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第7章 使用人を帯同しない女子寮の秘密
281.シグル・ドレマンとキリル。キリルとマーゴット。
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「今のは、なんだ?」
と不思議がるシグル・ドレマン。
切り裂き男キリルは、顔を上げて、瞠目している。
「そのお年で、誓約を使いこなしていらっしゃる。」
とキリル。
誓約は、古くからある縛りの一つ。
魔法体系とは、別のもの。
誓約の言葉は、有形無形の縛りとなり、誓った人間を支配する。
マーゴットという少女は、金の卵どころではない。
この少女の配下を選んだのは英断だった。
と、キリルは噛みしめる。
しかし。
キリルが感動にひたる時間は続かなかった。
「わたしの配下となったからには、これまで以上に身辺には気を配りなさい。」
とマーゴット。
「どういうことだ?もう、安心なんじゃないのか?」
と医者。
キリルが仕えている主人シグルは、色々足りない。
シグルがあまりに足りないため、キリルだけでは、手が回らず、人が集まって、シグルを支えるようになった。
結果的に、周りの人間が、シグルを生かしてきたわけだが。
シグル自身に、ポカをやらかす自覚がないので、無自覚のうちに、権力者相手に不興をかうこととなった。
これまでは、ニンデリー王国の貴族として、王家の不興をかっても、シグル・ドレマンの命まではとられなかった。
しかし。
マーゴットという少女は、配下の怠惰と怠慢を許さない気質だ。
キリルは、色々足りない主人の再教育に本腰を入れると決めた。
まずは、今を乗り切らなくては。
主人がポカをやらかす前に、キリルが話を進めていかないと。
「シグル・ドレマン。
シグル・ドレマンとその身内は、シグル・ドレマンの取り巻く環境と決断を知っている。
他の人間は、シグル・ドレマンが、わたしに忠誠を誓った経緯を知らない。
国を出る前に、反逆で処刑されたら、わたしについてこれないわ。
わたしは、死体を連れていかない。」
とマーゴット。
「承知いたしました。」
とキリル。
「そう。青の目出し帽をかぶった子どもが使っていた刀を回収しがてら、建物内で話をするわ。
そこが一番、話せるわね?」
とマーゴット。
「ただちに準備します。」
とキリル。
「青の目出し帽と黄色の目出し帽は、まだ脱がせない。貴族だから。」
とマーゴット。
「心得ました。」
とキリル。
「ベリーベリー・イニーの母親と青の目出し帽も、建物内に、移動させる。
ベリーベリー・イニーの家には、見張りを立て、監視を。捕縛はしない。
いつ、どこから、どんな人物が、何人きたか、どれくらい滞在して帰っていったか、そういう報告を適宜、あげてきなさい。
人員の采配は、任せる。
報告は、同時に聞くわ。
緊急で、間に合わない場合は、キリルから、わたしに連絡してきなさい。
シグル・ドレマンでは、分かりやすくすぎて、反逆罪一直線。」
とマーゴット。
「肝に命じます。」
とキリル。
と不思議がるシグル・ドレマン。
切り裂き男キリルは、顔を上げて、瞠目している。
「そのお年で、誓約を使いこなしていらっしゃる。」
とキリル。
誓約は、古くからある縛りの一つ。
魔法体系とは、別のもの。
誓約の言葉は、有形無形の縛りとなり、誓った人間を支配する。
マーゴットという少女は、金の卵どころではない。
この少女の配下を選んだのは英断だった。
と、キリルは噛みしめる。
しかし。
キリルが感動にひたる時間は続かなかった。
「わたしの配下となったからには、これまで以上に身辺には気を配りなさい。」
とマーゴット。
「どういうことだ?もう、安心なんじゃないのか?」
と医者。
キリルが仕えている主人シグルは、色々足りない。
シグルがあまりに足りないため、キリルだけでは、手が回らず、人が集まって、シグルを支えるようになった。
結果的に、周りの人間が、シグルを生かしてきたわけだが。
シグル自身に、ポカをやらかす自覚がないので、無自覚のうちに、権力者相手に不興をかうこととなった。
これまでは、ニンデリー王国の貴族として、王家の不興をかっても、シグル・ドレマンの命まではとられなかった。
しかし。
マーゴットという少女は、配下の怠惰と怠慢を許さない気質だ。
キリルは、色々足りない主人の再教育に本腰を入れると決めた。
まずは、今を乗り切らなくては。
主人がポカをやらかす前に、キリルが話を進めていかないと。
「シグル・ドレマン。
シグル・ドレマンとその身内は、シグル・ドレマンの取り巻く環境と決断を知っている。
他の人間は、シグル・ドレマンが、わたしに忠誠を誓った経緯を知らない。
国を出る前に、反逆で処刑されたら、わたしについてこれないわ。
わたしは、死体を連れていかない。」
とマーゴット。
「承知いたしました。」
とキリル。
「そう。青の目出し帽をかぶった子どもが使っていた刀を回収しがてら、建物内で話をするわ。
そこが一番、話せるわね?」
とマーゴット。
「ただちに準備します。」
とキリル。
「青の目出し帽と黄色の目出し帽は、まだ脱がせない。貴族だから。」
とマーゴット。
「心得ました。」
とキリル。
「ベリーベリー・イニーの母親と青の目出し帽も、建物内に、移動させる。
ベリーベリー・イニーの家には、見張りを立て、監視を。捕縛はしない。
いつ、どこから、どんな人物が、何人きたか、どれくらい滞在して帰っていったか、そういう報告を適宜、あげてきなさい。
人員の采配は、任せる。
報告は、同時に聞くわ。
緊急で、間に合わない場合は、キリルから、わたしに連絡してきなさい。
シグル・ドレマンでは、分かりやすくすぎて、反逆罪一直線。」
とマーゴット。
「肝に命じます。」
とキリル。
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