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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

485.レベッカ・ショア。アタリを引きたくないときに限って、アタリをひく。外れてほしい予想ほど当たる。厄介事の前触れになりませんように。

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目を覚ました男子学生の第一声は。
「臭う。」

男子学生は、顔をしかめている。

「今世の人格じゃない。一番目の人格とも違うような。」
とレベッカ・ショア。

「2番目の人格。」
と前世の意識。

「前世の因縁がある2番目?」
とレベッカ・ショア。

「イントネーションが、そっくり。」
と前世の意識。

「他人のフリする。」
とレベッカ・ショア。

「勿論。人間やめますか?他人やめますか?」
と前世の意識。

「何?」
とレベッカ・ショア。

「唐突に思い出した。」
と前世の意識。

「説明、いるかな?」
とレベッカ・ショア。

「男子学生に聞かれるまでは、黙っている。男子学生に聞かれたら、思い出せない思い出は、忘れていい思い出と説明する。」
と前世の意識。

「3つの人格の関わりはあるのかな?」
とレベッカ・ショア。

「記憶を共有している可能性?あっても、なくても、触れない。触らぬ神に祟りなし。」
と前世の意識。

神様を触ると祟るなら、まだ触っていなくて良かった、神様とは知りあってもいない、とレベッカ・ショアは安心した。

男子学生は、生臭い臭いに顔をしかめた後、レベッカ・ショアをじっと見た。

「男子学生からアクションがあるまで、反応しない。」
と前世の意識。

レベッカ・ショアは、じっと見返す。

自己紹介をして仲良くしなさいと言われた人見知り同士が、互いに相手に話しかけられるのを待っている構図が出来上がっている。

レベッカ・ショアは、人見知りではないが。

前世の意識によれば、男子学生の2番目の人格は、自己完結型だ。

人見知りゆえに自己完結型になったのか、人と話す習慣がなかったのか。

レベッカ・ショアは、辛抱強く待った。

埒が明かない。

「何のアクションもなく、じっと見てくる場合、どうするのが正解?

背中を向けた途端に後ろから、魔法で斬りかかられたりしたくはないから、顔は男子学生を向いたままで。」
とレベッカ・ショア。

「男子学生にじっと見られているより、男子学生に話しかけて、男子学生がどの程度、事態を把握しているか確認する方が、次にすることを決められる。」
と前世の意識。

「なんて話しかける?」
とレベッカ・ショア。
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