミラの正体に勘づいても良かったのだ。
完全にスルーしていたが。
今日、トゥーミラ自身が語った内容を捕捉していく。
トゥーミラは、バネッサの侍女だが、古参の使用人とも、新参の使用人とも繋がりがある。
トゥーミラは、コーハ王国の男爵家のご令嬢で、オッドア伯爵家に就職したのは、条件が決め手。
バネッサは、まだ気づいていないだろう。
トゥーミラには、内政担当の息がかかっている。
国がオッドア伯爵家に遣わした内偵だ。
バネッサに、バネッサが信用している侍女を寄越せと要請して、内政担当は、国がオッドア伯爵家に出していた内偵トゥーミラを戻し、ニンデリー王国へ行くバネッサにつけた。
オッドア伯爵家を内偵した結果。
国は、オッドア伯爵家の現状維持をよしとしない、と結論を出したと推測できる。
内偵の結果、オッドア伯爵家は、バネッサを次代にと定めた。
内政担当が内々で調整しているのだろう。
しかし。
アレックスの外患誘致罪が状況証拠にとどまらず、きっちり物証が揃えられる結果になれば、また未来は変わってくる。
オッドア伯爵家は、一族郎党、死刑、一択。
少しばかり、マーゴットが気にする方向が増える。
物証がなく、状況証拠さえもあやふやな状態だからこそ、バネッサの救済計画は立てやすかった。
マーゴットの立てた計画は以下の通り。
オッドア伯爵家は、アレックスと現オッドア伯爵を捨てる。
アレックスの外患誘致罪を成立させる要素を全部潰す。
コーハ王国の利になる要素をニンデリー王国から引きずり出す。
この3点をクリアして、国との交渉に臨めば、バネッサの人生の自由度が高くなると、見込んでいた。
既に、国が、バネッサを次代に、と動いているならば、そこに乗っかりながら、アレックスの外患誘致罪をぶっ潰していく必要がある。
外患誘致罪の疑惑でさえも、出てこないように。
国の内偵が入った状態での代替わりとなると、バネッサは、直轄地の代官という可能性がある。
直轄地の代官では、マーゴットやキャスリーヌの友達として、立場が弱い。
成人してからも、3人が友達付き合いを続けていくなら、バネッサには、領地持ちの貴族家の当主の地位がほしいところだ。
そのくらいの地位がなければ、マーゴットやキャスリーヌと直接会うことも、連絡をとることも難しくなる。
互いの安全のために。
マーゴットは、自分の気持ちを犠牲にするのは、主義ではない。
マーゴットは、バネッサと大人になってからも友達付き合いがしたい。
バネッサと友達でいたいのは、マーゴット。
ならば、答えは1つ。
国の思惑に乗りながら、国の思惑に流されないようにする。
バネッサが肩身の狭い思いをしないように、バネッサに有利な条件で、バネッサをオッドア伯爵家の当主の座に就かせることにしよう。
マーゴットは、マーゴットの楽しい未来のために、計画を練り直す。
とキャスリーヌ。
「平民の女性限定だよね?」
「コーハ王国の貴族の男女は、アレックス様を相手にしませんし、アレックス様も近寄りません。平民の男性にとって、アレックス様は、良い上司ではないので、近寄りません。平民女性の一部だけ、です。」
とトゥーミラ。
「なるほど。貴女の主君は?」
とマーゴット。
「私は、バネッサ様ですよー。」
とトゥーミラ。
バネッサが、トゥーミラを見遣る。
「貴女は、主君の役に立つために、誰に、何を話すべきか、おさえている。」
とマーゴット。
「バネッサの侍女は、バネッサを押し上げる侍女ね。」
とマーゴット。
マーゴットもキャスリーヌもバネッサも、トゥーミラが、オッドア伯爵家と伯爵家の次男アレックスについて、暴露した意味を理解している。
トゥーミラは、オッドア伯爵家が、岐路に立っているとみて、次の当主に、自らの主君としてバネッサを推している。
軽い調子に、本音を織り交ぜながら、世界有数の資産家で発言力のある、ガラン子爵家とベイモン男爵家の娘であるマーゴットとキャスリーヌに交渉を持ちかけているのだ。
