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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。
382.互いに対処できない、攻撃を繰り出すと?
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しまった!
チェール・モンスは、己の失敗を悟った。
体を動かせなくても、魔力持ちは魔法を使える。
チェール・モンスは、自身に魔力がないため、魔法を使う攻撃がくることに思い至らなかった。
ニンデリー王国の中にいて、ニンデリー王国の王太子殿下の子飼い扱いされているチェール・モンスに、魔法で攻撃してくる大人はいない。
チェール・モンスは、呪術で情報を集めたり、実験したりすることはあっても、直接、呪術で人を攻撃したことはなかった。
それに、大人の男が、どこの誰だか、分からないまま呪術をつかうことになったから、重要人物だと後で判明したときのために、直接的な危害を加えたらいけないと、チェール・モンスは思った。
魔力なしの平民だと知れ渡っているチェール・モンスが、ニンデリー王国の重要人物に呪術を使ったと知られたら?
呪術に対しては、寛容とは言い難い風潮のニンデリー王国。
チェール・モンスのせいで王太子殿下の立場が悪くなってしまう。
シグル・ドレマンに向けたチェール・モンスの呪術は、シグル・ドレマンの体の動きを鈍らせて、動き辛くするというものになった。
チェール・モンスは、予備動作もなく、呪術を使ったが、問題なくシグル・ドレマンの動きを阻害することに成功した。
動き辛くなったシグル・ドレマンが、動きを止めるまでは、チェール・モンスの計算通り。
ただ、攻撃に慣れていないチェール・モンスは、反撃される可能性を考えていなかった。
シグル・ドレマンは、反撃だのなんだの小難しいことは考えていない。
体が動き辛い。
目の前にいる男子学生が、シグル・ドレマンに何かをした。
案内せずに、何をしやがる?
シグル・ドレマンは、チェール・モンスが、案内役を果たさず、余計なことをしでかしたので、余計なことを止めさせて、案内役を続けさせようと考えていた。
だから、チェール・モンスは、魔法で釣り上げられる程度で済んでいる。
チェール・モンスのことは、躾のなっていない、生意気な子どもくらいに、シグル・ドレマンは考えている。
躾のなっていない悪ガキには、言葉より先にゲンコツで、悪さを止めさせないといけない。
シグル・ドレマンが話をするのは、悪ガキが悪さを止めてからだ。
シグル・ドレマンは、チェール・モンスを釣り上げた状態のまま、部屋に案内させるのが、一番早いと思った。
部屋の扉は、シグル・ドレマンが開ければいい。
シグル・ドレマンは、チェール・モンスを釣り上げたまま、階段を上ろうとする。
チェール・モンスは、焦った。
シグル・ドレマンが、何を考えているのか、全く分からない。
しかも、シグル・ドレマンは、階段を上ろうとしている。
チェール・モンスの呪術がかかったままの体をゆっくりゆっくり動かすシグル・ドレマン。
チェール・モンスは、釣り上げたまま。
チェール・モンスがこんな状態なのに、シグル・ドレマンを階上に行かせる?
ダメだ。
シグル・ドレマンは、チェール・モンスとシグル・ドレマンの状態を誇示して、チェール・モンスや、他の誰かに、何か途轍もないことを要求してくるんじゃないだろうか?
そんな事態は、避けなくては。
チェール・モンスは、シグル・ドレマンから逃げようとしたが、魔力と魔法がよく分からないチェール・モンスでは、糠に釘。
空中で暴れたら、魔法で、シグル・ドレマンに拘束されてしまったチェール・モンス。
呪術を使おうにも、シグル・ドレマンが警戒しているために、ちょうどいいタイミングがない。
チェール・モンスは、自身の判断の甘さに歯噛みした。
チェール・モンスのチャンスは、シグル・ドレマンが、階段を上りきったタイミングでやってきた。
シグル・ドレマンは、緩慢な動作で、廊下の左右に意識を向けた。
今だ!
チェール・モンスは、呪術を使った。
先程よりも、強力なものをシグル・ドレマンに向ける。
シグル・ドレマンの体は、動きを止めて、ばたーん、と床に倒れた。
やった!
チェール・モンスが勝利を確信したのは束の間の出来事だった。
すぐにドサッと大きな音がした。
チェール・モンスの体は、シグル・ドレマン同様、床にぺたーんとくっついていた。
そんな!
