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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

383.権力者が、使うには、権力者自身の能力が高くないと使いづらい人材って、いるよね?

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ブレない男、シグル・ドレマン。
メゲない男、シグル・ドレマン。

命に、別状なしなら、何にも怖がることはない。

初志貫徹の男、シグル・ドレマン。

シグル・ドレマンは、チェール・モンスが、会ったことがない大人だった。

王太子殿下の周囲には、シグル・ドレマンのようなタイプはいない。

現状のシグル・ドレマンは、トップに立たせるには、問題ありだが、権力者が使うには、便利に使えなくもない。

シグル・ドレマンのようなタイプは、専門分野には、抜きん出た能力を発揮する。

調査や研究に一枚噛ませておけば、成果を期待できる。

ただ、周りと折り合いはつけないタイプだから、シグル・ドレマンには、研究成果を出すこと以上に、口を開かせないようにしなくてはならない。

ニンデリー王国の王太子とその周囲が、シグル・ドレマンを遠ざけたのは、単純明快。

シグル・ドレマンが成果を出す以上に、立場を弁えずに口を出すと知ったから。

用済みな上に、鬱陶しくなったシグル・ドレマンは、肩たたきをされた。

シグル・ドレマンは、自分に対等に接してくる王太子に、歓喜して、忠誠を捧げ、王太子の頼みを聞いて色々調べたが、調べた結果を報告する以上に、王太子とその周囲が聞きたくないことを話していた。

シグル・ドレマンにとっては、忠誠を捧げ、対等に話ができる王太子とお話している感覚だったため、己の言動を顧みることはなかった。

王太子サイドにとっては、王太子が少し声をかけて、頼み事をしたくらいで、臣下の立場を弁えなくなり、王太子と対等であるかのように振る舞う勘違い男、というのがシグル・ドレマン評だ。

チェール・モンスが、シグル・ドレマンの名前を知らないのは、王太子も含めて、誰もシグル・ドレマンについて話したくないから。

しかし、チェール・モンスも、シグル・ドレマンも、互いの事情は知らない。

出会いから、今まで王太子の子飼いのチェール・モンス。

出会った頃は、重宝されたが、今は王太子に敬遠されているシグル・ドレマン。

王太子を挟んで、正反対の立ち位置にいる二人。

「いつまで、このままでいる気だ。」
とシグル・ドレマン。

「お前が、俺の体を元に戻さない限り、俺は、お前を元に戻さない。」

シグル・ドレマンは、命に別状なしなので、強気。

「いつまで、廊下に寝ているつもりだ。早く、部屋に行くぞ。」
とシグル・ドレマン。

返事をしないチェール・モンス。

シグル・ドレマンは、なんでもないように、チェール・モンスにとっての爆弾発言を繰り出した。

「お前が、俺に使ったのは、魔法じゃないな?」
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