マーゴットとキャスリーヌは、合点がいった。
バネッサの侍女トゥーミラの正体に。
思い返そう。
コーハ王国を出る間際。
国境で、バネッサの使用人が1人もいないまま、ニンデリー王国へ入国するのを避けるために、バネッサにバネッサが信用できる使用人を寄越すように、要請したのは、マーゴット。
マーゴットが、要請した相手は、コーハ王国の内政担当であり、コーハ王国の王太子殿下の側近を兄に持つ公爵家次男。
バネッサの侍女トゥーミラは、マーゴットの要請通り、ニンデリー王国の入国に間に合うように追いついた。
バネッサとトゥーミラは、オッドア伯爵家でも、主従関係にあり、トゥーミラは、よく喋るが、バネッサの信頼を得ているのが分かったから、マーゴットは介入しなかった。
マーゴットもキャスリーヌも、この時点で、トゥーミラの正体に勘づいても良かったのだ。
完全にスルーしていたが。
今日、トゥーミラ自身が語った内容を捕捉していく。
トゥーミラは、バネッサの侍女だが、古参の使用人とも、新参の使用人とも繋がりがある。
トゥーミラは、コーハ王国の男爵家のご令嬢で、オッドア伯爵家に就職したのは、条件が決め手。
バネッサは、まだ気づいていないだろう。
トゥーミラには、内政担当の息がかかっている。
国がオッドア伯爵家に遣わした内偵だ。
バネッサに、バネッサが信用している侍女を寄越せと要請して、内政担当は、国がオッドア伯爵家に出していた内偵トゥーミラを戻し、ニンデリー王国へ行くバネッサにつけた。
オッドア伯爵家を内偵した結果。
国は、オッドア伯爵家の現状維持をよしとしない、と結論を出したと推測できる。
内偵の結果、オッドア伯爵家は、バネッサを次代にと定めた。
内政担当が内々で調整しているのだろう。
しかし。
アレックスの外患誘致罪が状況証拠にとどまらず、きっちり物証が揃えられる結果になれば、また未来は変わってくる。
オッドア伯爵家は、一族郎党、死刑、一択。
少しばかり、マーゴットが気にする方向が増える。
物証がなく、状況証拠さえもあやふやな状態だからこそ、バネッサの救済計画は立てやすかった。
マーゴットの立てた計画は以下の通り。
オッドア伯爵家は、アレックスと現オッドア伯爵を捨てる。
アレックスの外患誘致罪を成立させる要素を全部潰す。
コーハ王国の利になる要素をニンデリー王国から引きずり出す。
この3点をクリアして、国との交渉に臨めば、バネッサの人生の自由度が高くなると、見込んでいた。
既に、国が、バネッサを次代に、と動いているならば、そこに乗っかりながら、アレックスの外患誘致罪をぶっ潰していく必要がある。
外患誘致罪の疑惑でさえも、出てこないように。
国の内偵が入った状態での代替わりとなると、バネッサは、直轄地の代官という可能性がある。
直轄地の代官では、マーゴットやキャスリーヌの友達として、立場が弱い。
成人してからも、3人が友達付き合いを続けていくなら、バネッサには、領地持ちの貴族家の当主の地位がほしいところだ。
そのくらいの地位がなければ、マーゴットやキャスリーヌと直接会うことも、連絡をとることも難しくなる。
互いの安全のために。
マーゴットは、自分の気持ちを犠牲にするのは、主義ではない。
マーゴットは、バネッサと大人になってからも友達付き合いがしたい。
バネッサと友達でいたいのは、マーゴット。
ならば、答えは1つ。
国の思惑に乗りながら、国の思惑に流されないようにする。
バネッサが肩身の狭い思いをしないように、バネッサに有利な条件で、バネッサをオッドア伯爵家の当主の座に就かせることにしよう。
マーゴットは、マーゴットの楽しい未来のために、計画を練り直す。
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