正義が勝たないデスゲームから脱出しよう。【R15】

かざみはら まなか

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420.家族の中で割を食っていた北白川サナ。北白川サナに割を食わせていたのは?北白川サナの家族との団欒のやり方と、それを知る父方祖父の思い。

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「教鞭を執っておられたのなら、教育現場の情報にも詳しかったのではないのですか?」

北白川サナの父方の祖父が孫娘の進路の相談にのることは、難しいことだったか?

「私も相談にのってみた。しかし、私の経験談では古すぎたんだ。

私のもとに入ってくる話に、サナの知りたい情報はなかった。」
と北白川サナの父方の祖父。

「現場を離れているうちに、進学に関する情報が変わっているということはあります。」

自分が卒業した学校以外の情報に詳しくなかった俺は、卒業してから、学校情報を刷新することなく今に至っている。

母校の情報を刷新しなくても、今まで困ったことがない。

必要がない限り、今後も刷新しない俺は、聞かれても進路相談のアドバイスはしない。

「そういうことではなく。お父さんが教えていた学校だと、サナの学力に見合った進学先の情報なんて入ってこないから。」
と北白川サナの父。

北白川サナの父の言い回しで、察した。

北白川サナの父方の祖父が勤めていた学校の生徒の進学先は、北白川サナの父や北白川サナの進学先と被らない。

進学実績のない学校の情報など、父方の祖父の勤務先の学校には入ってこない。

父方の祖父が、北白川サナにアドバイスできるような情報を知らないのは当然の状況だからだ、と北白川サナの父は言っている。

「お前の進学に関して言えば、俺は金を出しただけだ。」
と北白川サナの父方の祖父。

北白川サナの父方の祖父は、息子に反論しなかった。

「サナの進路にお父さんがヤキモキする必要はなかった。俺が分かっていたから。」
と北白川サナの父。

「娘の代でも進路選びは大変でした。」
と北白川サナの母方の祖母。

北白川サナの母方の祖母は、娘の代の進路選びでさえ大変なら、孫娘の進路選びはもっと大変だから、孫娘の周りの大人が全員ヤキモキするのは仕方ないことだと言っている。

北白川サナの進路について、ご両親と母方の祖父母の意向と、父方の祖父母の意見が噛み合わなかった経緯が既にある、か?

「サナの進学先なのに、お前達がありがたがるところからしか、サナは選べなかった。」

北白川サナの父方の祖父は、教師として学校の現場に居続けた人か。

北白川サナの状況から孫娘には大人の助けが必要だと判断し、息子夫婦が孫娘を息苦しくする親と気付き、孫娘の安息のために動いていたのかもしれない。

北白川サナの父方の祖父は、見守りではなく、学生には大人による介入が必要だという判断が働く学校で教員生活を続けてきた人だ。

この家にいた北白川サナを取り巻く大人の中で、一人だけ、北白川サナに対する接し方が違っていた理由は、人生経験にあるのかもしれない。

「サナさんは、学校や塾に通って相談をしなかったのですか?」

身近な大人は、どこにもいないわけではない。

家から出て、大人がいる場所に行けばいる。

目についた大人が、頼ったときに頼りになるかは別だが。

「学校の先生とサナで進路の話をしても、お父さんもお母さんも、学校の先生の話を聞こうとしないとサナは話していた。」
と北白川サナの父方の祖父。

「サナさんは、学校への進路相談なしで、進学を決めたのですか?」

俺も俺の両親も、進路相談という話し合いをキャンセルしたことはない。

俺の希望する先の進学実績があったからだが。

「金剛さんは、どうされたのですか?」
と北白川サナの母方の祖母。

新鮮な質問をされた。

俺を知る人は、俺に進路の決め方を聞いてこない。

「学校の先生からは、どこを受けてもいい、好きなように受けるのが一番いいと言われてきました。

大学を出るまでは金は出すが余計な金は出さない、余計な口も出さないと両親は決めていました。」

両親との関係が無風の段階にくるまでの過程は話さない。

北白川サナの母方の祖母の期待する話にはならないから。

俺の両親は、俺の態度に苛ついて、ムカつきを覚えてはいたが、俺を憎むまでにはならなかった。

俺が天才だということは、地域に知れ渡っていた、ということも一因だとは思う。

俺の親のいいところは、天才の俺の才能は凡夫の手に負えないと、俺の存在自体に目を瞑り、俺を解き放ったこと。

俺という息子を理解しようとすることをやめ、俺に寄り添うことで不満を溜めることを無くし、俺を矯正しようという意気込みを捨てた途端、憑き物が落ちたように穏やかになっていた。