慌てるチェール・モンスにシグル・ドレマンは、話しかけた。
「話のできる部屋があるだろう?早く、案内しろ。」
とシグル・ドレマン。
チェール・モンスは、己の失敗を悟った。
体を動かせなくても、魔力持ちは魔法を使える。
チェール・モンスは、自身に魔力がないため、魔法を使う攻撃がくることに思い至らなかった。
ニンデリー王国の中にいて、ニンデリー王国の王太子殿下の子飼い扱いされているチェール・モンスに、魔法で攻撃してくる大人はいない。
チェール・モンスは、呪術で情報を集めたり、実験したりすることはあっても、直接、呪術で人を攻撃したことはなかった。
それに、大人の男が、どこの誰だか、分からないまま呪術をつかうことになったから、重要人物だと後で判明したときのために、直接的な危害を加えたらいけないと、チェール・モンスは思った。
魔力なしの平民だと知れ渡っているチェール・モンスが、ニンデリー王国の重要人物に呪術を使ったと知られたら?
呪術に対しては、寛容とは言い難い風潮のニンデリー王国。
チェール・モンスのせいで王太子殿下の立場が悪くなってしまう。
シグル・ドレマンに向けたチェール・モンスの呪術は、シグル・ドレマンの体の動きを鈍らせて、動き辛くするというものになった。
チェール・モンスは、予備動作もなく、呪術を使ったが、問題なくシグル・ドレマンの動きを阻害することに成功した。
動き辛くなったシグル・ドレマンが、動きを止めるまでは、チェール・モンスの計算通り。
ただ、攻撃に慣れていないチェール・モンスは、反撃される可能性を考えていなかった。
シグル・ドレマンは、反撃だのなんだの小難しいことは考えていない。
体が動き辛い。
目の前にいる男子学生が、シグル・ドレマンに何かをした。
案内せずに、何をしやがる?
シグル・ドレマンは、チェール・モンスが、案内役を果たさず、余計なことをしでかしたので、余計なことを止めさせて、案内役を続けさせようと考えていた。
だから、チェール・モンスは、魔法で釣り上げられる程度で済んでいる。
チェール・モンスのことは、躾のなっていない、生意気な子どもくらいに、シグル・ドレマンは考えている。
躾のなっていない悪ガキには、言葉より先にゲンコツで、悪さを止めさせないといけない。
シグル・ドレマンが話をするのは、悪ガキが悪さを止めてからだ。
シグル・ドレマンは、チェール・モンスを釣り上げた状態のまま、部屋に案内させるのが、一番早いと思った。
部屋の扉は、シグル・ドレマンが開ければいい。
シグル・ドレマンは、チェール・モンスを釣り上げたまま、階段を上ろうとする。
チェール・モンスは、焦った。
シグル・ドレマンが、何を考えているのか、全く分からない。
しかも、シグル・ドレマンは、階段を上ろうとしている。
チェール・モンスの呪術がかかったままの体をゆっくりゆっくり動かすシグル・ドレマン。
チェール・モンスは、釣り上げたまま。
チェール・モンスがこんな状態なのに、シグル・ドレマンを階上に行かせる?
ダメだ。
シグル・ドレマンは、チェール・モンスとシグル・ドレマンの状態を誇示して、チェール・モンスや、他の誰かに、何か途轍もないことを要求してくるんじゃないだろうか?
そんな事態は、避けなくては。
チェール・モンスは、シグル・ドレマンから逃げようとしたが、魔力と魔法がよく分からないチェール・モンスでは、糠に釘。
空中で暴れたら、魔法で、シグル・ドレマンに拘束されてしまったチェール・モンス。
呪術を使おうにも、シグル・ドレマンが警戒しているために、ちょうどいいタイミングがない。
チェール・モンスは、自身の判断の甘さに歯噛みした。
チェール・モンスのチャンスは、シグル・ドレマンが、階段を上りきったタイミングでやってきた。
シグル・ドレマンは、緩慢な動作で、廊下の左右に意識を向けた。
今だ!
チェール・モンスは、呪術を使った。
先程よりも、強力なものをシグル・ドレマンに向ける。
シグル・ドレマンの体は、動きを止めて、ばたーん、と床に倒れた。
やった!
チェール・モンスが勝利を確信したのは束の間の出来事だった。
すぐにドサッと大きな音がした。
チェール・モンスの体は、シグル・ドレマン同様、床にぺたーんとくっついていた。
そんな!
慌てるチェール・モンスにシグル・ドレマンは、話しかけた。
「話のできる部屋があるだろう?早く、案内しろ。」
とシグル・ドレマン。
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