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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

484.名案をひねり出さんとすると迷走するのは、頭が正常に働いているから。『夜だよ。起きる時間だよー。』

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男子学生をどうやって起こすか?

それが問題だ。

「大きな音でびっくりさせる?」
とレベッカ・ショア。

「今、大きな音を出すと、大きな音に驚くのは、男子学生だけじゃなくなるから。
夜中に、大きな音を鳴らすのは、最終手段で。」
と前世の意識。

「男子学生の顔に蓋してみる?
息苦しくなったら、男子学生は目を覚ます?」
とレベッカ・ショア。

「永眠するかもしれないから、別の手段で。」
と前世の意識は却下した。

「男子学生の顔面を叩く?」
とレベッカ・ショア。

「起きるだろうけれど、起きた瞬間に、男子学生に叩き返される。」
と前世の意識。

「力いっぱい叩いて、叩き返せなくする?」
とレベッカ・ショア。

「叩くのは、いったん、おいておく。
いきなり、暴力は、別のものを呼び覚ましそう。」
と前世の意識。

「別のもの?前世の意識が感じ取れた、男子学生の2番目の人生での人格とか?」
とレベッカ・ショア。

「魚の目玉のショックで、今世の意識が下がり、一番最初の人格が浮上してきた。
一番最初の人格が下がったら、2番目の人生での人格が浮上してくるかも。」
と前世の意識。

「男子学生とこれからも仲良くしないなら、男子学生の2番目の人生の人格には浮上されない方がいい。

浮上してきたのが、2番目の人生の人格なら、今世の人格に戻せないか、何かしてみる?」
とレベッカ・ショア。

「何か、と言っても、何をすれば、今世の人格に戻るのか、見当もつかない。」
と前世の意識。

「うーん。まずは、普通の音量で、起きるように、話しかけてみる。」
とレベッカ・ショア。

「目立たないくらいの無難な方法の方が、効果があるかも。」
と前世の意識。

レベッカ・ショアは、気絶している男子学生に声をかけることにした。

「夜だよ、起きる時間だよー。」

男子学生は、身じろぎした。

「普通の人が、世の中の大半だから、普通の声かけが一番成功率が高いかも。」
と前世の意識。

「この男子学生は、普通の人に分類していいの?」
とレベッカ・ショア。

「この世界における、普通の人の定義が分からない以上、分類はしないでおく。」
と前世の意識。

レベッカ・ショアは、身じろぎする男子学生を見守っている。

「目覚めるのは、どの人格かな?」
とレベッカ・ショア。

「今世の人格が浮上しますように。」
と前世の意識。

「何?」
とレベッカ・ショア。

「男子学生は、今世の人格が、一番無難そうだから、祈ってみた。」
と前世の意識。

「祈りが届いて、叶えられるといいよね。」
とレベッカ・ショア。

身じろぎしていた男子学生は、ゆっくりと目を覚ました。
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