生まれたのが俺でなければ、両親はずっと安定した情緒でいたかもしれない。

俺の両親が俺を理解して俺に凡夫と同じ生き方を教え込もうとすることは、トンビが鷹の師匠を買って出るようなもの。

鷹を産んだトンビが鷹に出来ることは、鷹の生きる環境を整えるだけ。

俺と両親は、高校生までにお互いの距離感について、そういう風に折り合いをつけた。

北白川サナの家族相手に俺の経緯を語ったところで、北白川サナの家族は何ものみこめないと思う。

「そうでしたか。」
と北白川サナの母方の祖母。

北白川サナの母方の祖母は、深堀りしてこなかった。

話していて気付いた。

母方の祖母は、相手が不快になるラインまでは踏み込まずに、話を切り上げてくる。

性格か、習慣か、処世術か。

母方の祖母の、輪を荒らすことを良しとしない在り方を分かりやすく示している。

「進路の話になると、いつも、北白川くんの話ばかりになる。

サナが相談したいことは相談できなかった、とサナは話していた。

サナの進路が決まらないと嘆いていたが、その原因を作っていたのはお前達だ。」
と北白川サナの父方の祖父。

「サナちゃんが、そんなに悩んでいたなんて。

サナちゃんは、主人と同じ道に進むものだとばかり思っていました。」
と北白川サナの母方の祖母。

北白川サナの母方の祖母の目頭には、水分が溜まっている。

北白川サナの母方の祖父が、孫娘を苦境から救い出そうとして、志半ばで亡くなったことを思い出しているのか。

北白川サナの母方の祖母は、孫娘に直接何をするわけでもない分、孫娘が夫と同じ道に進むことに喜びもひとしおだった過去があったかもしれない。

ただ、母方の祖母の、思っていました、は曲者だ。

思っていたいがために、孫娘の気持ちを察していながら、敢えて孫娘の気持ちを聞くことをしなかったのではないか。

そう考えるのは、俺の思考が捻くれ過ぎか?

「サナは、北白川くんや親とは被らない進路に行きたがっていた。」
と北白川サナの祖父の祖父。

「お義父さん、次は、サナが私達を嫌っていたとでも言い出すんですか?」
と北白川サナの母。

「北白川くんや両親とは異なる進路へ行きたいとサナが考えたのは。

北白川くんと両親の専門分野に興味がなかったからだ。」
と北白川サナの父方の祖父。

北白川サナの父方の祖父は、俺をちらっと見ながらも、金剛くんも指摘した通り、とは一言も言わなかった。

俺に話を振れば、俺を巻き込めたのに、そういうことはしない、か。

「興味がないはずありません。さすがに、サナに才能があったとは言いませんけれど。」
と北白川サナの母。

「高校までならともかく、大学に入ってまで興味のない分野を学びたくはなかったんだ。サナは。」
と北白川サナの父方の祖父。

「お義父さんは、我が家の会話についていけなかったから、思うことがあったのでしょうけれど。

サナも含めて、父の生存中から、専門分野の話をして盛り上がらなかったことがありません。」
と北白川サナの母。

北白川サナの母は、義父を見下すように微笑んでいる。

「お父さん、それは本当で。家族での団欒の時間は、いつも専門分野の話で盛り上がっていた。」
と北白川サナの父。

北白川サナの父は、妻が父を見下しているのを気付いているのか、いないのか、気弱そうに付け足すという曖昧な態度。

「お義父さんは、この家に来てからのことを忘れてしまったのですか?

団欒の時間の口火を切るのは、いつもサナでした。」
と北白川サナの母。

北白川サナのご両親は、北白川サナが生きていたときの家族での会話懐かしんでいるかのように話す。

北白川サナの父方の祖父は、得意がっているかのように見える息子夫婦に冷水を浴びせた。

「サナが専門分野の話題をお前達にふるのは、それがお前達とサナが家族でする唯一のコミュニケーションだったからだろう。」
と北白川サナの父方の祖父。

悪口でしかコミュニケーション方法を知らない人が、悪口を挨拶代わりにするように。

北白川サナは、北白川秀蔵氏に教えられた内容を好んでいたから話題にしていたのではない。

他に家族の団欒にする話題があることを知らなかったから、バカの一つ覚えのように同じテーマを持ち出していた、ということか。

北白川サナの父方の祖父は、孫娘の実情を理解しようとせずに、表面的な振る舞いを都合良く解釈して嬉々として語るだけの息子夫婦の態度に胸をかきむしられる思いなのだろう。
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